映画とライフデザイン

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ブラザーフッド ウォンビン

2012-05-09 07:10:19 | 映画(韓国映画)
映画「ブラザーフッド」は朝鮮戦争が題材となった2004年の韓国映画である。


1950年の韓国ソウルの場面が映る。
ある兄弟がこの映画の中心だ。兄(チャンドンゴン)は靴磨きをして、一家の家計を助けている。兄にはフィアンセがいて、もうすぐ結婚するところであった。18歳の弟(ウォンビン)は頭がよく、ソウル大学を目指して勉学に励んでいた。母とともに平和に暮らしていた家族だったが、6月突如として北朝鮮が国境ラインの38度線を突破して南側に攻め込んできた。ソウル市内は大混乱だ。家族は南部に住む親戚を頼って、移動しようとするが、鉄道の切符は取れない。
そんな修羅場の中、町の中で招集がかかる。18歳から30歳までの男子が点呼されていたので、弟が向かうとそれは軍隊への招集であった。母は懸命に止めにかかるが、軍の憲兵は聞く耳を持たない。無理やり連行された。その際、その場から離れていた兄が見つけて連行される列車に乗り、無理やり連行を阻止しようとするが、結果的に二人とも連れて行かれてしまう。

北朝鮮は勝ち進み、韓国側は釜山近くまで追いやられた。そんな最前線に2人は配属される。まわりの連隊が負け続け、2人が配属された部隊は北朝鮮の部隊のはさみうちにあった。食糧物資も来ず飢えに耐えながら戦うこととなった。もはや絶体絶命になった時、兄が北朝鮮側への夜襲を志願し、敵の部隊を不意打ちにして劣勢を挽回する殊勲をあげる。そして、その勝利と同時に国連軍と名乗るマッカーサー率いるアメリカ軍が参戦、次第に連戦連勝して北方面に挽回して行った。

元々軍隊にはいるのを嫌がった兄は、弟が除隊するために危険な仕事で勲章をもらうのが狙いであった。次から次へと危険な戦いに功績をあげて、敵の首都平壌で相手の大佐を生け捕りする功績をあげた。軍のヒーローとなった。ところが、敵を追い込んだ所に参戦したのが、中華人民共和国の人民軍である。またまた劣勢に立ち、もう一度退散する。そうして、ソウルまで退却した。家に戻ると、なんと兄のフィアンセ(イ・ウンジュ)が北朝鮮側の思想の影響を受けていると、連行されようとしていたが。。。。

今よりも韓流ブームの時に公開された。ウォンビンが出てくるので多くの映画館で上映されたが、入りは思ったほどよくなかったという。それはそうだろう。韓流好きのおばさんも戦争映画じゃ見る気もしないだろう。ましてや朝鮮戦争に興味を示すのはよっぽどの物好きだ。

でもこの映画よくできていると思う。
歴史上の事実に基づき、想像上の人物を活躍させる。戦争の途中経過に忠実なので、本当にありそうな話に見えてくる。北朝鮮兵士を「アカ」の野郎とののしる場面が何度も出る。コテンパンに打ちのめす。毎度のごとくの韓国映画の暴力表現がきつい。韓国人は取っ組み合いのけんかが好きなせいか、戦争映画にもかかわらず武器よりも肉体でのぶつかり合いが好きだ。北朝鮮の兵士たちをケンカさせて、どっちが勝つかなんて賭けをしたりやることがヤクザ的だ。

映画を見ながらふとおもった。上官が兵士たちを虫けらのように扱う。旧日本軍の士官的扱いだなあって。そういえば1950年って2次大戦が終わった45年からたった5年しかたっていない。それまでは韓国は日本の領土だった。とすると、この上官はどういう教育を受けていたんだろう?日本の軍部で鍛えられていたのでは?という疑問が浮かんだ。
調べてみると、確かにそうだったらしい。そのためか、韓国語とはいえ、下士官への命令口調には日本語的表現がかなりされている。逆に北朝鮮側は中国の人民軍から大きな影響を受けていたようだ。ある意味南北対決は戦前の日中戦争の流れに近いのかもしれない。そこに日本を破ったアメリカが加わり、北朝鮮にはソビエトが加勢する。朝鮮戦争は人民同士の戦いを超えて世界戦の様相を呈していた。

クリントイーストウッドの名作「グラントリノ」の主人公は朝鮮戦争の退役軍人の設定であり、彼自身朝鮮戦争で戦っている。マリリンモンローが朝鮮戦争を慰問した映像は何度も見たことがある。

朝鮮だけの戦いではなかった。

南北の離散はお涙ちょうだいの場面だと思うが、そうはならなかった。
それでも世界史の一面として参考になった映画だった。

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