丸谷才一著「新々百人一首」の、単行本の古本が400円。
この本は文庫にもなっているのですが、文庫は上下2巻。
両方揃えるとなると古本の文庫でも400円じゃ買えない。
今がこの単行本の買い時。そして、やっと私には読み頃。
なんで、こんな話からはじめたのかというと、
丸谷才一著「思考のレッスン」の箇所が思い浮かんだからでした。
そこの小見出しに『本はバラバラに破って読め』とある。
ここはひとつ、ちゃんと引用しておくことに。
――・・丸谷さんの読書でびっくりしたのは、本が本の形をしていない。
バラバラにされて本棚に置いてあったことです。
丸谷】 僕は本をフェティシズムの対象にするつもりはまったくない。
大事なのはテクストそれ自体であって、本ではないと思っているんです。
・・・だから、平気で本に書き込みするし、破る、
一冊の本を読みやすいようにバラバラにする(笑)。
あれは出版社の人にはとてもいやがられるんだなあ(笑)。
・・・・とにかく本というものは、読まないで
大事にとっておいたところでまったく意味はないんです。
読むためのものなんだから、読みやすいように読めばいい。・・
( p168~ 170 単行本「思考のレッスン」文芸春秋・1999年 )
はい。こんな話を聞いたからって、なかなかに単行本を
バラバラにし読むというのは私に無理だと思っておりました。
そのハードルが400円なら、越えられそうな気がしてきました。
丸谷才一著「新々百人一首」を、丸谷さんが言う通りに
『 一冊の本を読みやすいようにバラバラにする(笑) 』チャンス到来。
各一首一首の解説をバラバラにしておけば、ちょっとした時間でも
パラリパラリとめくれそうな気がしてきました。何とも贅沢な気分。
ちなみに、この指摘は、丸谷才一著「思考のレッスン」の
第四章「本を読むコツ」にあります。
はい。丸谷才一氏の言葉どおりに、丸谷才一氏の本を、
バラバラにする事始め。ケーキ入刀ならぬ単行本入刀。
2023年3月は、単行本『新々百人一首』入刀記念日。
ここから新しい展望が開けると、そんなワクワク感。