山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

尾白川錦滝のユキワリソウと尾白川上流のクモイコザクラ  そして帰り路、えらいことに・・・

2014年05月20日 | 南アルプス
 この季節は恒例になっている錦滝のユキワリソウ。いつもならば日向山登山とセットなのだが、今回はもう6~7年も前に一度だけ訪れ、偶然に発見したクモイコザクラがその後どうなっているのか見に行ってみることにした。時間的・体力的な余裕があれば上流の噴水滝あたりまで行ってみたいのだが、ちょっと難しそうだ。

 仕事を片付けて矢立石の日向山登山口に到着したのは11時半。人気の高い日向山だけに駐車場は当然満車だが、ゲート近くの道脇になんとか止めることができた。まずは錦滝に向かう。


    林道脇に車がずらりと並ぶ日向山登山口の矢立石。


    林道がら望む新緑と甲斐駒ケ岳


    尾白川錦滝。雪の影響か滝壺周辺には木の枝が散乱している。

 40分ほどで錦滝に到着し、三脚を出して存分に撮影する。この滝に陽が当たるのは午前中なので、お昼過ぎのこの時間に行くと既に日蔭になってしまい、ユキワリソウの色がいまひとつになってしまう。ここはやはり午前中が良い。


    滝の脇に咲いたユキワリソウ


    200mm望遠レンズを今回は持って行った。


    斜め横側に移動して撮影


    200mm望遠レンズは三脚でしっかり固定してもなかなか撮影が難しい。


    滝の流れとユキワリソウ

 錦滝で30分ほど時間を費やし、時間は午後1時になってしまう。この日は日向山に登らずそのまま真直ぐ林道を進み、林道の終点まで行く。途中落石したところもあるが、通行するには全く問題無い。


    大きな岩が崩落している。ところどころ道は荒れている。


    鞍掛橋。一つ目のトンネルを過ぎるとすぐ先にあり、下に深い谷を望む。これが鞍掛沢と思っていたがそうではなかった。


    2つ目のトンネル。入り口が崩落している。


    黒戸尾根の黒戸山が間近に見えるようになる。


    林道終点。この先が崖のような激下り。


    崖のような激下り。長いロープにつかまりながら下りる。


    河原に降り立つ。ここに来る人は沢登りのスペシャリストか釣り人くらい。一般の登山者はまず来ない。


    谷の向こうに見えるのは鞍掛山の尾根。

 尾白川上流の谷に降り立ったのは午後2時、ほぼ予定通りだった。谷を少し遡上して対岸の岩壁を見ると、以前訪れた時と同じように、あるいはその時以上にたくさんのピンク色の花がついている。クモイコザクラだ。ほとんど人が入らない谷、しかも動物が近付けない岩壁に咲くその花は、人害も動物の食害も受けること無く静かに咲いてくれている。


    対岸の岩にピンク色の花が散在している。


    尾白川上流に咲くクモイコザクラ。かなりたくさん咲いている。


    200mm望遠レンズで捉えたクモイコザクラ

 ここまではきわめて順調だった。帰り時間を考えてギリギリ3時半まで遡上しようと思い、上流に向かうがすぐに大きな淵に突き当たってしまう。手前で渡渉すれば通過は難しくないが、膝あたりまで水に入らないと渡渉できなそうだ。強引に右側(左岸)の岩を越えて淵の上まで行ってみたが、やはり足を濡らさずに遡上することは困難だ。ここであきらめて引き返すことにする。そして、左足だけ犠牲にして、下流の浅いところで渡渉してクモイコザクラの咲く対岸の岩壁まで行くことにする。


    大きな淵に出る。膝下まで濡らさないと渡渉できない。


    左岸の岩を越えて淵の上まで行ってみたが、やはり濡れずに遡上することは困難。ここであきらめる。


    片足を犠牲にして対岸に渡る。いまにも崩落しそうな岩の下にクモイコザクラがたくさん咲いている。


    クモイコザクラ


    風に揺れるクモイコザクラ


    クモイコザクラ


    200mm望遠レンズで接写


    岩壁に咲くクモイコザクラ


 十分に撮影して満足して帰路に着く。時間は午後3時半を過ぎたばかり、明るいうちに楽勝で矢立石に到着できるはず・・・だった。谷に下りる時にロープの無くなった下部の部分が踏み跡少なく迷いそうだと思っていたのだが、帰りで見事にその心配が当たってしまう。登り口と思って登り始めたところ、ロープのあるはずの高度まで登ってもロープが見当たらない。行き過ぎたのか?上にトラバースしながら上流側に行くがそちらにはロープ無し。ならば下流側しかあり得ないので、急斜面を獣道を頼りにトラバースしながら登って行くが、それらしきものは見当たらない。やがて本物の崖のような斜面に突き当たってしまい。トラバース不能となってしまう。時間は午後4時、まだ日暮れには余裕があるが、なんとか5時までには林道に出たい。登るか、河原まで降りるか?急斜面は降りるほうが遥かに難しいので、この崖のような斜面は上を巻いて通過することにした。木の根っこや枝につかまりながらひたすら登る。標高は1,500mを越えて、既に林道から100m以上高い位置にいる。何故かこんな道の無いところでも、岩に赤ペンキが着いていたりして、どうやらかつては林業作業が行われていたらしい。
 急斜面を登り着くと平らな開けた場所に出た。そこからはやや緩い斜面となって尾根にたどり着いた。籔尾根だが、そのまま登って行けばおそらくは鞍掛山に至る尾根だ。方向を右に変えて尾根の急斜面を下りると、その先には隣の山とのギャップがあり、その谷間は急ではあるがなんとか下りられそうだった。またしても木の根や倒木につかまりながら急斜面を下りるが、なかなか林道らしきものが見えてこない。最悪の場合はツエルトでのビバークを考えながら下りて行くと、鈴の鳴る音が聞こえてきた。そして、下に林道を歩いて行く人の姿が見えた。しかし、安心するのはまだ早く、林道への最後の下降には身長の高さに近い岩壁があった。都合良く倒木があったので、これにつかまって岩壁を滑り落ちて通過し、ようやく林道に降り立った。時間は4時40分、楽勝で明るいうちに駐車場に戻れる時間だ。


    崖に近い急斜面をひたすら登り切ると、平らな所に出た。かつての林業作業の跡地のように見える。


    尾根まで登る。籔尾根だが、ここを登って行けば鞍掛山に至るはず。山梨県の某山岳会でここを登った人たちがいる。


    反対側の斜面を激下り。ザイルを持ってこなかったのは失敗だったが、こうなることは全く予想していなかった。


    林道に下り着く。下に人の姿が見える。倒木にぶら下がるようにして岩場を降りる。


    下って来た谷間を振り返る。籔歩きトレーニングの成果が出て、無事帰還。


 降り立ったところは尾白隧道というトンネルの上流側だった。後に地図で確認したが、この尾根は鞍掛山に至る尾根で間違いなかった。ちょっと取り付き口だけ下見してみようとは思っていたのだが、まさかルートを見失って尾根まで登ってしまうとは思わなかった。谷での落石に備えてヘルメットを持って行ったのが少しは気休めになった。林道をゆっくり歩いて午後5時50分、明るいうちに駐車場に到着できた。

 錦滝のサクラソウは今年の花付きは良いとはいえない。クモイコザクラは増えているように見えるが、ずいぶん前の事なので記憶が定かではない。毎年咲いてくれていることは間違い無さそうだ。ルートを見失いとんだことにはなったが、全く焦ることなく対処できるようになった自分が少しだけ成長したように思えた。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東北被災地巡礼Ⅲ③  平成24年3月30日-4月1日

2012年04月12日 | 南アルプス
 平成24年4月1日(3日目)

 宿泊地の仙台から海沿いを南下して福島県に入り相馬市(できれば南相馬まで)を視察してから甲府に戻る予定で、9時過ぎホテルを出発した。高速道路を走る予定だったが、カーナビの設定を間違え、そのうえ道を間違えて一般道を走ることになってしまう。亘理町に後輩が内科乳腺クリニックを開業しており、日曜日は休みなのを承知で建物だけ見学させていただいた。クリニックは国道沿いにあるが、海からやや離れた高台にあり、津波の被害は無かったという。しかし、仙台にある彼のマンションは水につかり、家具は全て使えなくなったという。震災当日は停電となり、帰宅できずにクリニックの2階で毛布にくるまり、非常用のパンを食べてしのいだと後に手紙をいただいた。



    津波で木の枝にひっかかったゴミと壊れた家。


    相馬市の手前、国道沿いにあった災害廃棄物置場。「仮置場」とは書かれているが、いつになったら片付くのだろうか?


