映画「遠雷」は昭和56年(1981年)の日本映画だ。
ジョニー大倉が亡くなった。キャロル以降も音楽活動は続けていたが、矢沢永吉と比較するとその実績は普通のものとなってしまった。しかし、俳優としての才能をいくつかの作品で発揮している。「遠雷」もその一つである。ジョニー大倉は永島敏行演じる主人公の親友役だ。
宇都宮出身の作家立松和平の小説を映画化したものだ。首都圏近郊の農家で跡取りになろうとする青年の姿を描いた。公開当時も見て、石田えりの奔放さは強烈な印象を残した。その後2度も見ている。永島敏行もいいが、荒井晴彦の脚本がわきを固める俳優を引立たせ、すがすがしい映画になっている。戦前を引きずっていた農業が近代へと変わる分岐点を描いた名作だ。
宇都宮市近郊で農業を営む主人公満夫(永島敏行)は、ハウスでトマトを栽培している23歳の青年だ。母親(七尾伶子)と祖母(原泉)と暮らしている。父親(ケーシー高峰)は情婦(藤田弓子)と出て行ったきり帰ってこない。
主人公は同じような農家の跡取りである親友広次(ジョニー大倉)とつるんで遊んでいる。いつも飲みにいくスナックのカエデ(横山リエ)に誘われ、もう旦那とは別れているのと言われ、ハウスの中でいたしてしまう。翌日夫(蟹江敬三)にもう近づかないでくれと言われる。
そんな時お見合いの話が来た。ガソリンスタンドに勤めるあや子(石田えり)だ。両家の会食が終わって2人はドライブに出る。いきなり満夫はモーテルに誘う。突然の誘いにあや子は憤慨するが、結婚してくれるならと許す。
後日あや子が主人公の自宅に遊びに来たときに、祖母の奇怪な行動を見て、自分がお嫁に行ってやっていけるのか心配になりぷいと帰ってしまう。
スナックのカエデは親友広次に近づいている。いい仲になってきた。それなのにカエデはまた満夫に近づいてくる。奇妙な三角関係になりそうに見えるが。。。
90年代の終りに、5年宇都宮に住んだことがある。映画に出てくる地名が懐かしい。宇都宮駅から見て東側のエリアではないだろうか?そういう風景の中で映画は淡々と進む。井上尭之バンドの音楽がほのぼのしていていい。
永島敏行は好演だが、助演者を中心に語った方がいいかもしれない。
1.石田えり
お見合いした直後に2人でモーテルにしけこむシーンが印象的だった。そして石田えりのダイナマイトバストをバッチリさらす。それまでに雑誌「GORO」で彼女のスーパーボディは見ていた。あっけらかんとしている石田えりがこの役にぴったりである。
主人公が石田えりと軽トラックにトマトを積んで、1袋100円で団地で売る。このシーンがほのぼのしていて好きだ。
2.ジョニー大倉
スナックの女カエデに入れ込んでしまう。カエデは主人公にもちょっかいを出す好きもの女だ。カエデと2人駆け落ちをしてしまい、挙句の果ては首を絞めてしまう。そして、主人公の結婚式を自宅で盛大にやっている時に、戻ってくる。殺人を犯したジョニー大倉の独白を永島敏行が聞くところが映画の最大の見どころだ。
この時泣きながら独白するジョニーの姿をみると、運に恵まれなかったジョニー大倉本人の人生にかぶせてしまう。もともとキャロルの時にしばらく失踪したことがある。レギュラーだったギンザナウでも3人で演奏していたなあ。晩年も妙に突っ張っていたが、本性は気が弱いんじゃないかと思う。それだけに涙の独白に情感がこもっている印象を改めて思った。
3.ケーシー高峰
先祖代々の土地を売っぱらって、バーの女としけこむダメなオヤジの役だ。これが実にうまい。親が医者で本人も医者を目指していた彼のエロ漫談を、昭和の頃はテレビでよく見たものだ。情婦役は酒豪で有名な藤田弓子でこれも適役だ。中年太りの姿がいかにもうらびれたバーのホステス風だ。オヤジはいったん家に戻ってくるが、もう一度女のところに戻る。そこで見せるケーシー高峰の女装姿をみると、いつも腹を抱えて笑ってしまう。
最後に見せる永島敏行が歌う桜田淳子の「私の青い鳥」が音痴だけど妙に心に残る。
あとは人妻役の横山リエのなまめかしさ、名優七尾伶子のダメ旦那を許してしまう農家の妻っぷり、おばあさん役の原泉のぼけっぷりもよくキャスティングの妙がこの作品を名作にしている。
参考記事
ジョニー大倉追悼矢沢永吉歌う
