今日届いた古本に、
堀口すみれ子著「父の形見草 堀口大學と私」(文化出版局・1991年)
がありました。はい。200円なり。
写真は佐藤裕。白くて四隅が黄ばんだカバーをはがすと、
そこには、まばゆい写真の表紙がありました。
はい。それだけで私は満腹。ページのところどころに
宝物のように、ひそませた写真をめくり。それで満足。
あれ。堀口大學の詩もとろこどころにおさまっています。
一篇の詩を引用しておくことに。
夏の思い出 堀口大學
貝がらに、海の響が残るように、
私の耳の奥に、彼女(ひと)の声が残って、
アドヴァンテージと叫び、
ジュース、アゲインと呼ぶ。
十六ミリに、過ぎた日の仕草が残るように、
私の目の奥に、その夏の身振りが残って、
ヨットのように傾いた、白いあなたが見え、
行き来するボールが見える。
貝がらの海の響のように、
十六ミリの過ぎた日の仕草のように、
私の耳に、その夏の声が残り、
私の瞳に、その夏の身振りが残る。 ( p99 )
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