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山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

富士山に昇る木星とオリオン座(インターバル撮影)

2012年11月12日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成24年11月10日、雨ヶ岳山頂で過ごした夜に試みた新しい撮影法がこのインターバル撮影だ。これは長時間露光撮影とは異なり、カメラをしっかりと固定して通常の星空撮影を繰り返し、それをビデオ編集ソフトでつなぎ合わせてあたかも動画のように見せる手法である。以前にふたご座流星群をこの方法で撮影したことがあったが、ビデオソフトがうまく使えず編集には失敗している。ソフトを新しくしたので今度はなんとか動画っぽく編集できるようになった。

 
 これは10㎜超広角レンズで撮影したインターバル撮影の映像の一部である。シャッタースピード34秒、インターバル1秒の35秒を1サイクルとして電池の続く限り(時間にして約1時間)、100枚以上の映像をつなぎ合わせて編集する。







 こちらは17㎜レンズでの撮影画像である。このレンズはF2.8の明るいレンズなので、シャッタースピード24秒、インターバル1秒の25秒1サイクルで撮影している。生き物のように流れ行く雲の上を木星とオリオン座が昇って行く姿が映し出されている。








 それでは、お楽しみください。「富士に昇る木星とオリオン座」初めて公開するインターバル撮影です。音楽は1966カルテットのファーストアルバム「BEATLES CLASSICS」の中から「Good Night」です。

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富士に昇るオリオン座と冬の大三角形 雨ヶ岳  平成24年11月10日-11日

2012年11月11日 | 御坂・毛無・天子山系
 今年の富士山は10月にすっかり雪化粧し、富士山らしい綺麗な容姿を見せている。11月10日から12日までの3日間はちょうど雨ヶ岳の山頂からダイヤモンド富士が見られる日だ。特に11日の日曜日は山頂真ん中から日が昇る絶好の日だ。しかし、問題なのは天気だ。予報ではこの日は昼過ぎから雨。しかし、天気が崩れ始める前は狙い目でもある。ひょっとしたら、雲海の上に富士山が浮かんでくれるかもしれないからだ。何度も雲海上のダイヤモンド富士を求めて登っている毛無山・雨ヶ岳山塊だが、チャンスは何度もあったが未だに雲海上のダイヤは撮影に成功していない。今回も一発勝負、テントを担いで雨ヶ岳に登る。さらにもう一つの狙いは、東の空から昇って来るオリオン座と冬の大三角形だ。ちょうど富士山の左裾あたりから昇って来るはずで、木星が接近している今は賑やかな夕暮れの空になっている。

 当直開けて2日目なのでとても早起きなどできず、ゆっくり起きてお風呂に入り、甲府の自宅を出発したのは既に昼の12時を回ってしまう。前回は今年の2月に本栖湖側から登ったので今回は静岡側の根原から入山することにした。1時過ぎに到着したのは良いが、林道入口の駐車場手前で既に立ち入り禁止になっている。車を止められず、止む無く朝霧高原道の駅の前を右折して東海自然歩道の通る草原に入ってみたが、どうみてもかなりの距離がある。戻って根原小学校脇の細い道に入るが、ここは行き止まり。さらに戻ってガソリンスタンド脇を入ると車が止められるスペースがあった。しかし、ここはどうみても私有地だ。しかし、使われている様子はないので、その空き地の隅に車を止めさせていただく。出発は午後1時50分になってしまう。またしても、明るいうちに山頂には到着できそうもない。

    私有地と思われる空き地に車を止めさせていただく。後ろに見えるのが目指す毛無山・雨ヶ岳の山塊。


    このゲートの先に駐車場があるのだが・・・通行止め。この先で工事している場所があり、道幅が狭くなっていた。


    ここが使えると楽なのだが、当分は使えなそうだ。駐車料金ではなく協力金の徴収箱が設置してある。

 アスファルトの林道を進むと別荘地を過ぎてA沢貯水池のところで東海自然歩道と合流する。この道は良く整備されていて随所に立派な道標が立てられている。道標に従って端足峠(はしたとうげ)に進むと、急傾斜ながら道はジグザグにうまくつけられており、30分ほど登ると端足峠に到着する。時間は3時15分、1時間半弱で峠に到着した。

    東海自然歩道に出る。フェンスの向こうがA沢貯留池で、飲料水のため立ち入り禁止になっている。


    端足峠の分岐。ここから登りになる。


    端足峠から見る富士山。陽の射す角度が良く、PLフィルターがパッチリ効く。

 あまりのんびりしているつもりはなかったのだが、今日の富士山があまりにも綺麗だったので三脚を出して撮影しているとあっという間に30分も時間を費やしてしまう。この先から本番の雨ヶ岳急登が始まる。良く刈り払われた笹原の急登を過ぎさらに続く林の中の急登を登り、標高1,500mあたりのところで時間は4時半を回る。赤く焼ける富士山を期待していたのだが、ほとんど染まらずにあっさり日が沈んでしまう。もうすぐ暗くなるのでヘッドライトを装着し、午後5時ごろから点灯して登る。そして山頂直下の最後の急傾斜を空腹のエネルギー切れと闘いつつ、すっかり暗くなった午後5時45分、山頂到着した。

    端足峠付近から見上げる雨ヶ岳。すぐそこに見えるのだが、ここからが急登りの始まり。


    笹原の急登


    なかなか到着しない雨ヶ岳。まだまだ続く急登り。


    夕暮れの空。あまり染まらずにあっさりと陽が沈む。


    山頂到着は6時少し前。端正な富士山が聳える。右が駿河湾の明かり、左は河口湖の明かり。

 テント設営の前にしばし眼前の富士山と星空を眺め休憩する。一通り撮影したところでテント設営して夕食をとる。午後8時を過ぎた頃には東の空に木星が輝いているはずなので、その時間に再びテントの外に出て撮影を始める。この日は新兵器、ハーフミストフィルターを持って来た。これは、ソフトフィルターを使うと星は大きく写るが、反面山や景色がぼやけてしまうので、下の部分をシャープに写して空の星をぼかそうという発想だ。しかしながら、そのフィルターは空が白く写ってしまい、失敗に終わる。さらにもうひとつの兵器、それは手製のハーフソフトフィルターだ。これはプロテクターにフィルムを張り付けた自家製のもの。しかし、つなぎ目の部分に線が入ってしまうのではないかと心配していたのだが、どうやら大丈夫そうだ。木星が大きく輝いて写るがその他の星はいまいち、もう一工夫必要そうだ。

    天の川と夏の大三角形。これはフィルター無しの画像。


    富士に昇る木星  ハーフソフトフィルター使用。運良く流星が流れてくれたが、飛行機は邪魔。


    富士に昇るオリオン座


    木星とオリオン座  広角10㎜レンズ+ハーフソフトフィルター


    富士に昇る木星と冬の大三角形  富士山の真上でシリウスが輝く。今回いちばん撮りたかった画像。

 天候に恵まれたこの日は雲が流れつつも空が澄んで素晴らしい星空が広がった。久しぶりに山上での至福の夜を一人過ごした。さらにもうひとつ、新しい試みを行ってみたのだが、それは後日(といっても編集に時間がかかりそうなのでしばらく先になりそう)ご披露することとしよう。
 さて、明朝は未明3時半に起床の予定だ。ダイヤモンド富士の前に、今度は富士山の裾野から二十七夜の細い月が昇って来るはずだ。ひとまずは寝なければ。明日の好天を祈りつつ、10時半、シュラフにもぐり込んで寝る。


