和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

『百億年』が似合う人。

2023-08-07 | 詩歌
お盆が近い、夏の昼下がり。何だかウツラウツラしていると、
『 オイ! 』と高橋新吉の声がする。

ということで、高橋新吉の詩を二篇。

    白い雲の下に  高橋新吉

   白い雲の下に
   雀が飛んでいる

   オレは百億年を
   ひとりで飛んでいる

   深い雪の中に
   鳩が死んでいる

   オレは一日に
   二千回は死んでいる

   遠い空の奥に
   鳥が遊んでいる

   オレは一瞬に
   どの星にも遊んでいる



    霧雨(きりさめ)  高橋新吉

  霧雨がふっている
  少女時代の
  あなたの頭髪を濡らして

  それが乾かないままに
  あなたは老婆になった

  霧雨はなおも降りつづける
  ・・・・・・


  ( 高橋新吉・詩集「空洞」立春書房・1981年 )   

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