映画「FOUJITA」を映画館で見てきました。
「泥の河」の小栗康平監督の久々の新作である。オダギリジョー演じる主人公である藤田嗣治の絵も国立近代美術館で見てからずっと気になっていたこともあり、映画館に向かう。
若干暗めのトーンの映像なので少し見にくい。あえてそうしたと思う。そんな中1920年代のパリにおける藤田と1940年代戦時中の日本において戦争高揚の絵を描いていた藤田の両方を映しだす。暗めのトーンで見にくいとは言え、映像表現は美しい。特にパリの1920年代の場面がいい。同時にバックに流れる音楽がすばらしい。見にくい画面なので、少し眠くなってしまう時もあったが、まあまあという感じかな。
画家藤田嗣治、通称フジタ(オダギリジョー)はパリにわたったあと、1920年代パリで裸婦を描き、評判を高め、絵も売れてきた。画家仲間たちやモデルのキキ(アンジェル・ユモー)とともに、パリのカフェで連日遊びまくる。そうしていくうちに新しい恋人、ユキ(アナ・ジラルド)が現れる。
フジタの絵「五人の裸婦」が完成すると、乳白色をした裸婦の肌色が大評判となる。フジタはモンパルナスで、仮装パーティを開き、フジタは女装して、ユキといっしょにゲストを迎える。吉原の花魁まがいのキキが会場を下駄で歩き、大はしゃぎである。
第二次世界大戦のパリ陥落の前に日本に戻ったあと、いわゆる「戦争協力画」を描く。戦意高揚のための「国民総力決戦美術展」が、全国を巡回している。フジタの描いた「アッツ島玉砕」の絵のそばで、観客は絵に手を合わせ拝む。フジタは、絵が人の心を動かしたことに驚く。
東京の空襲が激しさを増し、フジタは五番目の妻君代(中谷美紀)と田舎に疎開する。農家の離れが、フジタの住居とアトリエになる。母屋には、小学校の教師の寛治郎(加瀬亮)とその母(りりィ)が住んでいる。フジタは、なおも「戦争協力画」を描いていた。そんなとき、寛治郎に赤紙が来る。出征の前の夜、寛治郎は、みんなに村のキツネの話をする。母は寛治郎に「帰って来い!」と言うのであるが。。。
1.1920年代のモンパルナス
1920年代のパリの映像を見ると、ウディアレンの「ミッドナイトインパリ」を連想する。気がつくと20年代の文化人たちと交流を深めている大人のおとぎ話に魅せられた。あの映画ではエロティックな雰囲気はなかったが、ここでは満載だ。連日のようにカフェで遊びまくる。フェリーニの「8・1/2」も連想させるハチャメチャ騒ぎだけど、女の子も気前よくどんどん脱いでいくだけに、この映画の方が凄くみえてしまう。あえてうす暗いトーンにしているのもその過激性のせいなんだろうか。
それにしても向こうで3人と結婚したくらいだから、かなり遊んだんだろうなあ。
2.出征前夜の場面
あえて暗いトーンにしている理由の一つには、戦争時の暗さもあるかもしれない。フジタの描いた「戦争協力画」は映し出されるが、トーンが暗いのでよくわからない。あえてよく映し出さないのであろう。
しかも、出征前夜の加瀬亮の話が超暗い。久々にりりィを見たが、加瀬に向かって「帰って来い」というシーンが実に印象的だ。同時に軍部がフジタに崖から飛び降りて自殺する女性たちの映像を見せるシーンも映す。でもこれって、サイパン戦線で日本人女性が自害するのをアメリカ人たちが映しだした映像ではないかと思う。あれちょっと違うな?とそれは感じた。
3.佐藤聰明の音楽
音楽が鳴り響くとメロディラインがただものでないのがわかる。バックの音楽が鳴り響くわけでなく、淡々と映画は進んでいくが途中でハッとさせられる音楽が鳴る。佐藤聰明という作曲家なかなかやるなと思ったら、音楽界では割と有名な方のようだ。ちょっと勉強してみよう。