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今年も咲いてくれるのか?早春の思親山  平成24年4月8日

2012年04月13日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成24年4月8日

 甲府市武田通りの桜が満開になった。ちょうどこの頃に咲く花、それが思親山のあの花だ。昨年はこの季節に2度訪れ、ようやく出会うことができた。今年は咲いてくれるのか?
 思親山は登るよりも佐野峠まで車で行くほうが大変だ。林道の道幅が狭く、対向車が来ると交差するのが容易ではない。ここに行くたびに、「対向車来ないでくれ」と祈りながら車を運転している。林道途中2台の軽トラックと遭遇したが、いずれも山作業に来ていた林道を慣れた車だったので、交差できるところで私の車を待っていてくれ、難無く通過できた。佐野峠に12時頃到着。雲が巻いてはいるが富士山が姿を現した。

    佐野峠から見る富士山。左は天子ヶ岳。


    登山道脇に芽を出したバイケイソウを踏まれないように囲いがしてあった。左端がカタクリの葉で、花はまだ咲いていない。


    良く手入れがしてある思親山のヒノキ林。

 佐野峠から思親山山頂までは1時間ほどで到着でき、登山に行くというレベルではない。最初から三脚にカメラをセットして、花を探しながら歩き、途中登山道を逸れて林の中を捜したりしながら進む。カタクリはまだ咲いておらず葉っぱだけ。1株だけ蕾をつけたものを見つけた。ミスミソウは一部だけほころび始めていた。予定通り、1時間ほどで山頂に到着。

    思親山山頂。富士山は再び雲隠れ。 


    山頂の山梨百名山標柱は朽ちかけている。次に行くときはニスを持って行くことにしよう。


    のんびり食事して帰ろうとした頃に再び富士山が現れる。

 さて、あの花は?稀少植物、絶滅危惧種と言っても良いかもしれない花、カイコバイモ。他にも咲く場所の情報はあるが、見つけたのはこの山だけだ。まだ蕾で、1~2週間ほど訪れるのが早かったが、昨年に比べると本数は少ない。誰かが隠そうとしたのか、それとも枝打ちの杉の葉が偶然上に乗ってしまったのか、茎が杉の枝の下に隠れて曲がってしまっていたので、葉をよけて真っ直ぐに立つように直してきた。可哀そうなことに、6本のうちの1本は茎が折れてしまっていた。

    ほころび始めたミスミソウ。


    希少種カイコバイモ。まだ蕾で、少し時期が早かった。


    カイコバイモ  風に揺れてなかなかうまく撮らせてくれない。

 いつまでも咲いて欲しい、可憐な花たち。
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霧氷の王岳 平成24年3月19-20日

2012年03月28日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成24年3月19-20日

 未明に月齢3日の月が昇ってくる3月20日、天の川と細い月を撮影できる絶好のチャンスだ。この風景を撮影できるのは2月の中旬から3月いっぱいの約2ヵ月間、年に1度か2度しかない。かつて節刀ヶ岳、金ヶ岳から撮影を試みているが、なかなか週末にあたらず、月が明るすぎて満足なものは撮れていない。特に3月になると春霞が増えて撮影が難しくなる。
 3月18日も空は雲が多く、星空など望めるような空ではなかった。しかし、天気図、雲画像を見ると、一瞬だけチャンスが来るかもしれず、うまくすれば雲海の富士と月と天の川が見られるかもしれない状況にあった。未明に天候回復を期待して、午後3時45分、西湖ほとりの根場を出発する。鍵掛峠まで約2時間、そのあたりで日が暮れて、あとは王岳までの稜線をヘッドライト点けて登るという、いつもの夜行登山だ。

    西湖ほとりの根場から見る王岳。空はどんより曇り空、こんなんで大丈夫??


    鍵掛峠直下のお地蔵さん

 予定通り、日没を過ぎて暗くなり始めた頃に鍵掛峠に到着した。展望台からは雲に巻かれた富士山が少しだけ顔を出していた。ヘッドライト点灯して稜線を進が、この先のアップダウンでアイスバーンとなった雪に相当苦戦することになる。根場から見上げる限りでは雪は心配なさそうだったのでアイゼンは置いてきたのだが、登山道だけ踏み固められた雪が残って凍りついていたのだ。特に下りは相当神経をすり減らし、木や根につかまり、時には笹やぶの中を歩いて慎重に進んだ。山頂に近付くにつれて霧に巻かれるようになり、あたりは真っ白な世界になる。気温をみると-8℃、想定外に冷え込んできた。悪戦苦闘すること2時間、午後8時にようやく王岳山頂に到着した。富士山どころか、町の明かりも全く見えない。しかし、空を見上げると時折星空が透けて見え、雲はそれほど厚く無さそうだ。明日の朝を期待して、この日はテント設営して9時半に寝る。

    鍵掛峠展望台から見る富士山  雲に巻かれるが、かろうじて姿が見える。

 翌朝は3時半に起床した。テントの外に出ると、相変わらず霧が巻いて何も見えない。狙っていた星空はあきらめて、再びシュラフに潜り込んで寝て、今度はあたりが明るくなった5時半に起きた。テントの外に出て目を見張った。霧と冷え込んだおかげで、あたり一面出来立ての真っ白な霧氷の世界が広がっていたのだ。

    翌朝の風景。一面に霧氷の景色が広がる。


    霧氷の王岳山頂


    霧氷の森


    霧氷の空

 三脚を担いで霧氷の森を行ったり来たり、やがて雲間から朝日が差し込み始める。そしてついに・・・雲に浮かぶ富士山が朝日を浴びて姿を現した。狙っていた星空と月は見られなかったが、代わりに思ってもいなかった新鮮な霧氷の世界と富士山を目にすることができた。富士山はわずか30分ほどで再び雲の中に隠れてしまった。

    霧氷と雲上の富士


    霧氷と富士


    霧氷と毛無山


    眼下に見える西湖  富士山はわずか30分で姿を消す。


    霧氷の山

 9時、テント撤収して下山開始する。帰りは鍵掛峠ではなく、王岳直登ルートを下山する。一面の霧氷の景色に感動しつつ、シャッターを切りまくる。この景色は1,500mあたりまで広がっていた。またしてもアイスバーンの登山道に苦戦し、今度は見事にスリップして尻もちをついた。危険な斜面ではなくて幸いだった。かつては不明瞭だった下部の砂防ダム付近は道が整備され、テープや看板がつけられて踏み跡もしっかりしていた。

    帰りは根場からの直登ルートを行く。道標が立ち、道も整備されていた。


    こちら側も凄い霧氷の景色が広がる。


    同上


    標高1,500m付近。このあたりで霧氷の景色は終わる。そしてこの先、アイスバーンの道に苦戦。

 根場いこいの里から王岳を振り返ってみると、もう既に霧氷はわずかしか残っていなかった。王岳よりも標高の高い雪頭ヶ岳、鬼ヶ岳はまだ真っ白だった。こんな白い世界は、きっと今シーズンこれが最後なのだろう。山の神様からの贈り物・・・。

    根場いこいの里から見上げる王岳。既に霧氷はわずかしか残っていない。
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厳冬の雨ヶ岳一夜(後編)  平成24年2月4-5日

2012年02月20日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成24年2月5日(2日目)

 冬の山で一夜を過ごすためには不可欠な燃料が夕暮れを過ぎた午後7時で尽きてしまい、替え燃料を持って行くのを忘れてしまった。このピンチをシュラフ2枚にシュラフカバーを掛けた3重の装備で夜を過ごすことにした。-15℃までは十分に耐えられるはずだ。幸運にも雪を溶かさずとも十分な量の水を持ってきており、火力を必要としないパンや行動食は十分にあった。さらに、幸運にも風があまり吹かなかったので体感温度はさほど寒くはなかった。