    木と金属などのがれきが混じり合った災害廃棄物。処理が相当大変そうだ。中には明らかに故意に捨てた産業廃棄物が混ざっているのは悲しい。


    壊れた学校の建物と案内標柱。


    2階まで津波が達していたと思われる。窓ガラスが粉々。


    学校の前から見る海側の景色。すぐ向こうに海が広がる。


    墓石はほとんどが倒れたままだ。ご家族は生存されているのだろうか?

 カーナビの地図を見ながら、国道を逸れてできるだけ海沿いの道を行くが、相馬市の手前で道が壊れており、国道に戻らざるを得ない場所があった。再び海沿いの道に戻ると、前方に大きな煙突が見えてきた。横を通り過ぎてみると、相馬火力発電所だった。福島原子力発電所があの状態なので、おそらくフル稼働なのだろう。その周辺の住宅街は壊滅的な被害を受けており、名取や仙台空港周辺、石巻などと同じく土台しか残されていなかった。


    相馬火力発電所とその周辺の住宅街。


    壊れた家。


    港近くの道路看板は下の部分が曲がってしまっている。


    相馬市の港近くの住宅街。ここはまだ整地されていない。

 相馬市で時間は午後1時を過ぎてしまい、ここまでで視察を止め帰路につく。福島西インターまで山を越えて1時間少々、さらに東北道をひた走り、渋滞に巻き込まれつつも甲府には9時半に到着した。
 まだまだ復興どころか、後片付けすらできていない東北の被災地。行政の立ち遅れは言われているが、がれきの処理に対する被災地以外の地域の理解も少ないように感じる。もちろん、復興のための予算も無いだろうし、増税は止むを得ないのではないかと、被災地巡礼のたびに思ってしまう。山梨県ももっと積極的に支援して良いのではないだろうか。いつ大震災に見舞われるかわからないし、次に支援を受けるのは山梨県かもしれないのだから。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

やまなしの夜富士

2012年04月09日 | 南アルプス
 今までにアップロードした動画を見てみると、圧倒的に北岳が多いことに気付きました。山梨県を代表する山と言ったら、やっぱり富士山でしょう。昼の富士山と夜の富士山、続けてお楽しみください。同じ場所から撮影した映像もあります。

やまなしの富士



やまなしの夜富士


 平成24年4月30日(月)、連休の2日目ですが、スターバックスアルプス通り店で上映会を開催することがほぼ決定しました。夜7時から2時間くらいの予定です。本来ならばトライアングルKの3人組と一緒に音楽会&上映会をやりたかったのですが、3人の都合がどうしてもつかず、今回は音楽付きの上映会となります。今回アップロードした映像も上映する予定です。音楽担当の花形先生はこの上映会に向けてまた新たにスピーカーの作製を始めたようです。ご期待ください。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

名峰北岳.mp4

2012年04月04日 | 南アルプス
名峰北岳.mp4



 大好きな山、日本第2の高峰北岳を周辺の山々から見た映像で綴ってみました。曲は若手女性演奏家グループ、1966カルテットです。平成24年4月1日に放送されたはずの「題名のない音楽会」に出演したはずなのですが、確かテレビ東京で放映されると思っていたので、レグザメニューでその日のテレビ東京そっくり全部録画しておきましたが、チャンネルを間違ったのか、録画されておらず、大変がっかりしています。
 メンバーの松浦りささんは高嶋ちさ子と12人バイオリニストのメンバーでもあり、山梨県韮崎市でコンサートがあった際に少しだけお話させていただきました。1966カルテットのコンサートはもうやらないのかと聞いたら、「呼んでください」と言われました。いったいどうやって呼べば良いのでしょうか?六本木STBでやったコンサートに行かなかったのを後悔しています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まだ雪の無い白根三山、晩秋の夜叉神峠と高谷山 

2011年11月25日 | 南アルプス
 平成23年11月16日

 いったい今年の天気はどうなっているのか?9月終わりに少し雪が降って、富士山や南アルプスが少しだけ雪化粧したかと思ったらその後は雪ではなくて雨ばかり。雪はすっかり解けてしまった。南アルプス林道バスの運行が終了する11月中旬になってもまだ雪化粧していない南アルプスなど今までに見たことがない。甲府盆地から見る農鳥岳は少し白くなっているように見えなくもないが、実際はどうなのか?夜叉神峠まで登って白根三山の様子を見に行った。

    夜叉神峠登山口の紅葉  色付きはいまひとつ。


    晩秋の夜叉神の森

 11時、夜叉神峠登山口に到着。秋晴れのすがすがしい空が広がる中を、11時半出発。しばらくぶりの山歩きですぐに息が上がるが、順当に1時間、休憩無しで峠まで登り付く。夜叉神峠から見上げる白根三山は・・・やはり雪が無い。キタダケソウはだいじょうぶなのだろうか?来年きちんと咲いてくれるのだろうか?氷河期の生き残りのその花は雪無しでは生きて行けない花だ。

    晩秋の夜叉神峠


    夜叉神峠から見る白根三山  まだ雪を纏っていない。


    夜叉神峠から見る晩秋の北岳


    晩秋の陽  向こうに見える尖った山が高谷山

 登りながら5~6人とすれ違ったが、峠に着くと平日ということもあって誰もいない。軽食を取りつつ40分ほど休憩し、今度はすぐ向こうに見える尖った山、高谷山に向かう。まだこの山には登ったことが無いのだ。夜叉神峠から見ると山頂直下が急峻に見えたが、登ってみるとさほどきつくなく、20分ほどで山頂に到着した。北岳側の林にぽっかりと穴が開いていて、北岳が良く見える。反対側はカラマツの林の隙間から櫛形山の上に立つ富士山が見えた。さほど眺望が良いとは言えないが静かで居心地の良い山頂だった。20分ほど休憩して下山、1時間ほどで登山口駐車場に到着した。

    高谷山中腹から見下ろす夜叉神峠登山口、芦安、そして甲府盆地


    高谷山山頂から見る北岳


    カラマツの林の隙間から見る櫛形山と富士山


    同上(ズーム)

 この季節になっても雪のない白根三山は異常としか言えない。高谷山の気温は5℃くらいだったので、暖かいとは言えないが、その後、20℃を越える暖かい日が1日あった。そして、11月23日の夕方から夜にかけて降った雨で、ようやく白根三山は雪化粧してくれた。このような天候が続くと、鹿の食害以上に植生に影響が出てしまうかもしれない。特にキタダケソウは、いつ絶滅するかも知れない危機的な花だと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