映像は美しかったことだけは確かだけどね。
「泥の河」の小栗康平監督の久々の新作である。オダギリジョー演じる主人公である藤田嗣治の絵も国立近代美術館で見てからずっと気になっていたこともあり、映画館に向かう。
若干暗めのトーンの映像なので少し見にくい。あえてそうしたと思う。そんな中1920年代のパリにおける藤田と1940年代戦時中の日本において戦争高揚の絵を描いていた藤田の両方を映しだす。暗めのトーンで見にくいとは言え、映像表現は美しい。特にパリの1920年代の場面がいい。同時にバックに流れる音楽がすばらしい。見にくい画面なので、少し眠くなってしまう時もあったが、まあまあという感じかな。
画家藤田嗣治、通称フジタ(オダギリジョー)はパリにわたったあと、1920年代パリで裸婦を描き、評判を高め、絵も売れてきた。画家仲間たちやモデルのキキ(アンジェル・ユモー)とともに、パリのカフェで連日遊びまくる。そうしていくうちに新しい恋人、ユキ(アナ・ジラルド)が現れる。
フジタの絵「五人の裸婦」が完成すると、乳白色をした裸婦の肌色が大評判となる。フジタはモンパルナスで、仮装パーティを開き、フジタは女装して、ユキといっしょにゲストを迎える。吉原の花魁まがいのキキが会場を下駄で歩き、大はしゃぎである。
第二次世界大戦のパリ陥落の前に日本に戻ったあと、いわゆる「戦争協力画」を描く。戦意高揚のための「国民総力決戦美術展」が、全国を巡回している。フジタの描いた「アッツ島玉砕」の絵のそばで、観客は絵に手を合わせ拝む。フジタは、絵が人の心を動かしたことに驚く。
東京の空襲が激しさを増し、フジタは五番目の妻君代(中谷美紀)と田舎に疎開する。農家の離れが、フジタの住居とアトリエになる。母屋には、小学校の教師の寛治郎(加瀬亮)とその母(りりィ)が住んでいる。フジタは、なおも「戦争協力画」を描いていた。そんなとき、寛治郎に赤紙が来る。出征の前の夜、寛治郎は、みんなに村のキツネの話をする。母は寛治郎に「帰って来い!」と言うのであるが。。。
1.1920年代のモンパルナス
1920年代のパリの映像を見ると、ウディアレンの「ミッドナイトインパリ」を連想する。気がつくと20年代の文化人たちと交流を深めている大人のおとぎ話に魅せられた。あの映画ではエロティックな雰囲気はなかったが、ここでは満載だ。連日のようにカフェで遊びまくる。フェリーニの「8・1/2」も連想させるハチャメチャ騒ぎだけど、女の子も気前よくどんどん脱いでいくだけに、この映画の方が凄くみえてしまう。あえてうす暗いトーンにしているのもその過激性のせいなんだろうか。
それにしても向こうで3人と結婚したくらいだから、かなり遊んだんだろうなあ。
2.出征前夜の場面
あえて暗いトーンにしている理由の一つには、戦争時の暗さもあるかもしれない。フジタの描いた「戦争協力画」は映し出されるが、トーンが暗いのでよくわからない。あえてよく映し出さないのであろう。
しかも、出征前夜の加瀬亮の話が超暗い。久々にりりィを見たが、加瀬に向かって「帰って来い」というシーンが実に印象的だ。同時に軍部がフジタに崖から飛び降りて自殺する女性たちの映像を見せるシーンも映す。でもこれって、サイパン戦線で日本人女性が自害するのをアメリカ人たちが映しだした映像ではないかと思う。あれちょっと違うな?とそれは感じた。
3.佐藤聰明の音楽
音楽が鳴り響くとメロディラインがただものでないのがわかる。バックの音楽が鳴り響くわけでなく、淡々と映画は進んでいくが途中でハッとさせられる音楽が鳴る。佐藤聰明という作曲家なかなかやるなと思ったら、音楽界では割と有名な方のようだ。ちょっと勉強してみよう。
映像は美しかったことだけは確かだけどね。