    富士に昇る春の大三角形  月が明るすぎて星の写りはいまひとつ。


    星空の解説。土星と火星があり、そちらのほうが春の大三角形よりも明るい。

 夜9時、一旦寝て、次は春の大三角形が富士山の上に昇ってくる未明1時過ぎに起きる。そしてまた寝て次はさそり座が昇って来る3時半に起きる。(ほとんど寝た気がしない。)そのままシュラフとカメラを行ったり来たりで夜明けを迎えてしまう。さそり座は計算した通りの位置に昇って来た。その尻尾のところから伸びる天の川が富士山の上で弧を描くような構図、Milky Way Bowが今回の狙いだったのだが、若干時期が早く、天の川は朝焼けの明かりの中に消えてしまい、写らなかった。

    昇りはじめたさそり座  富士の右側にさそり座の胴体あたりまでが昇っている。


    薄明の空に昇るさそり座  天の川は朝焼けの中に消えてしまう。


    黎明の富士

 ダイヤモンド富士にはならなかったが、山上の夜明けは美しい。赤く染まる水平線、蒼く染まる空、夜明けとともに次第に消えて行く星々、そして日の出。この時ばかりは寒さを忘れて東の空を眺めていた。夜明けとともに富士山には雲が巻き始め、雲の上のダイヤモンドのような富士山を見ることができた。

    日の出直前の富士


    富士山から昇る朝日  1週間遅れでダイヤにはならない。


    山頂の木を入れてダイヤモンドな富士


    雲霞の上のダイヤモンドな富士


    同上


    あっという間に雲が湧きはじめ、下山開始後は完全に雲の中に隠れてしまう。

 思ったほど寒さを感じることなく一夜を過ごせた。朝食はパンとシリアルバーで済ませてテントを撤収、8時半に下山開始する。登りよりも下りのほうがスリップしそうで気を使う。順調に下山し、10時25分、車を止めた広場に到着した。車のフロントガラスには氷がびっしりと張り付いていた。

    フロントガラスに張った氷

 雲海に昇るダイヤモンド富士はそれらしきものは撮影したものの、今回もおあずけとなる。いつかきっと・・・。
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厳冬の雨ヶ岳一夜(前編)  平成24年2月4-5日

2012年02月20日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成24年2月4日

 予定では前週の1月28日に山頂で朝を迎え、ダイヤモンド富士を撮影して下山するはずだった。ところが・・・朝地震が2回、しかも震源地は富士山に近い位置。もっと凄い揺れが来るかも知れないと思うと、登る気にはなれなかった。1週間遅れて、ダイヤモンド富士にはならないが、薄明に昇ってくるさそり座と天の川を見たいのもあって、行ってみることにした。

    端足峠への本栖湖側登山口  雪が積もるが、踏み跡は明瞭。

 静岡側の根原から登ったほうが道はわかりやすいが、今回は本栖側から登る。距離が短かく、地図上からは早く登れそうに見える。竜ヶ岳登山口のある青少年スポーツセンター側の道路は冬期閉鎖されているため、本栖湖北側の道を回り込んで端足峠登山口に向かう。ゲート手前の広場は積雪15cmほどあり、ここに車を止めて12時45分に出発。ちょうど下山してきた2人連れがいたのでコース状況を聞くと、ずっと雪が積もっているそうだ。端足峠中腹で軽アイゼンを装着、峠には午後2時半に到着した。その際に、ヘッドライトを持ってくるのを忘れたのに気付くが、懐中電灯にもなるLEDランタンを持っていたのでこれで間に合わせることにする。

    端足峠登山道の中腹から見上げる雨ヶ岳。すぐそこに見えるが、峠からの登りがきつい。


    端足峠から見る富士山  峠から朝霧高原側の根原に行く道も踏み跡明瞭。


    端足峠から見る本栖湖と竜ヶ岳。10mm広角レンズだとここまで収まる。

 ここからが雨ヶ岳への急登となる。毛無山塊らしい急登が1時間以上も続く。日没が迫る4時過ぎ、ようやく富士山の眺望が効く山頂直下の草地に出た。眼下の朝霧高原には毛無山塊の影が伸び始めていた。その先も急登が続き、4時45分、ようやく山頂に到着した。

    雨ヶ岳への急登。1時間半ほどひたすら登る。


    山頂直下の草地(笹原)から見る朝霧高原と富士山  夕暮れが迫る。

 テントを張る前に撮影場所の確保のために笹原の雪を踏んで足場を固め、三脚を出して夕暮れの富士を撮る。日没を過ぎて薄暗くなったところでテント撮影、バーナーを炊いて暖をとりながら撮影を繰り返す。

    雨ヶ岳山頂と夕暮れの富士


    月昇る夕暮れの富士


    Earth Shadowの富士

 午後7時、月が富士山頂まで昇ったあたりで夕食をとると、間もなく燃料が無くなってしまった。もう1個の燃料に変えようとザックの中を探るが・・・なんと、替え燃料が入っていないではないか。いつもザックに入れっぱなしにしてあるのだが、この日はシュラフを入れ直す際に一旦取り出し、そのまま入れ忘れてきてしまったらしい。気温は軽く-10℃を下回る。暖をとらずに星空の撮影を行うことは相当厳しい。月明かりを使って下山することも考えたが、折角重い荷物を背負ってここまで来た意味がない。持ってきた替え下着、ももひき、靴下など全て着込み、シュラフ2枚とシュラフカバーを掛けてその中に潜り込んでみるとなんとか耐えられそうだ。ただし、外で撮影に時間をかけすぎて手足が冷えてしまうと暖める術が無く、凍傷になりかねない。そこで、レリースタイマーをセットして、構図を決めたらタイマーを使ってオートで繰り返し撮影し、その間はシュラフに潜り込んで体を冷やさないようにするという方法でその夜を過ごすことにした。

    冬の大三角形昇る富士  画像上のあかるいところは月。


    富士に昇る月とオリオン座  明るすぎる十三夜の月だが、空気が澄んだ山の上では星も写る。

 これで朝まで持つのだろうか?(後編に続く)
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初詣、釈迦ヶ岳の夫婦地蔵  平成24年1月3日

2012年01月07日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成24年1月3日

 新年初の山は、初詣を兼ねて釈迦ヶ岳の夫婦地蔵に会いに行った。林道は一部アイスバーンになっているところがあったが、距離は短く、ノーマルタイヤで問題無く登山口に到着。昨年は頸椎症の影響でだいぶ山歩きの頻度、距離とも減少してしまい、今回は自身の体調を見る目的もあったのだが、いつもと変わらなく歩けそうな気がする。
 今回は細い林道を車で登り詰めずに下から歩く。先月の三方分山で破損したレンズは現在修理中のため、今回カメラに装着したのは10-22㎜超広角レンズ、それと75-300㎜長尺ズームレンズを持って行く。この広角レンズが、被写体に相当近付いても周辺の風景まで写し込むことができて、なかなか面白い。

    10㎜広角レンズでの視野。愛用していた17㎜とは全く別世界を見ているような感覚になる。


    釈迦ヶ岳が迫るが、全く迫っているように見えない。


    尾根に到着。時間は11時なのに、日が低く影が長く延びる。

 11時半、山頂到着。既に7~8人の先客がおり、昼食の最中だった。雪はほんの少しだけしかなく、アイゼンは不要だった。山頂の夫婦地蔵は寒さを凌ぐために厚いマフラーをまとっていて、いつも以上に可愛らしかった。今年も安全に山に登れるように祈願する。

    西側展望地から見る甲府盆地と南アルプス、八ヶ岳


    富士山の上に面白い雲が流れる。


    今年も健康で安全に登れますように。

 軽くおやつを食べた程度で下山開始する。急いでいるわけではないのだが、この程度の登山では弛んだ今の体でもほとんど疲れないことがわかる。昨年に比べると格段に改善した左腕の痛みとしびれ、今年はどのくらい登れるのだろうか?

