和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

そら豆の花咲き。

2021-04-17 | 本棚並べ
わたしの本への興味は、打ち寄せる波のように、
来たかと思うと、いつの間にか、す~と引いてしまいます。
けれども、杉本秀太郎氏への興味は、まだ続いております。

ネット「日本の古本屋」の検索で『杉本秀太郎』と打ち込むと、
いろいろとでてくる。そのなかには、掲載された雑誌名とか、
他人の追悼本や、他人の対談本も、検索にひっかかるのでした。
そんな一冊に青木玉対談集『祖父のこと母のこと』(小沢書店・1997年)
がありました。この対談集は、私は好きな本なので幸田文の棚にあります。

さっそく、とりだしてくる。対談集の最後にありました。
栞がはさまっているので、読んだ形跡はありますが、しっかりと
忘れております。対談の題名は「西の育ち、東の育ち」とある。
あれこれと多岐にわたって、そのたび興味は尽きないのですが、
どうもしかたなく、一箇所引用するとなると、これかなあ。

青木】・・杉本さんは短歌や俳句にお詳しくいらっしゃいますが、
どんな歌がお好きでいらっしゃいますか。

杉本】 幕末の女の歌人で、太田垣蓮月という人が好きで、
若かったころ蓮月について一冊書いたんですけど。

蓮月が何で好きかというと、45歳年下の富岡鉄斎を育てたから
ということなんです。鉄斎が極貧の生活をしていたときに、
蓮月は、たくさん自分の歌を書いた、余白のたっぷりある紙を
いっぱい鉄斎におくって
『あんた、お金に困ったらこれに絵をかいてお売りなはれ』と。
それで合作がたくさん残っているんですね。

鉄斎は大器晩成な方でしょう。いま私は66歳ですが、
その頃からいい仕事が始まるんですよ。それを思うと、
俺もがんばらないかんという気はします(笑)。

まあ、あの人は天保七年生まれの古い人ですけどね。
今頃の時期に必ず思い出す蓮月さんの歌は、
『思ふこと書きもつくさぬ筆ににてつくつくしつつ春も暮らしつ』
という面白い歌です。

青木】なるほどねー。
そういうのが、こともなく出てくるんでしょうね。
一生懸命苦労して出てくるものとは違う心の動きですねえ。

杉本】 青木さんのお好きな歌は?

青木】 今頃ですと祖父が好きだった句に
『そら豆の花咲きにけり麦のへり』(「芭蕉七部集」)
というのがありまして、田園風景ですね。
そら豆を見ると毎年思い出されます。(p243~244)



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2 コメント

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富岡鉄斎 (和田浦海岸)
2021-04-18 09:12:33
カミナリビコ2さん。
コメントありがとうございます。

はい。つぎは
杉本秀太郎著「太田垣蓮月」に登場する
富岡鉄斎の箇所をパラパラ読みしてみます。
返信する
Unknown (kaminaribiko2)
2021-04-17 15:39:55
66歳頃から良い仕事ができるという言葉、励ましになります。実際そうかもしれませんね。
返信する

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