月光の鳳凰山一夜 平成23年8月12-13日(2日目)

2011年08月18日 | 南アルプス
 鳳凰山砂払山に到着したのは夜の10時半。テントを被って寝たのは12時だったが、寒くて何度も目が覚め、ほとんど徹夜に近い状態で未明3時に起きて活動を開始した。その間にタイマーをかけて白根三山側を1分おきに約170カット撮影したが、残念ながら流星は1個も写ってくれなかった。空を見上げている時に見た流星も1個だけだった。明る過ぎる月とやや霞んだ空のため、あまり条件が良くなかった。

 8月13日(2日目)

 月光に照らされた空は青く映る。それに薄明の青さが加わってオリオン座の浮かぶ空は真っ青に映った。流星はダメだったが、雲海の上に富士山が顔を出し、甲府盆地の光害を雲がかき消してくれたおかげで、美しいオリオン座を見ることができた。しだいに空が明るみ、星が消えて朝焼けの赤い空に染まる。美しい朝のひと時だ。場所を薬師岳に移動する。ここには鋸歯のようにギザギザした岩があり、前景に入れて富士山を撮影するには絶好だ。同じ場所を狙っていたカメラマンが三脚を立てていて、その脇に入れてもらって撮影する。

    夜明けのオリオン座と富士


    薬師岳岩峰と朝富士


    同上  別の場所から。

 さらに観音岳に向かって足をすすめる。朝焼けの空はこの途中で終わってしまい、白根三山の中腹まで朝日が差し込むようになる。途中の白砂帯にタカネビランジが群生している場所があったが、既に花期は過ぎており、痛んだ花ばかりだった。観音岳山頂の岩の上に乗り、周囲の景色を撮りながらしばし休憩し、今度は地蔵岳に向かう。

    薄明の白根三山


    タカネビランジとトウヤクリンドウ


    南アルプス特産種 タカネビランジ


    笠雲かかる北岳(観音岳から)


    朝の白根三山(観音岳から)


    雲湧く薬師岳と富士


    朝日射す岩峰と地蔵岳

 観音岳と地蔵岳のコルのところで少し遅い昼食をとる。時間は8時。これから地蔵岳、高嶺を越えて白鳳峠から広河原に降りる予定だが、寝不足がたたってこの時点で既にヘロヘロ状態だ。見上げる高嶺までの稜線は長く、しかも高嶺への昇りはかなり急峻に見える。食事を終えて出発した頃には雲が湧き始め、すっかりあたりの山々は見えなくなってしまった。案の定、高嶺への昇りは崖を登るような急傾斜で、40分と地図に書かれているところを1時間以上もかかってようやく高嶺の山頂に到着した。時間は10時半、これから広河原までの標高差1,200mを下らなければならない。

    雲巻く地蔵岳


    赤抜沢の頭岩峰  


    赤抜沢の頭から見る地蔵岳

 高嶺から先の道は本当に酷かった。昇って来たよりもさらに傾斜のある急下り、岩につかまりながら慎重に下りる。今度は大きな石の堆積したゴーロ帯だ。急いで歩けるような道ではない。白鳳峠に11時5分ごろ到着し、軽食をとってまた歩き出すが、再び歩きにくいゴーロ帯が続き、樹林帯に入ったと思ったらこちらはスリップしそうな急傾斜の道が続く。そのあたりはまだ良いほうで、ハシゴの連続する急下り、左方向にトラバースしたかと思えばまた急傾斜の下り・・・笊ヶ岳を思い出すような(あるいはそれ以上か?)の傾斜、かつ悪路で、久しぶりに膝がガクガクして力が入らなくなった。

    高嶺への急登  寝不足と歩き疲れで頭がクラクラ・・・


    一瞬だけ見えた高嶺から見る地蔵岳


    高嶺山頂。いつかここで一夜を明かして星空を撮りたいと思っているが、テントを張るのは難しそう・・・。


    高嶺から見る北岳。正面に見えるのが大樺沢。

 地図上では2時間半の道を2時間少々でなんとか下り、1時50分ごろ広河原に到着した。バスの時間は2時だと思っていたのだが、時間を間違えており、1時45分のバスが行ってしまった後だった。しかし、幸運なことにジャンボタクシーがお客さん2人を乗せて出発する直前で、そのタクシーに乗せてもらい、結局はバスを追い抜いて先に夜叉神峠に到着した。2時半、無事に車に到着。

    白鳳峠。ここまでの道は途中が崖のように急峻。


    白鳳峠上部のゴーロ帯。北岳の眺望が良い。この先の樹林帯は再び急峻、途中にハシゴが連なる。


    入り口だけは良さそうに見えるが実際はかなりの悪路。心して通過すべし!

 汗だくだったので芦安の山渓園といういつも利用している温泉に立ち寄って汗を流した。休憩室でちょっと横になったら1時間ほど意識を無くしていたようで、目を覚ませば4時半を回っていた。鳳凰山はどこから登っても下りても大変、睡眠不足で歩くような山ではないことをあらためて感じた。
コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

月光の鳳凰山一夜 平成23年8月12-13日(1日目)

2011年08月18日 | 南アルプス
 ペルセウス座流星群が極大の頃を迎えるお盆の週末、明るい月が邪魔をするが空気の澄んだ山の上ならば観察できるかもしれない。しかし、仕事の都合で13日の土曜日か14日の日曜日のいずれかは、短時間ながら出勤しなければならない。となると、選択枝はかなり限られてくる。夜でも簡単に登れる近場の山に行くか、それとも金曜日午後に強行して登って翌日下山するか・・・この頃の月は南南東の低い位置から昇って来るので、鳳凰山から見ると富士山に近い位置から昇り、北岳あたりに沈んで行くのを以前から計算してあった。ベストは鳳凰山薬師岳あたり、しかし、夜叉神峠から登ったとして少なくとも7時間はかかる。しかも夜道となると・・・。土曜日の天気予報は午後雨、迷いに迷ったが、雨と午後の雷を避けて安全に登るにはやはり12日の金曜日しか無い。午前の業務を終え、意を決して午後から甲府を出発し夜叉神峠登山口に向かう。

 8月12日(1日目)
 歩き始めたのは午後3時近くになってしまった。足の遅い私は果たして何時に薬師岳に到着するのやら。夜叉神峠を4時に通過、杖立峠6時、その先にある火事の跡地には6時半ごろ到着した。ここで軽食をとって休憩し、日没を迎える。夜叉神峠では雲のかかっていた白根三山が少しずつ姿を現し始め、東の空には金色の月が昇って来ていた。火事場の跡地の上部に富士山が見える場所があるのでそちらに行ってみたが、厚い雲に巻かれて富士山は全く見えなかった。

    夜叉神峠中腹に咲いていたバイケイソウ。花は緑色と思っていたが、白い花も咲くらしい。


    夜叉神峠から見る白根三山  雨が降りませんように・・・と祈る。


    火事場の跡地  ここで日没となる。


    夕暮れの白根三山  火事場の跡地から撮影。この頃には空が次第に晴れてきた。

 ヘッドライト点灯してさらに登ってツガの樹林帯をひたすら行くと、ようやく苺平に到着、時間は8時。さらに南御室小屋には8時40分になんとか到着した。ここで水を汲んで休憩しているとテント泊の若者が1人やって来た。単独行で、5泊で塩見岳まで縦走するという羨ましい限りの山行だ。私もやってみたいが、体力的に2泊3日がせいぜいだろう。