    長尺ズームで数カット撮ったが、やはり面白くない。山は近付いて広角レンズで撮影した方が迫力が出る。

 本年も頑張って登りましょう。ブログ愛読者の皆様、今年もよろしくお願いします。
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細月昇る富士、パノラマ台から三方分山

2011年12月26日 | 御坂・毛無・天子山系
  平成23年12月23日

 夜明けの南東の空に二十八夜の細い月と水星が並んで昇るこの日、夜明け前から三方分山のパノラマ台か精進峠に行く計画を立てた。しかし、前日は忘年会。朝起きられるかどうか不安があったが、4時少し前に目が覚め、急いで準備して精進湖に向かう。パノラマ台登山口から登りはじめたのは5時を過ぎていた。まだ月は昇ってきていなかったが、20分ほど歩いたあたりで富士山の裾野から昇り始めた細い月が見えてきた。中腹の展望地でひと休みしてここで三脚を出して月と水星を撮影する。あまりゆっくりしているとパノラマ台に到着した頃には夜が明けてしまうので、数カットだけ撮って出発。その中には、肉眼では確認していなかったが、富士山の上を流れて行く流星が写っていた。見ていなかったのが残念だ。

    富士の裾野から月が昇りはじめる


    流星流れる富士  撮影したカットの中に偶然流星が写っていた。

 しだいに開けて行く東の空と高度を増す月を横目で見ながら、パノラマ台目指してひたすら歩き、6時15分、パノラマ台に到着した。月は富士山よりも高い位置まで昇ってきており、水星の輝きは夜明けの空に消えかけていた。風がやや強く、気温は-8℃、結構寒かった。月の欠けている部分が地球の光の反射でうっすら光る地球照の写真を撮りたかったのだが、10分ほど到着が遅かった。

    細月昇る富士  パノラマ台に到着した時の月と富士。


    同上

 月が朝の光に消えて日の出が近付く。富士山の裾野に沸いた雲が金色に輝き、やがて日の出となるが、空気が澄んでいる割には思ったほど空は焼けてくれず、物足りない日の出となった。パノラマ台にはトイレが設置されており、三脚を立てたままでトイレに行った時に事件が起きた。トイレから帰ると、風に煽られて三脚が倒れており、岩にレンズを強打して愛用のレンズが破損してしまっていたのだ。Eos40D本体よりも高いレンズだっただけに相当痛かった。修理できるかどうか、これからカメラのキタムラに持って行くが、おそらくはレンズ光軸がずれてしまってダメだろうと思う。

    日の出直前の富士山。裾野に湧いた雲が輝く。


    富士裾野からの日の出  冬至の頃は精進湖界隈で富士山の裾から昇る日の出が楽しめる。


    朝日射す御坂山塊  尖って見えるのは王岳。


    本栖湖と毛無山山塊


    パノラマ台と日の出

 7時半にパノラマ台撤収し、三方分山に向かう。朝から何頭も犬が吠えている声がするので何かと思っていたら、精進峠で数人の猟師さんたちに出会った。今日はイノシシとシカの猟に何人もの猟師さんたちが入山しているという。いつもならば熊避けのために1人念仏を唱えながら(独り言を言いながら)歩いているのだが、迷惑にならないようにその先は無言で歩く。

    アセビの生える道を登る。


    精進山から見る富士山  下に光って見えるのは精進湖。


    眼前に近付く三方分山


    三方分山最後の急登。登りついて山頂かと思いきや、さらにその15分ほど先が標柱点。

 最後の急登を登りつくと平らになり、祠が立っている。ここが山頂かと思いきや、そうではなく、山頂はさらに15分ほど稜線を歩いたところにある。9時、三方分山到着、これで3度目の登頂となる。この頃には富士山はもう雲の中に隠れてしまっていた。
休憩して軽く朝食をとり、下山。来た道を精進峠まで戻り、峠から精進湖へ降りる道を下山した。数人の猟師さんと出会い、本日の収穫はシカ3頭、イノシシ2頭で、これから山から担ぎ出すのだそうだが、狩猟以上にこの担ぎ出しが大変なのだそうだ。半分以上下りたところで、60~70kgはあろうかという大きなシカを2人の猟師さんが登山道まで引き上げている最中だった。確かにこれは相当大変な作業、しかも高齢の猟師さんが多かった。

    平らで気持ち良い三方分山山頂


    到着した9時には、富士山はもう雲の中。

 山頂から1時間半ほどでパノラマ台入り口の駐車場に到着。防寒のために重装備で湖畔の道を歩いていると、カメラとマイクを持った7~8人のグループが向こうからやって来た。明らかに何かの取材だ。すれ違おうとすると、私のほうに寄って来た。東京12チャンネルの富士山をバスで巡って眺める旅企画をやられているそうだ。汚い格好をしているのにカメラが回っていたのでちょっと焦ったが、写真家の栗林先生の居場所を探しているらしい。場所を教えて、あとで写ば写ばに行ってみると、ちょうどインタビューの真最中だった。これから西湖周辺の樹海の案内をすることで話がまとまったようだ。突然のテレビ取材にも全くおっくうがらずに応対する栗林先生には頭が下がる。
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南アルプスと八ヶ岳を望む甲府盆地の夜景、春日沢の頭 

2011年12月07日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成23年11月27日

 登山を始めた6年前、簡単に登れそうな山を探して訪れたのが春日山だ。鳥坂トンネルの脇から尾根に取り付いて登ると、1時間ほどで到着できる。そこにある春日沢の頭という展望地は、山頂が切り払われていて甲府盆地の眺望が良く、左に南アルプス、右に八ヶ岳を望むことができる。いつか夜景を見に行きたいと思いつつも、簡単に行けるだけにいつでも行けるという思いがあったためか、ずっと行かずに今日に至ってしまった。午後3時過ぎから、鳥坂トンネル脇に車を止めて春日沢の頭に向かった。しかし、このトンネル脇に止めた車が後にトラブルに・・・

    鳥坂トンネル脇に車を止める


    午後3時半、日はもう西に傾いている。


    道標と尾根に登る登山道

 トンネルの芦川側に駐車スペースがある。旧道が脇を走っており、そこを進むと既に閉鎖されて使用不能となった古いトンネルのところに出る。右に登る道と道標がついており、そこを登ると10分ほどで尾根に出る。向こう側には甲府盆地の景色が広がる。右に行けば釈迦ヶ岳方面に、左に行けば春日山だ。小コブをいくつか越えて尾根伝いの道を行くと、4時15分ごろに目的地春日沢の頭に到着、ちょうど夕陽が南アルプスの左端に沈んで行くところだった。山梨百名山の標柱はここから先の少し下ったところにあったはずなので、荷物を置いて三脚とカメラだけ持ってそちらに行ってみる。しかし・・・かなり下ったが標柱が無い。さらに進んで、隣のピークのコルまで、10分ほど下ったがとうとう標柱は発見できなかった。そういえば、春日沢の頭にある標柱には春日山とは書かれておらず、方向が示されている。ということは、山梨百名山の標柱があったところが春日山なのではなくて、本来はさらに先にあるアンテナの立っているところが春日山なのだろうか?とすると、まだ私は春日山のピークは踏んでいないということになる。夕暮れ迫り、今回は行けないが、いずれこの先まで行ってみることとしよう。

