和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

一遍と世阿弥。

2012-08-24 | 短文紹介
「梅原猛の仏教の授業 法然親鸞一遍」(PHP)。
「私が昨年及び一昨年に行った四つの講演を元とし、それに手を加えたものである」(p9)と最初にあります。
うん。わかりやすい。
とりあえず、私の興味がある一遍の箇所をひらく。

「なかなか一遍上人が理解できなかったが、最近になって彼がやっと見えてきました。これは、ここ六年ばかり中世の研究をしてきたからです。私が中世の研究を始めたきっかけは『能』の大成者である世阿弥(1363~1443)に強く惹かれたからでした。」(p162)


「一遍上人の思想は、能にものすごく大きな影響を及ぼしています。能の『実盛(さねもり)』や『遊行柳』『誓願寺』といった作品には時宗の聖者が登場するのがその証です。能には、僧が鬼女を仏の道に導くというものがありますが、世阿弥以降の能のワキはほとんどが諸国遊行の僧なのです。でも、考えてみると、数多くの存在する僧の中で遊行僧というのは異形の存在です。その異形の僧が人々を仏門に導くのですから、能は深く時宗と関係していると言えるでしょう。・・・」(p202)


うん。一遍と世阿弥を語って明快な指摘を、スラスラと読める。ありがたいなあ。

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