    夜の南御室小屋。月光が射し込む。

 9時、南御室小屋出発。月の位置がだいぶ高くなってきている。急がねば、と思いつつも遅い足はどうにもならない。10時半に砂払到山到着し、薬師岳はもう目の前だったが、薬師小屋の前を通って薬師岳山頂に寝るのはさすがに気が引けてしまい、白根三山の眺望が良い場所を選んでそこでテントをかぶって寝ることにした。

    月光射す入道雲と滝雲  滝雲のかかる山は辻山、入道雲の中には富士山が隠れている。(砂払山から)


    月光射す砂払山


    同上  別の角度から。向こうに見えるのは薬師岳から観音岳に続く稜線。


    月光の白根三山  空には雲があり、流星撮影は難しそうだ。


    月昇る白根三山  (正確には沈んで行く月ですが・・・)


    やがて月は北岳あたりに沈んで行く。その間、撮影したのは約170カットだが・・・

 月光に照らされ、雲と霞に巻かれた白根三山が幻想的に浮かんでいた。白根三山側の空は雲がかかってしまい、ペルセウス座流星群の撮影はちょっと厳しそうだ。岩の上に三脚を立て、タイマーで1分おきにシャッターが切れるようにセットして12時、明日の下山のことを考えて一旦寝る。シュラフカバーとウォームアップシーツの中に潜り込み、さらにテントをかぶったが標高2,700mの山上の夜はやはり寒く、何度も目が覚める。そして東の空にオリオン座が昇って来る未明3時、相当眠かったが気を引き締めて起き上がり、装備を撤収して今度は富士山の見える東側の撮影にとりかかる。(2日目に続く)


    薄明に昇るオリオン座
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花咲く北岳 平成23年7月16-18日(3日目)

2011年08月04日 | 南アルプス
 7月海の日の三連休2日目、北岳肩の小屋は今までに無い混雑だった。何度も利用している肩の小屋だが、1階までほぼ満室となり、食堂を寝床として開放したのを見たのは初めてだった。しかし、半分折りの毛布に1人ずつ寝られるだけのスペースは確保できた。決してきれいとは言えない肩の小屋だが、この小汚さが山に来ているという感覚を湧かせてくれ、私は好んでこの小屋を使っている。

 7月18日(3日目)
 早朝3時に起床して準備を始める。日の出は4時40分ごろで、それまでに山頂に到着するには3時半前に出発しなくてはならない。この日に夜明けの山頂を目指したのは8人中5人。2人は夜が明けてから山頂を目指し、1人は前日山頂を踏んだので小屋で待機となる。3時20分ごろヘッドライト点灯して小屋を出発し、順調に登って1時間ほどで山頂到着となった。
私は標高点のある南峰には行かず、北峰の上で1人三脚を構える。薄明の青い空には若干間に合わなかったが、台風接近のためかこの日の空は面白い雲が流れ、空は赤く焼け始めていた。北岳北峰から見る南峰の上には人がたくさん集まっていて日の出を待っているのが見える。その左側に富士山、右下側に間ノ岳から農鳥岳に続く3,000mの山並が連なる。甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳も良く見え、撮影場所としては南峰よりもこちらのほうが優れている(と思う)。

    北岳山頂と朝焼けの空


    朝焼けの甲斐駒ケ岳


    朝焼け雲流れる仙丈ケ岳

 日の出が近付くにつれて空はますます真っ赤に焼けてくる。眼下の雲海と朝焼けの空、流れ行く雲、めったに見られない素晴らしい景色が360度の眺望で広がる。何度も山の上で朝を迎えているが、これほどの朝はほんの数回しか記憶に無い。今回のメンバーはきっと山の神様に愛されているのだろう。

    朝焼けの空


    燃える朝焼け空に昇る朝日


    影北岳

 赤く焼けた空の下、やがて奥秩父山塊から朝日が昇る。空を真っ赤に染めて昇る朝日にしばし酔い痴れる。後に肩の小屋の小屋主、森本さんに話を聞いたが、今シーズン最高の朝だと言っていた。ふと後側を見れば大きな影北岳が出ていた。南峰に移動し、この影北岳を入れながら山梨百名山標柱のところで記念撮影する。朝日を浴びて皆の顔も赤く焼けた。

    北岳山頂で影北岳とともに記念撮影

 ここで2人は寒さと寝不足のためリタイアして肩の小屋に戻り、私を含めて残り3人は南東側斜面(トラバース道付近)のお花畑を見るため北岳山荘側に行く。北岳はこの先のお花畑が凄い。斜面一面に広がるハクサンイチゲを中心としたお花畑を前景に間ノ岳や仙丈ケ岳を入れて撮影するポイントがゴロゴロしている。今年はミヤマオダマキが例年に無くたくさん咲いていた。キンロバイは雪崩で木が傷んだのか(キンロバイは草ではなく低木)茶色い木の上部が露出して花がついていなかった。他にイワベンケイやハハコヨモギ、ミヤマシオガマ、チシマアマナなどの花が咲き、ウラジロキンバイという花も見つけた。ただ、絶滅危惧種キタダケキンポウゲはかなり注意して山頂付近のお花畑を探したつもりだったが、発見できなかった。

    ハクサンイチゲのお花畑と間ノ岳


    ミヤマオダマキ咲くお花畑


    イワベンケイ


    ミヤマオダマキ


    ハハコヨモギ


    山頂付近のお花畑と中央アルプス


    北岳山頂から見る北峰と甲斐駒ケ岳  朝は向こうのピークから撮影。私しかいませんでした。

 8時半、肩の小屋に戻る。荷物を詰めなおし、着替えをして最後に肩の小屋前で小屋主さんとともに記念撮影をして下山となる。毎年のように訪れているためか、顔と名前を覚えていただいたようだ。9時半下山開始、予定では3時のバスかタクシーに乗るはずだったがピッチが上がらず、4時ごろのジャンボタクシーに乗って芦安に戻った。芦安町営の山渓園という温泉に立ち寄り、3日間の汗を流して甲府に戻った。

    小屋主の森本さんとともに記念撮影

 初心者を連れての北岳だったが、全員無事に山頂に登り、下山できたことが何よりだった。若干雨に降られはしたが、花も景色も最高の条件に恵まれた素晴らしい山行だった。後に甲府駅前のTime Gangという飲食店で反省会をやったが、メンバー一同大満足だった。みんな楽勝で登ったと思っていたのだがそうでもなかったようで、疲れるには疲れたようだ。次の山をどこにするか、また検討したいと思う。
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花咲く北岳 平成23年7月16-18日(2日目)

2011年07月31日 | 南アルプス
 7月17日(2日目)

 朝から抜けるような青空が広がった。4時半朝食、5時半に出発する。いきなり草スベリの急登、メンバーの顔色を伺いつつ、疲れないように前日にも増してスローピッチで登る。3時間ほど歩いたところで樹林帯を抜け、シナノキンバイのお花畑に到着した。鹿の食害で年々縮小しつつあるお花畑だが、今年からお花畑全体をネット柵で囲い、鹿が入り込まないようにしてあった。さぞかしこの柵の設置には手間がかかったことだろうが、もっと早くこうすべきではなかったかと思う。

    出発前の白根御池小屋前で記念撮影。今日も頑張ります!