    尾根道を進む


    春日沢の頭  右が八ヶ岳、左が南アルプス。


    夕暮れの南アルプス  山は南アルプス南部の荒川岳と赤石岳。


    甲府盆地に明かり灯る


    夕暮れの南アルプスと甲府盆地

 春日沢の頭に戻ると、もう日は沈んで夕焼け空になっていた。ヘッドライト装着して暗くなるのを待つが、空には雲が多くて星空は望めなそうだ。金星と月が接近している日だったが、それも難しそうだ。4時45分、甲府盆地に明かりが灯り、5時、夕焼けの空は闇に変わる。やがて東の空に木星が輝き出す。月も雲におおわれて霞んではいるが、姿を現した。

    夕暮れの甲府盆地


    林に昇った木星


    月昇る  金星も一時だけ輝いた。

 撮影していると、突然妻から電話がかかってくる、「警察から電話がかかってるけど・・・」。警察のご厄介になるような不祥事はやってない(バレてない??)はずだが・・・?。何のことか聞いてみると、トンネル脇に止めた車を通りかかった消防署員が発見し、暗くなっても人がいないので山菜取りか何かで入山して遭難したのではないかと警察に通報したらしい。とんだ遭難騒動に巻き込まれてしまった。ここは電波が悪く、一時的に電話が繋がったもののすぐに切れてしまい、その後は繋がらなくなってしまった。仕方なし、夜8時頃まで粘るつもりだったが、空模様はいまいちということもあって、撤退することにした。5時半、下山開始、6時に駐車場到着した。

    甲府盆地の夜景

 駐車場では電話が繋がるので妻に電話すると、笛吹警察署に電話するように言われたとの事で電話する。事情を話すと、何のおとがめも無かった。とんだ遭難騒動の夜景撮影だった。
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夕暮れの富士、新道峠と黒岳  平成23年10月26日

2011年10月29日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成23年10月26日

 御坂山塊の紅葉を期待して釈迦ヶ岳に登ってきたが、紅葉はいまひとつで期待したような景色は見られなかった。そして、夕暮れを見るならば眼下に河口湖の町明かりが広がるこの場所、新道峠から黒岳に至る尾根が良い。釈迦ヶ岳から下山し、4時半、新道峠の駐車場に到着した。先客は山梨ナンバーの車1台のみだ。平日なのでカメラマンは少ない。

    新道峠駐車場から見る夕暮れの釈迦ヶ岳

 駐車場から釈迦ヶ岳を見ると夕陽で赤く染まっていた。反対側の富士山はどうなのか?三脚を担いだまま新道峠に登り、定位置の木の生えている場所まで急ぐ。既に河口湖は夕闇に包まれ、町明かりが灯り始めた頃だった。富士山にはまだ陽が当たっている。赤く焼けるのを期待しながら先客1人と写真談義をしながら待つが・・・富士山も夕暮れの空もあまり焼けてはくれなかった。

    新道峠の夕暮れ富士


    同上  空も富士もあまり焼けないまま夕暮れとなる。

 このまま帰ろうかとも思ったのだが、足はまだ元気だったので、黒岳まで行ってみることにした。ひょっとしたら天の川が撮れるかも知れないという期待があった。奮闘50分、私にしては異例の速さで黒岳展望台に到着、時間は6時5分だった。もう夕焼けの時間は終わり、河口湖の町明かりの上に真っ黒な富士山が立つ。1枚撮ってみるが、予想通り河口湖の町明かりに富士山が負けてしまう。これを想定して町明かりを減光するためのハーフNDフィルターを持ってきた。露出時間やIso感度を変えていろいろ撮ってみるが・・・あまり面白い写真にはならなかった。

    河口湖の夜景と夕景富士  ハーフNDフィルター使用


    夕景富士と天の川  線が写っているのは飛行機。この時間には次々に飛んで来るためカットするのが難しい。
    
 6時半過ぎ、頭上には夏の大三角形が高く昇り、それを貫いて天の川が見え始めた。しかし、カメラの画角に入る低・中空部分は白く霞み、さらに町明かりが加わってすっきりとは見えてくれない。空は青空だったが、空気が澄んだ状態では無かったようだ。なんとか天の川と富士山が入るように撮影はしてみたものの、天の川は霞んでしまっている。7時過ぎまで粘ったが状況は変わりそうもなく、撤退する。下山途中、新道峠ではまだカメラマンが粘っていたが、やはりあまり良いものは撮れなかったようで、そのまま一夜を明かす予定を止めて、一旦撤退すると言っていた。

    東の空に昇って来た木星


    森に昇った夏の大三角形  中央を斜めに夏の天の川が流れているのだが、写らない。

 例年ならば9月中頃から星空の広がる夜が数日はあるのだが、今年は10月になってもほとんどそのような空にならない。りゅう座流星群もオリオン座流星群も空振り、さらに、火打山の夜も、蔵王も大朝日岳も夜は駄目だった。いつになったら星の輝く空が見られるようになるのだろうか。
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紅葉の御坂山塊、釈迦ヶ岳  平成23年10月26日

2011年10月29日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成23年10月26日

 久しぶりの秋らしい青空が広がったこの日、午後から西沢渓谷あたりに紅葉を見に行こうと出発した。その途中で見渡す御坂山塊や大栃山の上部3分の1あたりが良い具合に紅葉しているのが見えた。富士山も良く見えている。それを見て、気が変わり、目的地変更。ホームグラウンド釈迦ヶ岳に行って、紅葉の新道峠尾根の上に立つ富士山を見に行くことにする。

    登山道から見上げる紅葉の釈迦ヶ岳


    モミジの紅葉と富士

 いつもは広い道の脇に車を止めて林道を歩いて登るのだが、この日は時間短縮のために細い林道をいちばん奥まで車で行き、そこから登るという反則技を使う。30分ほど時間が短縮でき、釈迦ヶ岳山頂まで約1時間で到着できる。午後1時半に歩き始めて、順調に午後2時半、山頂に到着した。途中は紅葉してはいるが、まだ緑色が残ったまま葉が落ちてしまっている木が多い。カエデやモミジの赤もあまり鮮やかとは言えず、他の場所と同様御坂山塊も今年の紅葉はぱっとしない。

    御坂山塊の紅葉と富士


    同上  光の当たり方が悪いのもあるが、紅葉はいまひとつ。


    夫婦地蔵と秋富士


    黒岳と三つ峠山


    甲府盆地と八ヶ岳、奥秩父山系


    釈迦ヶ岳山頂と南アルプス

 午後3時になると日はだいぶ西に傾いている。新道峠の尾根に当たる光の角度が強すぎて写真撮影にはあまり良くない。ここはやはり午前中が良いのだろうが、それよりも紅葉が鮮やかではない。もっとすっきりした富士山が見られると思っていたのだが、予想よりも白く霞んでいた。夕暮れまで山頂にいるつもりだったが、いまひとつなので下山する事にした。

    西に傾く陽と南アルプス

 これでは満足できず、30分で車のところまで下山し、次の場所に向かう。
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道無き尾根を行く、節刀ヶ岳北側尾根