ジョニー大倉が亡くなった。キャロル以降も音楽活動は続けていたが、矢沢永吉と比較するとその実績は普通のものとなってしまった。しかし、俳優としての才能をいくつかの作品で発揮している。「遠雷」もその一つである。ジョニー大倉は永島敏行演じる主人公の親友役だ。
宇都宮出身の作家立松和平の小説を映画化したものだ。首都圏近郊の農家で跡取りになろうとする青年の姿を描いた。公開当時も見て、石田えりの奔放さは強烈な印象を残した。その後2度も見ている。永島敏行もいいが、荒井晴彦の脚本がわきを固める俳優を引立たせ、すがすがしい映画になっている。戦前を引きずっていた農業が近代へと変わる分岐点を描いた名作だ。
宇都宮市近郊で農業を営む主人公満夫(永島敏行)は、ハウスでトマトを栽培している23歳の青年だ。母親(七尾伶子)と祖母(原泉)と暮らしている。父親(ケーシー高峰)は情婦(藤田弓子)と出て行ったきり帰ってこない。
主人公は同じような農家の跡取りである親友広次(ジョニー大倉)とつるんで遊んでいる。いつも飲みにいくスナックのカエデ(横山リエ)に誘われ、もう旦那とは別れているのと言われ、ハウスの中でいたしてしまう。翌日夫(蟹江敬三)にもう近づかないでくれと言われる。
そんな時お見合いの話が来た。ガソリンスタンドに勤めるあや子(石田えり)だ。両家の会食が終わって2人はドライブに出る。いきなり満夫はモーテルに誘う。突然の誘いにあや子は憤慨するが、結婚してくれるならと許す。
後日あや子が主人公の自宅に遊びに来たときに、祖母の奇怪な行動を見て、自分がお嫁に行ってやっていけるのか心配になりぷいと帰ってしまう。
スナックのカエデは親友広次に近づいている。いい仲になってきた。それなのにカエデはまた満夫に近づいてくる。奇妙な三角関係になりそうに見えるが。。。
90年代の終りに、5年宇都宮に住んだことがある。映画に出てくる地名が懐かしい。宇都宮駅から見て東側のエリアではないだろうか?そういう風景の中で映画は淡々と進む。井上尭之バンドの音楽がほのぼのしていていい。
永島敏行は好演だが、助演者を中心に語った方がいいかもしれない。
1.石田えり
お見合いした直後に2人でモーテルにしけこむシーンが印象的だった。そして石田えりのダイナマイトバストをバッチリさらす。それまでに雑誌「GORO」で彼女のスーパーボディは見ていた。あっけらかんとしている石田えりがこの役にぴったりである。
主人公が石田えりと軽トラックにトマトを積んで、1袋100円で団地で売る。このシーンがほのぼのしていて好きだ。
2.ジョニー大倉
スナックの女カエデに入れ込んでしまう。カエデは主人公にもちょっかいを出す好きもの女だ。カエデと2人駆け落ちをしてしまい、挙句の果ては首を絞めてしまう。そして、主人公の結婚式を自宅で盛大にやっている時に、戻ってくる。殺人を犯したジョニー大倉の独白を永島敏行が聞くところが映画の最大の見どころだ。
この時泣きながら独白するジョニーの姿をみると、運に恵まれなかったジョニー大倉本人の人生にかぶせてしまう。もともとキャロルの時にしばらく失踪したことがある。レギュラーだったギンザナウでも3人で演奏していたなあ。晩年も妙に突っ張っていたが、本性は気が弱いんじゃないかと思う。それだけに涙の独白に情感がこもっている印象を改めて思った。
3.ケーシー高峰
先祖代々の土地を売っぱらって、バーの女としけこむダメなオヤジの役だ。これが実にうまい。親が医者で本人も医者を目指していた彼のエロ漫談を、昭和の頃はテレビでよく見たものだ。情婦役は酒豪で有名な藤田弓子でこれも適役だ。中年太りの姿がいかにもうらびれたバーのホステス風だ。オヤジはいったん家に戻ってくるが、もう一度女のところに戻る。そこで見せるケーシー高峰の女装姿をみると、いつも腹を抱えて笑ってしまう。
最後に見せる永島敏行が歌う桜田淳子の「私の青い鳥」が音痴だけど妙に心に残る。
あとは人妻役の横山リエのなまめかしさ、名優七尾伶子のダメ旦那を許してしまう農家の妻っぷり、おばあさん役の原泉のぼけっぷりもよくキャスティングの妙がこの作品を名作にしている。
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参考記事
ジョニー大倉追悼矢沢永吉歌う