    草スベリの急登を登る


    迫る大迫力、北岳。もう、すぐそこに見えるのだが・・・


    草スベリ上部、シナノキンバイのお花畑を行く  今年からネット柵が設置されている。

 ここで私は三脚を出し、皆には先に行ってもらい存分に、気の済むまでこのお花畑の写真を撮らせてもらった。満開でちょうど見頃のシナノキンバイ、抜けるような青空、そして花が当たりのこの年、たくさん咲いている。何度も登っている北岳だが、今回が最も条件が良かった。急いで歩くなどもったいない。登山者にはやや迷惑だったかもしれないが周囲に気を使いつつ、三脚を担いだまま、気の向くままにシャッターを切りつつ、メンバーたちに30分ほど遅れをとって稜線に到着した。

    シナノキンバイのお花畑  今年は花が当たり年。


    シナノキンバイのお花畑と北岳


    シナノキンバイ


    ハクサンチドリが混じる。周囲の花はミヤマキンポウゲ。

 時間は11時過ぎ、予定していたよりも早く着いた。4人のメンバーは先に肩の小屋まで行ってそこで食事にすると言って出発した後だった。残り4人で仙丈ケ岳を眺めながら小太郎尾根分岐部で昼食にする。好天に恵まれたこの日は正午近くになってもまだ南アルプスには雲がかかっていない。甲斐駒ケ岳や八ヶ岳、さらにその向こうの北アルプスまで見渡せる。花と景色と空気を楽しみながらの贅沢な昼食だ。ゆっくり昼食をとり出発、稜線の眺めを楽しみながら午後1時過ぎ、肩の小屋に到着した。

    小太郎尾根分岐部の稜線から見る仙丈ケ岳(3,033m) この景色を見ながら昼食。


    花咲く稜線を歩く。北岳肩の小屋までもう少し。

 先行した4人は宴会を始めていた。この頃から山頂に雲が巻き始めたが、まだ持ちこたえられるだろうという判断で山頂をピストンしてくることにした。1人は体調不良、1人は既に酔っぱらっており、6人で出発する。山頂までは1時間少々の行程だが、目の前に北岳北峰(北岳山頂は双耳峰になっており、標高点は南峰にある)が迫ったところで雨が降り出す。山頂まであと20分とかからないが、雷雨になるかもしれず、下山の時間を入れると1時間はかかる。ここで引き返すことも1度は考えたが、空を見上げると意外と明るく、ここは山頂まで行くことにした。雨は小雨で間もなく止み、無事に山頂に到着、その頃には時折雲間から青空も覗いた。全員ではないが、ひとまず目的の山頂まで連れて来ることができた。達成感というよりもほっとした気分だった。

    山頂へ行く途中のチョウノスケソウお花畑


    チョウノスケソウ  小判のような葉が特徴。紫の花はオヤマノエンドウ。


    山頂到着、やったぜ!

 肩の小屋に戻って1時間と経たないうちに土砂降りの雨がやってきた。遠雷も轟く。この時間に山の上に居なくて良かった。雨は30分ほどで上がり、その後鳳凰山に虹が架かった。しかもダブルの虹だ。思いがけない山の神様の歓迎に感動しながらこの景色にじっと見入ってしまう。そして日没。仙丈ケ岳の左肩に、雲に巻かれながら真っ赤な夕陽が沈んでいった。空が雲におおわれてなかなか夕陽が見られない今日この頃、久しぶりに見る綺麗な夕暮れだった。

    鳳凰山にかかる虹  2本出ているのが見えますか?


    雲巻く仙丈ケ岳に沈む夕陽


    夕映えの北岳と夕陽を見つめる人々


    日没後の放射する夕陽

 一旦小屋の中に戻り、本日の寝床と明日の荷物を整理した後、8時ごろに外に出ると今度は赤い月が昇り始めていた。この日は十七夜の明るい月が昇って来る日だ。星を撮るには明る過ぎる月だが、富士山に近い良い位置から月が昇って来る。最初は雲に巻かれていた富士山も夜9時近くになってから雲が晴れ、雲海の上に浮かぶ幻想的な景色となった。肩の小屋の電気が消えた8時半過ぎ、ようやく北岳側の風景も撮影できるようになった。山頂にさそり座が昇り、霞のように淡く天の川が肉眼で確認できる。月明かりが明るすぎたがなんとか北岳にかかる天の川を撮影し、この日は床に着く。明朝は3時起床、北岳山頂で日の出を迎える予定だ。

    十七夜の月昇る  左の山は鳳凰山、町灯りは甲府市の郊外から南アルプス市方面。


    雲海に昇る月と肩の小屋テント場  静寂で幻想的な夜でした。


    月照らす北岳と天の川


 翌朝は目を見張るような真っ赤な朝焼け空となりました。今シーズン最高の朝焼けだったと肩の小屋小屋主さんが言っていました。近日アップします。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花咲く北岳 平成23年7月16-18日(1日目)

2011年07月31日 | 南アルプス
 平成23年7月16-18日

 1泊2日で十分に行ける北岳だが、今回2泊3日とした理由は、自身の頚椎症のため左腕に不安あり、どこで行動不能となるかわからないという身体的状況があったからだ。この計画を立てたのはまだ症状の酷かった2月ごろのことである。白根御池小屋1泊、北岳肩の小屋1泊で、かつ雪渓の残る左俣を通らずに行く行程は初心者向けの楽々北岳登山となる。2日目に山頂まで行くとしてもその標高差は約1,000mとなり、乾徳山や瑞牆山に登るのと同じくらいである。相棒の植田さんに声をかけ、経験者2人、初心者6人、計8人の構成で7月連休に北岳を目指した。

 7月16日(1日目)
 御池小屋までなので、黙々と歩けば3時間ほどで到着できる行程である。12時までに広河原を出発すれば十分だが、1週間前に行った八ヶ岳杣添尾根のようにいつ雷雨に出くわすとも限らず、出発を少し早めにして芦安9時のバスで行くことにした。予想通り芦安市営駐車場は満車で芦安小学校の下にある臨時駐車場に車を止めることになる。都合良いことに臨時駐車場にはジャンボタクシーが待っており、準備して15分ほどで全員同じタクシーに乗ることができ、バスよりも早く広河原に到着できた。

    北岳を目指して  これから広河原出発。皆さん期待に満ちた良い表情してます。


    大樺沢から見上げる夏の北岳


    大樺沢の流れ  橋のかかるこの場所で昼食。


    河原の岩の上でちょっとお昼寝。気持ちいい~! くれぐれも落石にご注意を。

 10時、広河原出発。決してピッチを上げることなく、30~40分に1回の割合で休憩を入れつつ大樺沢を登る。グンナイフウロやミヤマハナシノブ、センジュガンピなどの花が咲く河原沿いの景色を楽しみつつ、時に河原の石の上に寝転んで休憩しつつ歩き、途中の河原で昼食をとり、二俣には午後1時半ごろに到着した。今年は7月に入ってからの気温が高く、例年ならば二俣のかなり手前から雪渓歩きとなるのだが、登山道は完全に露出し全く雪を踏むことなく二俣まで行くことができた。雪を期待していた私には少し物足りなかった。ここまで来れば白根御池小屋までは1時間ほどで(私たちの足ならば)到着できる。下界は30℃を越える猛暑だろうが雪渓の残るこのあたりは涼しくて気持ち良い。ゆっくり休憩してから出発し、御池小屋には3時過ぎに到着した。