2011年10月21日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成23年10月19日

 この山に登るたびにこの道が気になっていた。山頂から裏側(北側)の林に入ると、急斜面を真直ぐに下りる明らかな道・・・2万5千分の1の地図にも記されていない。果たして、この先はどうなっているのだろうか。
 節刀ヶ岳の北側の尾根は何本にも分岐しているが、途中まで延びている林道が2本あり、そこからおそらくは登れるだろうと以前から予想はしていた。しかし、なかなか機会が無く、勇気も出なかった。しかし、終日晴れの天気予報、山の紅葉、そして偶然訪れた平日休み、これらの条件が揃って前日に行くことに決める。
 自宅を6時半に出て芦沢オートキャンプ場には7時過ぎに到着した。まずはコースの下見、登り口がどこなのかわからない。林道を行けるところまで行くと、車が3台ほど止められるスペースがあり、その先に道が続いている。その入口の立て看板には「通行不能」と書かれていた。少しだけ歩いてみたが、全く手入れされていない薮っぽい道が続く。その少し手前に川を渡る立派な橋が架かっており、そちらの看板には「危険、立入禁止」と書かれていた。おそらくはその橋の先が水沢山のコルを経て鬼ヶ岳へ行く尾根になっているのだろう。まともなルートはやはり無いことをここで覚悟し、単独で登って大丈夫なものか、迷った。
 林道を戻ってキャンプ場を過ぎたところで右側(東側)に行く林道があった。これが別の沢沿いに延びる林道だ。どこまで行けるのか、そしてその先に道はあるのか・・・行ってみると、300mほどのところで砂防ダム工事をしているところがあり、さらにその先まで車は行け、悪路ながら1km以上奥の林道終点まで行けた。その先には一見まともな道がある。地図を確認して、ここから取り付いてみることにする。下見で時間を費やし、時間は9時になってしまう。

    林道突き当たりの取り付き口。ここには一応道がある。


    ガレた沢を歩く


    水が流れてナメのようになったところもある。


    沢の詰め。右側に取り付く。

 沢沿いの道はほどなく消失してしまい、ガレた沢の中を歩く。時折道らしきものが出現するがすぐに無くなってまた沢を歩く。しだいに川幅は狭くなり、傾斜も増して、水の流れている場所もあった。ひたすら沢を詰めて行くと、遂に沢の源流にたどり着いた。段差になっていてそのまま真直ぐには登れず、右側の急斜面を登って沢の先にある尾根に登り付いた。そこには、林業作業の踏み跡と思われる道らしきものがあったが、急斜面を登って行くとすぐに道は無くなってしまった。

    道無き尾根をひたすら上に登る。向こうに見える尾根はどこなのか??


    1,500m平坦地に出る。北西側から来る尾根と合流し、そこには道らしきものがある。


    境界見出標が立つ

 晴天になると思っていたのだが、空は雲におおわれていまひとつ。かつ、山に雲が巻き付いて周囲の様子が見えない。高度計を見ると1,100mあたりだが、地図を見る限りではもう少し高そうだ。(後に100mほど低く表示されていたことがわかる。)クヌギ、ナラ、ブナの広葉樹林帯の中を尾根に忠実にひたすら登って行くと、右からの尾根と合流して平坦になった場所に出た。そこには境界見出標の杭が打たれていた。高度計は1,400mを示しているが、ここは地図上では1,500m付近の尾根分岐点である。右側から来る尾根には比較的明瞭な道が続いており、おそらくそちらが本来のルートだったのだろう。帰りはそちらに下りてみようとこの時は思った。

    1,500m平坦地の先は明らかな道。ところどころ藪に紛れるが、山頂まで道がある。


    林の隙間から見え始めた節刀ヶ岳。もう少し。


    節刀ヶ岳北側尾根、最後の登り。このあたりまでは以前来た時に下見しておいた。


    着いた!!節刀ヶ岳山頂。

 その先はところどころ低木の薮で断列するものの、比較的明瞭な道が山頂に向かって延びていた。ひたすら登り、最後の急斜面を登り付くと、山梨百名山の標柱の立つ山頂に飛び出した。やった!久しぶりに味わう達成感があった。時間は12時半、雲海の上に浮かぶ富士山が出迎えてくれた。ドウダンツツジは紅葉しているものの色はいまひとつ、葉先が茶色く焼けてしまっているものが多かった。御坂山塊も今年の紅葉はハズレのようだ。

    ドウダンツツジの紅葉と雲に浮かぶ富士山


    紅葉と御坂黒岳、三つ峠


    節刀ヶ岳山頂の紅葉

 昼食もそこそこに写真を撮っていると時間は1時を過ぎてしまった。登るよりも下るほうが遙かに道を間違え易く難しい。山頂には「通行不能」の看板も立てられている。1時10分、下山開始。最初の尾根分岐でいきなり道がわからなくなった。ぐるりと周囲を見渡すと、いちばん左側の尾根筋に境界見出杭があり、木には赤いペンキサインがついていた。そちらに進むとその先もずっとペンキサインがある。しかし、登って来た道とは様子が違う。1,500mの平坦地に出ないのだ。高度計で見ても明らかにおかしい。ふと見れば、左側には鬼ヶ岳から連なる尾根が見えており、西寄りの尾根を下りていることがわかる。しかし、ペンキサインがあるのでルートであることは間違いない。戻らずにその道をそのまま下りることにする。ひたすら真直ぐに尾根伝いに下りて行くと、突然ペンキサインが無くなってしまう。しかもその先は急峻な崖のようになっている。どうやら道を間違えたらしい。登り返してペンキサインのあるところまで戻り、周囲を良く探してみると、179番のペンキサインのところで30度ほど方角を北に変えて延びる尾根に道がついていた。

    山頂の看板には「通行不能」の文字。確かに・・・


    179番ペンキサインのところで尾根は30度ほど右向き(北西向き)にルートを変える。


    急傾斜を下り付くと沢の分岐部に出た。対岸にピンクのテープあり。

 その先は更に傾斜がきつくなり、道が脆く足を取られやすくなる。木の枝や根につかまりつつ、ひたすら下りるとやがて沢の分岐に降り立った。そこには、明らかな道があり、対岸にはルートを示すピンクのテープもあった。時間は2時半、道に迷いつつも、思ったよりも早くまとも(そうな)道にたどり着いた。

    沢の左岸から流れ込む滝があった。


    ルートを示すテープ。渡渉後、振り返って撮影。

 休憩しながら、沢に流れ込む滝を撮影する。渡渉してテープに導かれて道を進むと、もう一度沢を渡り返し、明らかな道に出た。そして程なく今朝下見した林道終点に出た。時間は3時。ここから林道を歩き、芦川オートキャンプ場で一休みし、そこから林道に止めてある車の回収まで30分以上もかかった。3時55分、車に到着。無事に帰れてひと安心、どっと疲れが出た。

    芦川オートキャンプ場奥の林道終点に出る。


    芦川オートキャンプ場。静かで良いところ。水がおいしい。

 節刀ヶ岳北側の尾根は予想通り道があることはわかったが、道標も何も無い上級者ルートとなる。普通の登山に飽きた方にはおすすめだ。但し、尾根を間違えて強引に下りざるを得ないことがあり得るので、ザイルは携帯したほうが良いだろう。


    今回歩いた(と思われる)ルート(ほとんど道らしき道はありません。)
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中秋の名月昇る富士 猪之頭峠から熊森山へ

