お盆が近い、夏の昼下がり。何だかウツラウツラしていると、
『 オイ! 』と高橋新吉の声がする。
ということで、高橋新吉の詩を二篇。
白い雲の下に 高橋新吉
白い雲の下に
雀が飛んでいる
オレは百億年を
ひとりで飛んでいる
深い雪の中に
鳩が死んでいる
オレは一日に
二千回は死んでいる
遠い空の奥に
鳥が遊んでいる
オレは一瞬に
どの星にも遊んでいる
霧雨(きりさめ) 高橋新吉
霧雨がふっている
少女時代の
あなたの頭髪を濡らして
それが乾かないままに
あなたは老婆になった
霧雨はなおも降りつづける
・・・・・・
( 高橋新吉・詩集「空洞」立春書房・1981年 )
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