    登山道脇に咲くミヤマハナシノブ


    大樺沢二俣手前の雪渓。今年は雪解けが早い。


    右俣雪渓の下からモヤが湧きあがる。涼しい。


    右俣雪渓を背に記念撮影。北岳は雲におおわれる。

 缶ビールのほかにウィスキー1リットル、日本酒2リットル、さらに瓶のままワイン2本など、アルコール類は十分に持ってきており、さっそく宴会が始まる。5時過ぎに夕食となったがその後も宴会は続き、明日の荷物をできるだけ軽くするためにひたすら飲んだが、さすがに日本酒とウィスキーは飲みきれず明日に持ち越しとなる。一人は完全に出来上がってしまい、気がつけば布団ではなく小屋の廊下で寝ていた。私たちのグループがいちばん大騒ぎしていて、近くに座っていた宿泊客に笑われてしまった。

    白根御池到着。テントがたくさん。


    持ってきたワインで乾杯。瓶入りはちょっと重かったです。

 御池小屋はこの日は大混雑、1枚の布団に2人寝るはずだったが、植田さんはシュラフ持参しており廊下で寝てくれ、もう1人外で寝たいというので私が持参したツエルトをテント場に設置してそこで寝てもらった。おかげで2枚の布団に3人で寝ることになり、余裕をもって横になることができた。明朝は4時起床なので、この日は月がテント場を照らす9時まで夜の撮影を行い床につく。

    テント場と昇るさそり座  月明かりと霞で星写りは悪かった。雲のすぐ上にあるのがさそり座の胴から頭の部分。


    月光照らす北岳と白根御池小屋テント場
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミツバツツジ咲く十二ヶ岳、鬼ヶ岳、節刀ヶ岳 平成23年6月4-5日

2011年06月14日 | 南アルプス
 6月4日 梅雨の合間の天の川、十二ヶ岳一夜(1日目後編)

 大石峠登山口から反対側の淵坂峠、毛無山を経て十二ヶ岳に到着したのは午後6時半近かった。ちょうど日没の頃だったが、山頂には霧がかかり眺望が得られず、8時前には一旦テントの中で横になった。果たしてこの霧は晴れるのだろうか?
 横になっただけで眠ることも無く時間は過ぎて行く。10時半、そろそろさそり座が南中し、天の川が昇って来る時間だ。テントの換気窓から空を見上げると薄く霞がかかった空の上に星が輝いているのが見える。果たして天の川は見えるのか?三脚、カメラをセットして星空撮影用にモードを切り替え、眺望の効く山頂に向う。そこから見る眺めは・・・ああ、なんだ、この富士山は・・・!西湖とその湖畔を覆った霧の上にぽっかりと富士山が浮かんでいる。なんと幻想的な富士山のことか。空は霞んではいるがさそり座ははっきりと見える。天の川も鮮明ではないがなんとか見えている。これならば撮影できそうだ。来た甲斐があった。

    梅雨の霞に浮かぶ富士  眼下の西湖は霧でおおわれ、湖畔の明かりが透けて見える。


    梅雨の合間の天の川とさそり座


    十二ヶ岳山頂と夜富士  フラッシュ光オーバー、夜の雰囲気が消えてしまっている。

 山頂で富士山と星空を撮影するが、薄い雲(霧)が流れているようで、同じ条件で撮影しても写り方が1枚1枚まるで違う。霧が晴れている時に撮れた画像は、梅雨の空の合間に流れる天の川の雰囲気が良く出ている。

    富士を流れる梅雨の天の川

 さらにその先の尾根にミツバツツジが咲いていたので、今年になってから試している二段階フォーカス撮影を試みる。フラッシュの光量調整が難しく、まずティッシュペーパー1枚を折り畳んでフラッシュを覆って減光するが、光量オーバー。さらに2枚、3枚と追加し、最終的には3枚を八つ折にして重ね合わせた程度の光量で落ち着いた。ミツバツツジと富士山、さらに天の川が入る構図で撮影したかったのだが、なにせ狭い稜線の上、一歩間違えれば崖から転落しかねない場所なので、画角の隅にようやく天の川が入る構図が精一杯だった。

    夜のミツバツツジと霞に浮かぶ富士  まず手前のミツバツツジにピントを合わせてフラッシュ撮影、後ろの富士山にピントを合わせ直して30~60秒露光撮影したもの。合成ではありません。


    夜のミツバツツジと富士  天の川が隅になんとか入る。狭い稜線の上、これが限界。

 さらに鬼ヶ岳側に行くとロープが張られており、これを越えると岩の上から眼下の西湖と足和田山越しの富士の眺望抜群の場所がある。そこは間違ってスリップしたら大変、50mは軽く転落するだろう。夜なので足元に十分注意しながら足場を確認して撮影する。眼下の西湖を覆う生き物のようにうごめく霧、そこに浮かぶ富士山、そして富士山を覆う霞の上を流れる天の川。腕を故障して以来テント泊が減り、なかなか見られなかった山上の星空は、久しぶりに出会った友のように、暖かく歓迎して出迎えてくれたように思えた。未明2時半までこの星空と戯れ、テントに戻る。

    梅雨の霞に浮かぶ富士  ホワイトバランスを変えて出力。


    森に昇った夏の大三角形  プロソフトン拡散フィルター使用。


    林の中に張ったテント。後ろの薄明りは河口湖。

 ウトウトしたかと思ったらもう外が明るくなっていた。時間は4時半、もうすぐ日の出だ。朝日に照らされた富士山を見ようとまた三脚とカメラを持って展望地に行くが、随分と霞んだ富士山が立っていた。こんな状況で夜間撮影したのだろうかと思うほど不鮮明な富士山、夜と昼の世界は別物のようだ。PLフィルターやハーフNDフィルターを使ってみるがどうにもうまく撮れない。おまけに夜間に星空撮影で使ったプロソフトンという拡散フィルターが付けっぱなしだったことに後で気付き、朝はいまひとつの写真になってしまった。

    朝の富士山


    夜に撮影した場所でミツバツツジを再写。霞む富士山、さらに拡散フィルターがつけっぱなし。


    これから目指す鬼ヶ岳

 人が登って来る前にテントを撤収し、6時半には次の目的地、鬼ヶ岳を目指して出発する。(2日目に続く)
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

梅雨の合間の釈迦ヶ岳

2011年06月03日 | 南アルプス
 平成23年5月30日

 先週梅雨入りした甲府盆地は週末雨が降り続けた。職場の仲間を連れてツツジの花が咲いているであろう御坂山塊を予定していたのだが、雨のため中止になってしまった。週明けの30日、午前中はどんより曇り空だったが、午後になって青空が見えるようになってきた。携帯電話で三つ峠からの富士山ライブカメラを見ると、雲が巻いてはいるが晴れてきそうな雰囲気だ。手軽に行けそうな釈迦ヶ岳に行ってみることにした。

    入り口の日向坂峠。標高差が最も少なく楽に行けるルート。


    ミツバツツジ咲く。向こうの右側が節刀ヶ岳


    新緑の森に咲くミツバツツジ


    同上  向こうに見える山頂が釈迦ヶ岳

 いちばん楽に行けそうなルートを選んで日向山峠(別名どんべい峠)に車を置いてそこから出発。時間は午後3時になってしまった。稜線を5分ほど歩くとミツバツツジが咲いていた。数日間の雨と風のおかげで花はもう散り始めていた。盛期を少し過ぎてしまったようだ。それでも場所によってはちょうど満開の木もある。三脚を担いだまま稜線の林を右に左に、釈迦ヶ岳稜線らしく、ツツジが咲きかつ山頂が撮れるような構図を探して歩く。普通に歩けば1時間少々で山頂に到着できるところを2時間近くかけて歩き、4時50分、山頂に到着した。

    府駒山 ミツバツツジが登山道を彩る。


    満開のミツバツツジと釈迦ヶ岳


    ミツバツツジと釈迦ヶ岳(フラッシュ同調)