2011年09月19日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成23年9月13日

中秋の名月は十四夜の月で、例年ならば若干欠けている月なのだが、今年は満月になった。この日は午後から休みをとってあり、当初は午前の業務を早めに切り上げて七面山に行く予定を立てていた。しかし、予定通りには行かないもので、終わってみればもう12時を過ぎており、今から七面山に行ったとしても月の出に間に合うかどうか難しい時間になってしまった。ならば、予定変更、猪之頭林道に行くことにする。ここならば車で行けるので、5時半の月の出には余裕で間に合う。途中栗林先生のところの「写ば写ば」に立ち寄って(残念ながら先生はおらず)コーヒーをいただいてから予定地に向かったが、余裕で3時に到着した。
 撮影に良さそうな場所にはもう車が何台も駐車されており、三脚が立てられていた。猪之頭トンネルすぐ手前から狙おうと思って現場に行くと、既に3~4人の先客がおり、三脚が立てられている。その後からも数台車が到着、場所取りで三脚だけ立てて車を別の場所に置きに行く人もいた。場所は余裕で確保できるのだが・・・撮影者の顔ぶれは高齢の方ばかりだ。やはりこういう場所は歩けなくなって山に登れなくなった時のために残しておくべきだろう。この上の稜線は樹林帯で眺望が悪いということは聞いていたのだが、木々の隙間を探して山の上から狙うことに決めた。

    猪之頭林道から猪之頭峠に登る獣道のような細い道


    猪之頭峠直下の林の中から見る富士山。こんな感じでの撮影も有りかなと考えながら登る。


    猪之頭峠から見る富士山  急な登山道から撮るので足場は決して良くはないが、撮影場所はある。

 トンネルの脇を右に行く細い道があり、急登を登って行くと30分ほどで猪之頭峠という場所に登り付く。かなりの悪路で、登るには良いが闇の中を下山するとなると道迷いを起こしかねない細い道だ。峠で左に曲がって登って行くと、笹と低木でやや視野が遮られるものの、十分に撮影可能な場所があった。さらに登って行くと、見上げるような急登りとなり、ツガの樹林帯に入る。このあたりはほとんど景色が見えないが、急登が少し緩やかとなって山頂まであと少しというところで森の切れ目を発見。左右の視野に制限があるが、富士山を切り抜くには十分の視界が得られる。ここで中秋の名月を撮影することに決める。

    熊森山に登る中腹から、振り返れば毛無山の山塊が見える。かなり遠い。


    熊森山山頂直下の林の切れ目。富士山と朝霧高原が見える。ここから月を狙うことに決める。

 その先、数分で山頂に到着した。その山の名前は・・・熊森山。名前は凄いが、至って静かな平らな山頂だった。三角点のところにあった看板はこの名前ではなくて「雲守山」というロマンチックな名前がつけられており、そちらのほうが山の雰囲気に合っているように思った。山頂で道は二手に分かれていた。ここは毛無山から長者ヶ岳に行く縦走路で、あまり歩く人がいないマイナールートである。予想していたよりもコース状況は良く、普通に歩けそうだ。もう1本の左手(南東側)に向かう道はおそらく猪之頭林道に直接降りる道だろう。昭文社地図には載っていない道なのでどうなっているかわからないが、分岐点で見る限りでは明瞭な道だ。

    熊森山山頂。平らで穏やか、熊の森のイメージではない。看板には「雲守山」とロマンチックな名が書かれていた。


    こちらの標柱には「熊森山」と書かれている。

 さて、山頂から少し戻ったところで三脚をセットして富士山頂に月が昇るのを待つ。現在地は標高約1,500m、平地での月の出は5時半ごろだったので、6時頃に山頂に昇ってくるだろうと予想して待つが、なかなか昇ってこない。富士の残照が消え、6時を過ぎてもまだ昇らない。携帯電話で七面山ライブカメラを見てみると、こちらはもう富士山の遥か上まで月が昇っていた。10分以上は時間差があるようだ。そして6時9分、待望の富士山頂からの月の出を迎える。雪の無い夏富士だが、これもまた面白い。ただ、想定していた残照の時間帯に昇る月ではなかったのがちょっと悔やまれた。

    三脚をセット、月を待つ。ついでに時間は早いがヘッドライトをセット。


    夕暮れの雲海と富士


    山頂近くに黒っぽい雲が湧き始めたと思ったら・・・


    あっという間に富士山は雲隠れ。このままダメかと思ったが、10分ほどで雲は晴れる。


    雲が晴れ、いよいよ月が昇りはじめる。


    中秋の名月昇る富士Ⅰ


    中秋の名月昇る富士Ⅱ

 月が富士山頂の真ん中を越えたところで撮影を止め、斜面を一気に降りて猪之頭峠付近の撮影適地に行く。焦って2度ほどスリップしたが、10分くらいで駆け下り、予定地に到着。うまくすれば富士山真上にある月が撮れるかと思ったのだが、若干遅れた。雲の中に隠れた月が輝きまた面白い写真が撮れた。

    富士山上に輝く中秋の名月Ⅰ


    富士山上に輝く中秋の名月Ⅱ

 月が富士山頂を離れたところで、6時50分撮影終了。三脚とカメラをザックにしまい込み、本日一番の難関、峠から林道に降りる道を行く。暗闇の急下りはやや怖かったが、登りながら念入りにチェックしてあったので、迷うことなく15分で猪之頭林道に下り立つことができた。林道ではまだ撮影している人の姿がたくさんあった。
 なかなか空が晴れない今日この頃だが、気温が下がらないこの時期にしては抜群の月が見られたと思う。予定していた場所とは2度も違ったが、一度登ってみたいと思っていた猪之頭峠稜線、かつ撮影場所があるということがわかったことは、大きな収穫になった。

 (今回の中秋の名月は、さっそく先日開催された「山と花と星の奏でる演奏会」で上映させていただきました。)
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ミツバツツジ咲く十二ヶ岳、鬼ヶ岳、節刀ヶ岳 平成23年6月4-5日(2日目)

2011年06月20日 | 御坂・毛無・天子山系
 6月5日 十二ヶ岳から鬼ヶ岳、節刀ヶ岳、大石峠を経て下山

 十二ヶ岳の朝は、なんとか晴れてはいるものの霞が多く、富士山は霞んで微かに見える程度だった。横になって少しウトウトした程度で、ほとんど徹夜に近い状態で朝を迎えた。朝食をとり、テントを撤収し、6時過ぎ、隣の鬼ヶ岳に向って出発する。
 この先の稜線はミツバツツジがたくさん咲いている。富士山を入れて撮れる良い場所を探しながら歩くが、なかなか無く、富士山も霞で真白になりうまく写ってくれない。

    十二ヶ岳から見る西湖と富士 ハーフND+PLフィルター使用


    十二ヶ岳のミツバツツジと富士


    ドウダンツツジと鬼ヶ岳


    振り返って見る十二ヶ岳  右側に肉眼では富士山が見えたのだが・・・写真では見えない。


    節刀ヶ岳

 分岐部の金山でテント、シュラフ、余計な水や食料を下ろし、荷物を軽くして鬼ヶ岳に向う。御坂山塊は再三歩いているが、実はこの金山から鬼ヶ岳の道は歩いたことがなかった。鬼ヶ岳山頂から見る限りでは急傾斜の下りで、さぞかし悪路なのだろうと思っていたが、実際に歩いてみると山頂直下意外は歩き易い良い道だった。この稜線はミツバツツジと富士山を撮影するに良い場所があったが、この日の富士山はご機嫌悪く、PLフィルターとハーフNDフィルターをかけてようやく見られる程度だった。

