和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

あくまで村上さん。

2015-11-04 | 書評欄拝見
古新聞の整理をしてたら、
村上春樹著「職業としての小説家」の書評に惹かれる。

順番としては
岡ノ谷一夫(生物心理学者・東京大教授)
      読売新聞9月31日

沼野充義(東大教授・スラブ文学)
     毎日新聞10月11日

山上直子(論説委員) 産経新聞10月25日

佐倉統(科学技術社会論・東京大学教授)
    朝日新聞10月25日

以上の4名の書評を読み比べられました。
そのうち3人が東大教授で、あんまり
日本文学とは異なる人による書評
というのが興味深い。

印象に残るのは山上直子さんの
書評の最後の言葉。

「あくまでイメージなのだが、
イチロー選手が野球をするように、
この人は小説を書いている。」

岡ノ谷一夫氏の書評には

「村上さんは、きちんと朝早く起き、
走り、料理もし、規則正しい暮らしをする。
日常を素材として想像力によって小説を書く。」

「村上さんの本は、あくまで村上さん自身の
やり方・考え方を書いたものだ。しかし
どんな職業の人であれ、プロであるとは
どういうことかを本書は伝えてくれる。
プロには精神のタフさが必要で、
それを支える肉体に鍛錬が必要である。
このことは形を変えて何度も出てくるから、
村上さんの心の声なのだろう。」

沼野充義氏の書評の最後は

「村上作品に対して否定的な読者にとっても、
この作家がどのように独自な存在であり、
現代社会において持続的にプロの作家である
ことが何を意味するのか、知るためにぜひ
読むべき一冊である。」


佐倉統氏の書評も紹介。

「そのために彼は、
一度英語で書いてから日本語に翻訳し、
さらにコツコツと叩き上げていくことによって、
望む文体を作り上げていった。
村上のこの試行は、大瀧詠一や山下達郎たちに
よる、日本語でポップスを不自然でなく歌う
音楽語法の模索に符号する。戦後の日本人が、
自分たちの生活や心情っを適切に表現する
言葉と歌を手に入れたのは、
1970年代から80年代初頭にかけてと言えそうだ。」


はい、私は
「職業としての小説家」を
いまだ読んでおりません。




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