    ロープ場とミツバツツジ  山頂は間近。

 天候と気温が不順なためか、もう散ってしまっている木もあればまだ蕾のついている木もある。全体的にはミツバツツジは満開を少し過ぎたところだろう。あと1週間は見頃が続きそうだ。代わりに、真っ赤な蕾をつけたヤマツツジがもう数日で開花しそうだ。

    山頂の夫婦地蔵  富士山は雲の中。


    見頃を迎えていた山頂のミツバツツジ


    富士山が出ていれば、こんな感じで写真が撮れただろうが・・・


    こちらはまだ蕾


    もうすぐこっちの赤いツツジが咲く。

 30分以上山頂で待ったが富士山は雲に覆われて裾だけしか見えず、ミツバツツジを前景に入れての富士山は不発に終わってしまった。これからヤマツツジのシーズンとなる御坂山塊、稜線歩きに良い季節を迎える。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コイワザクラ咲く十二ヶ岳 平成23年5月15日

2011年05月22日 | 南アルプス
 平成23年5月15日

 朝起きれば前日に増して青空が広がり、富士山や南アルプスがくっきりと見えている。前日の乾徳山の疲れはほとんど無いように思えた。ならば少しだけ山へ・・・楽なコースを選んで、河口湖大石の林道を奥まで車で詰めて、最短ルートを十二ヶ岳まで行くことに当日の朝決めて出発した。
 コースの入り口は現在砂防ダムの工事を行なっていて、その後どうなっているのか見ておきたかったことが一つ、もう一つは初めてこの道を歩いた平成19年5月、フタバアオイという変わった花をここで見かけたのだが、翌年の6月は発見できなかった。まだ残っているのかどうか?8時45分林道突き当りの砂防ダム工事現場に到着すると、日曜日なので工事は行なっていないが、プレハブ小屋前の広い駐車スペースにはゲートが設置されて一般車は入れないようになっていた。ゲート前の道脇に車を止めさせてもらう。

    砂防ダム工事現場。工事はかなり進んでいるが、まだ重機が上部に置かれている。


    登山道脇に設置されている荷揚げ用モノレール


    砂防ダム上部。藁のむしろが敷き詰められている。

 砂防ダム工事はだいぶ進んでいて、荷揚げ用のモノレールが設置され、もともとはガレて崩落した沢だった登山道左脇はダムに変わり、崩れていた斜面にはこれから草が生えてくるように藁のむしろが一面に敷き詰められてきれいに様変わりしていた。かつての登山道は草や笹が生い茂る道だったのだが、すっかり刈り払われてきれいになり、日当たりが良くなっていた。反面、中腹に咲いていたギンランは姿を消していた。

    エンレイソウ


    ワチガイソウ


    花名不明


    ユキザサ

 砂防ダム工事の上部がフタバアオイを発見した場所で、登山道を左に逸れて山の斜面を捜すと、容易にフタバアオイを発見できた。しかも以前にも増してたくさん生えていた。日当たりが良くなって数が増えたようだ。バイケイソウやハシリドコロなどの毒草も増えている。斜面を右に左に三脚担ぎながらうろつき、写真を撮りながら登ったために、稜線の金山コルにたどり着くまでに1時間半もかかった。

    フタバアオイ 以前よりも増えていた。


    同上 この花はギフチョウの食草になるが、御坂山塊では絶滅してしまっている。


    ハシリドコロ これも増えている。食べると大変なことに・・・

 時間は10時半、金山のコルから十二ヶ岳までは30分もあれば到着できるのだが、花と富士山撮影に良い場所が無いかどうか探しながら歩いていると、途中の岩陰にピンク色の花を発見。岩のところの急斜面を下りて近付いてみると、初めて出会うコイワザクラだった。かつて毛無山から十二ヶ岳への竜の背を歩いてこの花を探したことがあったが、時期が早く発見できなったことがあった。見たかったこの可愛らしいピンクの花にやっと出会えた。その場所に咲いていたのは数輪だけだったが、さらに進んで行くと右側の谷(鬼ヶ岳側)の斜面に群落になってたくさん咲いているところが何ヶ所もあった。花を楽しみつつ、存分に写真を撮りながら歩いていると、十二ヶ岳まで1時間半もかかり、12時にようやく山頂到着。真面目に歩けば1時間半で到着できる最短ルートを3時間以上もかけて歩く贅沢な登山となった。

    稜線の林越しの富士山 新緑はこれから。


    こんな感じでツツジを入れて撮影できれば良いのだが、残念ながらこの木はツツジではない。


    発見、コイワザクラ。


    コイワザクラと鬼ヶ岳


    コイワザクラの群落 たくさん咲いていた。
 十二ヶ岳山頂はたくさんの人が休憩して食事をとっていたので、山頂から少し金山側に戻った眺望の良い場所で昼食をとる。眼下に西湖を望み、その向こうに大きく富士山が聳え立つ。御坂山塊から見る富士山はひときわ大きくて格好良い。稜線上に白いスミレが何か所か咲いていたが、休憩した足元にもそのスミレが咲いており、撮影して後に虫林花山師匠に鑑定していただいた結果、ヒメスミレサイシンということがわかった。御坂山塊をはじめとするフォッサマグナ沿いに咲くスミレらしい。先日本社ヶ丸に登った際に見つけた白いスミレもこれだが、これとは別に良く似たシコクスミレというのがこの季節には咲いているらしい。

    十二ヶ岳と富士山


    十二ヶ岳山頂 たくさんの人が富士山の眺望を楽しみながら休憩していた。


    眼下の西湖と富士山


    隣の鬼ヶ岳。新緑は中腹まで、あと1~2週間で稜線まで緑色になる。ツツジも咲く。


    足元に咲いていたヒメスミレサイシン

 帰りは真面目に(?)下山し、1時間かからずにゲートに到着した。コイワザクラという前から見てみたいと思っていた花に出会えた、思いがけない収穫があった十二ヶ岳稜線歩きだった。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

錦滝のユキワリソウと夕暮れの日向山

2011年05月18日 | 南アルプス
 平成23年5月9日

 例年ならば5月連休には満開を過ぎている錦滝のユキワリソウ。しかし、連休に日向山を訪れたのそむ君のレポートを見ても花が咲いているようには見えないし、その後に訪れた当院職員の話を聞いても何も咲いていなかったという。おかしい。数が減ってしまって見られなくなってしまったのか、それとも本当にまだ咲いていないのか・・・、自分の目で確かめずにはいられない。9日は月曜日だったが、午後から時間が空いたので錦滝廻りで日向山を訪れる。

    錦滝に向かう林道沿いはミツバツツジが満開


    尾白川錦滝 右側の岩のユキワリソウは満開だった。

 矢立石を午後3時に歩き始めたが、途中体調不良で15分ほど休憩し、4時頃に錦滝に到着。滝壺近くに降りてみるが確かに花が少なく、滝の両脇はまだ咲き始めたばかり。右側の少し離れた場所はほぼ開ききっていた。今年は桜の開花は早かったものの、その後の気温が高かったり低かったりと安定せず、ツツジも含めて開花が遅れたと同時に、一斉には咲かずにばらばらに開花を迎えたようだ。スギ・ヒノキ花粉も連休過ぎまでダラダラと飛び続けた。ひとまず咲いていたので安心する。

    ユキワリソウ


    同上(300mm zoom)


    同上(300mm zoom 側面から)