    金山の分岐点。ここに荷物をデポして鬼ヶ岳へ。


    鬼ヶ岳稜線のミツバツツジと富士山


    同上  下の湖は西湖、右の山は雪頭ヶ岳。


    鬼ヶ岳山頂のミツバツツジと富士  PL+ハーフNDフィルター使用


    鬼ヶ岳山頂の鬼の角と十二ヶ岳

 金山に戻ってしばし休憩。寝不足で頭がぼんやり、体がだるい。節刀ヶ岳は止めようかとも思ったのだが、折角来たのだから立ち寄ってみると、意外にも節刀ヶ岳山頂付近はミツバツツジがたくさん咲いていた。ここはドウダンツツジの山だとばかり思っていたのだがミツバツツジもたくさんあった。時間は10時、この頃にはもう富士山は見えなくなってしまっていた。以前から気になっている節刀ヶ岳の裏側に続いている道、いったいどこに下りるのだろうか?10分ほど下りてみたが、ルートはしっかりしている。しかし、2万5千分の1の地図にもこのルートは載っていない。いつか機会があったら下りてみたいと思う。

    節刀ヶ岳山頂のミツバツツジ


    節刀ヶ岳のミツバツツジと十二ヶ岳  天気が良ければ富士山をバックに撮影できる。


    節刀ヶ岳山頂

 あとは大石峠に向ってひたすら稜線を歩き、大石峠で一休みして下山する。大石峠は真っ赤なヤマツツジがまさに咲こうとする直前だった。夕方から雨の予報で次第に雲が厚くなってきたが、降られずに午後1時、登山口の車に到着した。

    大石峠 キンポウゲが咲く。


    まさに咲かんとする大石峠の真っ赤なヤマツツジ

 帰り際に御坂山塊に登った時に時折立ち寄っている御坂の湯で汗を流し、着替えをして帰ったが、とにかく眠かった。今回のルートは健脚ならば1日で歩けるルート、十二ヶ岳、節刀ヶ岳を周回して戻れる魅惑のルートである。


    2日目に歩いたルート
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ミツバツツジ咲く十二ヶ岳、鬼ヶ岳、節刀ヶ岳 平成23年6月4-5日

2011年06月13日 | 御坂・毛無・天子山系
 6月4日 大石峠登山口から淵坂峠、毛無山を経て十二ヶ岳へ

 5月15日に短絡路を通って十二ヶ岳に登った帰り道で新しい道標を見つけた。それは大石峠登山道入り口の反対側にある広場のところにつけられていた「淵坂峠・大石キャンプ場バス停」を表示する看板だった。昭文社の地図にもこのルートは書かれてはいるのだが、点線で示されていて、有るのか無いのかわからないようなルートだと思っていた。しかし、今回は明らかな看板があり、川を渡って入るそのルートは覗きこんでみるとテープがつけられていた。いったいどんな道なのだろうか。

    大石峠登山道入り口の反対側広場奥にある道標。この先の川を渡って古道に入る。

 この2日間は別の予定があったにはあったのだが、天気予報と雲の衛星図を見て、この季節では数少ない天の川が見られそうな天候だった。予定をキャンセルして山上からの富士山と天の川を見に行くことに前日決める。午前中に職場の仕事を片付けて大石峠登山口に向かい、午後1時から歩き始める。水場の無い稜線テント泊なので、水を多目にと3.5リットル持ったつもりだったのだが、あとでザックを開けてみると4.3リットルも入っていた。かつ、ラーメンを持ってくるのを忘れ、水はあるが食料が1食足りないという事態が生じてしまったのに途中で気付く。

    驚くほど広くて良い道がある。


    淵坂峠の稜線に取り付く階段

 さて、川を渡って淵坂峠への道に入ると、入り口こそ薮っぽいのだが中に入ると驚くほど明瞭な良い道が通っていた。この道はおそらく古くから芦川のから河口湖の大石の集落に向う古道だったのだろう。今でこそアスファルトの道路が張り巡らされ、さらに若彦トンネルができてさらに河口湖と芦川が近くなっている。薄暗い木々の間を通るその道は古(いにしえ)の道といった趣のある、私好みの道だった。40分ほどで稜線に着くと、そこが淵坂峠で、さらに道は河口湖湖畔の大石に向って延びている。
 ここに道標と朽ちかけた木の階段があり、これを登って今度は稜線歩きの道となる。道は直角以上に進路を変え、ひたすら稜線上を西に向って進む。細い道だが稜線通しなので迷うことは無く、急登りを2~3度繰り返して1時間半ほどで標高1,500mの毛無山に到着した。ここでようやく展望が開け、南に雲を巻いた富士山が見え出す。時間は3時半、ここで中途半端にとった昼食をもう一度取り直す。

    中腹はもうミツバツツジが終わりヤマツツジが咲き始めていた。(標高1,200m付近)


    毛無山目前のところで展望が開ける。このあたりのミツバツツジはもう終焉(標高1,500m付近)


    毛無山から見る富士山

 ここから先が十二ヶ岳に向う竜の背(と私が勝手に呼んでいる)の難所だ。長いロープが何ヶ所もある御坂山塊最高のアルペンコースと言って良い。このあたりからミツバツツジが満開となっており、あまりにも見事なので三脚を出さずにはいられない。さすがに十一ヶ岳のコルのところの長いロープは三脚をたたんだが、その手前の尾根道は担いだまま歩いた。大木のミツバツツジもあり、かつ、時間が時間だけに歩いている人にも出会わず、ミツバツツジを満喫することができた。十一ヶ岳から十二ヶ岳にかけてはコイワカガミの大群落があり、こちらも見頃だった。通常ならば1時間少々のルートだが、2時間以上もかけて歩き、6時20分、十二ヶ岳山頂に到着した。

    二ヶ岳のミツバツツジ。このあたりから満開。


    満開のミツバツツジ


    ミツバツツジの大木。根本は1本の木。


    ミツバツツジと富士  良い場所を探しながら歩くがなかなか無い。


    十一ヶ岳への登りロープ  久しぶりに訪れたが、こんなロープあったっけ??


    十一ヶ岳のコイワカガミ群落  たくさん咲いていた。


    十一ヶ岳山頂から見る十二ヶ岳  山頂に霧(雲)がかかる。


    今度は十一・十二ヶ岳のコルへの下りロープ。これは結構怖かったので良く覚えている。


    名所、コルの吊り橋  グラグラ揺れます。


    さらに十二ヶ岳への急登りと鎖。たかが御坂山塊、されど御坂山塊。スリル味わえます。


    鎖場上部に咲いていたコイワカガミ

 山頂到着時は山の上は霧に巻かれ、かろうじて霞んだ富士山が見えたがすぐに消えてしまった。折角来たのに、果たしてこれで星が出るのだろうか?携帯電話で雲の衛星画像を見るが、微妙な雲行きだ。天の川が南の空に南中するのは深夜12時ごろだ。ひとまず林の中にテントを張り、前述の如く食事が1食足りないので夕食は野菜サラダとお菓子で辛抱する。遅く取った中途半端な時間の昼食のおかげでそれほど空腹感無く過ごせた。7時半を過ぎても霧は晴れず、深夜の星を期待して一旦寝袋にもぐり込んで寝る。

    十二ヶ岳山頂  霧で霞む。


    微かに富士山が見えたが、すぐに霧の中に消えてしまった。

 忘れてきたのはラーメンだけではなかった。エアーマットも置いてきてしまい、落ち葉の積もった山の中にテントを張り、ビバークシートを敷いて横になったが、寒さは感じず快適に寝ることができた。(後編に続く)


    本日歩いた行程



    梅雨の合間のさそり座と天の川  後編にご期待ください。
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