和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

峠の上は山桜が真盛りで。

2019-03-23 | 前書・後書。
「・・時は天保の末の春の盛りの頃でありました。
山々は、張り切れんばかりの新緑をつけて、
高山の常として峠の上は山桜が真盛りで、
得も云われぬながめです。
・・・正午過ぎる頃まで人っ子一人通りません。
ようやく日が傾きかける頃になって、

   山が焼けるが
     立たぬか雉子(きじ)ヨ

    これが立たりょか
      子(こ)を置いて

と妙な調子を張り上げて、
鄙びた節おかしく歌う声が、
青葉の中から洩れて来ると見れば、
峠の頂きの十一面観音の社の横道に
姿を現わしたのは二人づれの若い男、
樵夫(きこり)か炭焼でありましょう。
・・・・」

大菩薩峠第一巻の一、
ここから引用しました。
論創社「大菩薩峠『都新聞版』」中里介山。
挿絵井川洗厓。新聞版で、毎回の挿絵が魅力。

はい。そうです。私は挿絵目当て。
西洋絵本の細密画の挿絵を見ている。
そんなような、気分になります(笑)。
コメント
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