 ここから急登を1時間10分ほどかかって日向山雁ヶ原に到着。時間は5時半、日没には十分に間に合った。夕焼け空を期待していたのだが、空はうっすら曇り空で、西と北の空には暗い雲がかかっていた。東・南側は比較的良く、富士山もなんとか見ることができた。残照の甲斐駒ヶ岳を狙ってズームレンズを持っていったのだが・・・残念ながら不発。星も出てくれそうになかったので、午後6時半、町明かりが少しだけ灯り始めた頃に下山開始。最後の15分間はヘッドライトを使い、7時20分、駐車場に到着した。

    日向山雁ヶ原


    雁ヶ原の白砂と遠く富士山  夕暮れ時の影が長く伸びる。


    雁ヶ原の風化花崗岩と八ヶ岳


    雨乞岳と西に沈んだ夕陽


    夕暮れの甲斐駒ケ岳  赤く染まる残照を期待していたが不発。


    日向山山頂の標柱と甲斐駒ケ岳

 桜の花付きが良かった今年は花の当たり年になるだろうと予想していたのだが、どうもそうは行かないようだ。今後の展開に期待する。

    夕暮れの八ヶ岳  このカットを最後に下山。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

千田集落から羅漢寺山へ(前編)

2011年05月17日 | 南アルプス
 平成23年5月8日

 羅漢寺山は昇仙峡の上にある花崗岩が露出した美しい山である。昇仙峡の景勝地のひとつ、覚円峰もこの山の一角にある。昇仙峡から昇るロープウェイがあり、その裏側には許可車のみ通れる林道もついていて、メインのルートは非常に良く整備されている。しかし・・・岩でできたこの山は整備されていない難しいルートもある。そのひとつが平成20年12月に嶺朋クラブメンバーで歩いた旧羅漢寺のルートだろう。ほとんど歩く人がおらず、中~下部はルートが不明瞭になっているところがある。そしてもう一つ、羅漢寺山山頂(弥三郎岳)から仙娥滝に至る古い道、何件か事故が起きていて命を落とした人もいる「非常に危険」と書かれたルートである。写真が多いので、山頂までの前編と下山の後編の2部に分けてお届けする。

    昇仙峡の駐車場から見上げる新緑の羅漢寺山

 昇仙峡の奥にある開墾地千田集落からのルートはあまり人が歩いていないマニアックなルートだ。その分、静かな山歩きが楽しめる。羅漢寺山を周回するために、昇仙峡の駐車場に車を止めて昇仙峡の散策路と千田に行く林道のような道を歩く。新緑真只中の昇仙峡散策路はツツジや藤の花が咲いてすがすがしい。1時間ほど歩いて千田の集落に到着する。

    (新)羅漢寺とそこにかかる橋


    夢の架け橋


    ふぐ岩 新緑の昇仙峡遊歩道は楽しい。しかし、車がどんどん走って来るのはいただけない。ほとんどが山梨ナンバー。


    千田集落。住んでいるのは3~4軒らしい。昇仙峡の馬車を引く馬はここで飼われている。


    千田のみょうが畑

 登山道の入り口は看板も何も無いのでわかりにくいが、人家の蔵の横から入ってその裏を左に入ると登山道に入れる。(真直ぐ行くと竹林になってしまう。その手前で曲がる。)道はあるが踏み跡は少なく、何本か倒木が道を横切っている。やがてルートを示す看板が見えるようになってくる。30分ほど歩いたところで尾根を1本越えるが、ここにある看板に従って天神森方向に進むと遠回りすることになってしまい、斜めに逆戻りするように尾根に沿って登って行くとやがて道は明瞭になり、天神森側から来るルートと合流する。この尾根の取り付き点は看板が無いので注意が必要だ。

    千田からの登山道は正面に見える建物の右脇の道を入ってすぐに左に曲がる。


    倒木が数本あり。


    看板がつけられている。この看板のところを戻るようにして尾根に入る。

 天神森側から合流する場所にある微妙な方向を示している「見晴し台」の看板、その示す方向にもわずかな踏み跡があり、そこを登ると大きな岩につきあたり、その上が太刀の抜き岩見晴台になっている。岩に沿って左方向に進むと、あっさり普通のルートに出てしまったが、上から見るとこの岩を右側に回りこむと太刀の抜き岩に直接行けるようだ。(ルート未確認ですが、簡単に行けそうです。)

    天神森からの合流点。微妙な方向に見晴らし台を示す看板あり。


    細い踏み跡を行くと岩につきあたる。左に行くと登山道に合流するが右に行くと直接太刀の抜き岩に出られるようだ。

 天気は良かったが富士山は春霞に巻かれ、見えてはいるもののすっきりとはしなかった。太刀の抜き岩は鉾先のように尖った岩と並んで富士山が見える絶景地だが、周辺の松の枝が伸びてきて以前に比べて写真が撮りにくくなりつつあった。

    太刀の抜き岩とその右に富士山


    太刀の抜き岩、および獅子平への分岐点

 ここから先は遊歩道のような明瞭で歩き易い道になる。20分ほど歩くと左側に白山展望台がある。ここは風化した花崗岩の白い砂の向こうに茅ヶ岳、曲岳、黒富士の山々が並び、南側には南アルプス連山がずらりと並んで見える絶景地だ。さらに30分ほど行くと右側に白砂山展望台がある。ここからは羅漢寺山のゴツゴツとした岩肌と昇仙峡の深い谷が見渡せる。

    白山展望台から見る茅ヶ岳(左)と太刀岡山(右)


    白山展望台から見る南アルプス


    このあたりのミツバツツジはもうほとんど終わっており、代わりにトウゴクミツバツツジが咲き始めていた。


    白砂山


    白砂山から見る羅漢寺山 左のピークの下に見える大きな岩が鎧岩。

 10分ほどで旧羅漢寺への分岐となるコルに到着する。羅漢寺を示す古い看板は錆び付いていて文字が読めなくなってしまっているが、昇仙峡側の谷に続くルートが落ち葉にまみれてついている。羅漢寺山へはそのまま真直ぐ進んでロープウェイ山頂駅のあるパノラマ台へ登れば道は明瞭なのだが、ここにもまた「くらかけ山」と記された微妙な方向を示す看板があった。見れば尾根に向う踏み跡らしきものがあり、そこを尾根に添って登って行くと大きな岩の下に出た。ステップの切ってあるその大岩の間を抜けて登ると、山頂手前のピーク直下に出た。そこは寝そべられるような白い岩の台になっており、向いには先ほど居た白砂山が見え、その左側に富士山、右側には南アルプスが見える絶景地だった。すぐ上の展望台やロープウェイ山頂駅あたりはたくさんの人の声がするが、この場所を知る人は少なく、人が居ないのが良い。時間は12時、ここで昼食にする。

    「くらかけ岩」の看板に従って踏み跡の少ない尾根道を登ると、大きな岩の下に出た。この岩の上が絶景地。


    岩の上から見る白砂山と富士山

 その先は踏み跡が何本もあり、登るとすぐに大きな標柱の立つピークに出た。弥三郎岳山頂はその先だ。登山の格好をしている人が多かったが、ロープウェイを使って普通の運動靴で来ている人も見かけた。ルートが整備されているので、登山装備で無くてもこの山には来られる。

    弥三郎岳山頂と神社


    山頂から見る荒川ダムと能泉湖

 さて、下山。当初の予定では楽をしてロープウェイで下ろうと軟弱な考えを持っていたのだが、弥三郎岳直下の看板を見て気が変わった。「非常に危険 要注意」、いったいどんな道なのだろう。入り口だけ見れば普通に道がついているように見える。この道を下山してみることにする。(後編に続く)


    「非常に危険 要注意」この道を下山する。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする