和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

本をバラバラにする、チャンス到来。

2023-03-28 | 本棚並べ
丸谷才一著「新々百人一首」の、単行本の古本が400円。
この本は文庫にもなっているのですが、文庫は上下2巻。
両方揃えるとなると古本の文庫でも400円じゃ買えない。
今がこの単行本の買い時。そして、やっと私には読み頃。

なんで、こんな話からはじめたのかというと、
丸谷才一著「思考のレッスン」の箇所が思い浮かんだからでした。

そこの小見出しに『本はバラバラに破って読め』とある。
ここはひとつ、ちゃんと引用しておくことに。

――・・丸谷さんの読書でびっくりしたのは、本が本の形をしていない。
   バラバラにされて本棚に置いてあったことです。

丸谷】 僕は本をフェティシズムの対象にするつもりはまったくない。
    大事なのはテクストそれ自体であって、本ではないと思っているんです。
    ・・・だから、平気で本に書き込みするし、破る、
    一冊の本を読みやすいようにバラバラにする(笑)。
    あれは出版社の人にはとてもいやがられるんだなあ(笑)。


   ・・・・とにかく本というものは、読まないで
   大事にとっておいたところでまったく意味はないんです。
   読むためのものなんだから、読みやすいように読めばいい。・・

     ( p168~ 170   単行本「思考のレッスン」文芸春秋・1999年 )


はい。こんな話を聞いたからって、なかなかに単行本を
バラバラにし読むというのは私に無理だと思っておりました。
そのハードルが400円なら、越えられそうな気がしてきました。

丸谷才一著「新々百人一首」を、丸谷さんが言う通りに
『 一冊の本を読みやすいようにバラバラにする(笑) 』チャンス到来。
各一首一首の解説をバラバラにしておけば、ちょっとした時間でも
パラリパラリとめくれそうな気がしてきました。何とも贅沢な気分。

ちなみに、この指摘は、丸谷才一著「思考のレッスン」の
第四章「本を読むコツ」にあります。

はい。丸谷才一氏の言葉どおりに、丸谷才一氏の本を、
バラバラにする事始め。ケーキ入刀ならぬ単行本入刀。

2023年3月は、単行本『新々百人一首』入刀記念日。
ここから新しい展望が開けると、そんなワクワク感。
コメント (3)
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