山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

節刀ヶ岳、最短登山道を探る  平成20年5月6日

2008年05月09日 | 御坂・毛無・天子山系
  平成20年5月6日 天候晴れ

 御坂山塊深部に位置する節刀ヶ岳は、芦川や河口湖大石から大石峠を経て登るコースや、十二ヶ岳、あるいは鬼ヶ岳を経て登るコースなど、多数のルートがあるが、いずれも距離が長く、3~4時間の時間がかかるといいう難点がある。3月に河口湖大石から登った際に、入り口の看板に大石の林道を真直ぐに詰め、そこから十二ヶ岳と節刀ヶ岳のコルに至る道が書かれているのに目がとまった。昭文社の地図には書かれていないルートで、しかも看板の近くにある指道標にはそちら側のルートを示す案内はない。果たして廃道になってしまっているのか、それとも道は無いのか?興味本位もあるが、もう一つの目的は、富士山の北北西に位置する節刀ヶ岳、南の空に昇った天の川とさそり座を撮影するのに良い位置にあり、しかも十二ヶ岳から鬼ヶ岳に続く尾根が町明りを遮断してくれる、夜空の撮影には適した条件にある。テント持ちでの撮影となるだろうから、できるだけ短距離で登りたい。
 さて、大石の林道は新社Rushならば楽勝で登れそうな道だったが、前のマークⅡで林道では何度も痛い目にあっており、ここは大石峠への登山道入り口に駐車して歩くことにした。時間は10時30分、案内板に書かれているコースタイムでは林道歩き1時間半とある。そこから先の節刀ヶ岳への道は文字が剥げ落ちていて読めないが、あまり時間はかからなそうだ。林道をひたすら歩くと、1時間ほど歩いたところに左側に造林小屋らしき壊れかけた小屋があった。そのすぐ上には小川が流れ、水を汲むことができる。普通乗用車でも十分に走れそうな道が続く。随所にタラの木が目に付くが、芽は数日前に摘まれたばかりで、ほとんど残っていない。しかも、丁寧にタラの木にはほとんど全て目印のテープが巻かれていた。

    現在工事中の林道終点。


    テープの張られた登山道。道は明瞭。

歩き始めてちょうど1時間半くらいで林道終点に到着、大きなショベルカーが止まっており、砂防ダム建設工事中のようだった。その先を見ると、きちんとした登山道があった。少し進むと左右に道が分かれているように見え、川の右岸と左岸を進むコースになっているようだが、左側(右岸)の道はすぐに不明瞭になっているようだったので、右に進んで川の左岸を歩く。何の目的か良くわからないビニールテープが張られた林を進むと、しだいに道は川から離れ、傾斜を増してガレた谷の縁を歩くようになる。対岸を見ると、向こう側にも白テープが張られている場所があり、やはり道があるようだ。さらに進むと尾根の急登を歩くようになり、登りきると傾斜が緩くなり、間もなく十二ヶ岳と節刀ヶ岳のコルに到着。分岐点のカラマツには赤ペンキで大きく「大石」と書かれており、地図にはないもののきちんとした登山道らしい。途中の林の下にはハシリドコロやバイケイソウ群落(花はまだ咲いていない)、そして初めて見るウスバサイシンなどがあった。

    花はバイカオウレンだが、葉の形が違う。これはおそらく、ミツバノバイカオウレン。


    ウスバサイシン?


    エイザンスミレ。この山塊のエイザンは葉が少し細め。

 案内板にあった図では山腹をトラバースする道が書かれていたので、それを探して歩いていると、金山への登りの途中で細い道らしきものを発見、これを歩いて行くと、金山山頂を巻いただけで節刀ヶ岳へ行く道に出てしまった。戻って金山山頂を踏み、節刀ヶ岳に向う。順調に歩けば、林道の終点から節刀ヶ岳まで1時間半といったところではないだろうか。かなり早く登れるコースであることは間違いない。

    十二ヶ岳-節刀ヶ岳コルに抜ける。カラマツの木に大きなペンキサインあり。


    金山からの富士


    節刀ヶ岳山頂からの富士山。向いの稜線が町明かりを隠してくれる、星空の撮影には適した場所。


    節刀ヶ岳の富士

 寄り道したり、林の中をさまよったりしたので、山頂到着は1時50分だった。昼食にラーメンを食べてさて、下山。大石峠に向うが、もう一つ歩いてみたいコースがあった。それは、3月、大石から雪の節刀ヶ岳に登った時に歩いた林業軌道の尾根道。上方の一部しか歩いていないので、下まで降りてみたい。大石峠手前のピークを真直ぐに進まず、右に折れて尾根を下る。ところどころ急傾斜で道が無くなる場所もあるが、中腹あたりからは赤くペンキが塗られた棒と石杭マークが誘導してくれる。途中で尾根はやや右向きに進路を変え、急傾斜を真直ぐに降りる。何か所か不明瞭な場所があったものの、良く見ると木にペンキが塗られていたり、テープがついていたりで、間違うことなく進む。やがて、堰堤の上の小川に降り立ち、対岸に赤テープがついているのでそちらに進むと、今度は明らかな作業道となり、間もなく広い(軽トラックが走れそうな)道となり、朝歩いた林道に出た。きちんとした道ではないものの、林道脇道から尾根まで行ける作業道があるのだ。4時50分、無事に車到着。地図にない知らない道を歩くのが最近楽しくてしょうがない。いつ遭難することやら。


    林業作業道を下りる


    今回の行程図
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天の川流れる仙丈岳  平成20年5月4日

2008年05月09日 | 南アルプス
 平成20年5月4日 天候晴れ 

 嶺朋クラブ山行で5月連休は仙丈岳、甲斐駒ケ岳に行くこととなった。いつかは訪れてみたいと憧れていた雪の仙丈・甲斐駒、一人で行くには技術的・体力的に不安があったので同行させていただくことにした。
 4月中旬から伊那側のバスが北沢峠中腹の歌宿まで動いている。初日の5月3日は北沢峠にテント宿泊予定なので、急いで行く必要は全くなし。韮崎市役所7時半集合で、3台の車に分乗して7人で出発、仙流荘10時15分のバスに乗り約40分で歌宿に到着した。ここから6kmほどの林道歩きで北沢峠に到着するが、林道の途中は大きく崩落している場所があり、復旧工事中だった。7月までには復旧させたいようだったが、間に合うかどうか難しいところではないだろうか。2時間ほど歩き、午後1時半ごろにテント場に到着した。雪は無いだろうと予想していたテント場は、まだ30~40cmの積雪があった。

    歌宿の休憩所と鋸岳


    北沢峠のテント場。結構な雪がある。

 さて、私はどうしても星空の北岳、甲斐駒ケ岳、仙丈岳の写真を撮りたいので、会のテントを設営後、一人テントを担いで小仙丈岳に向かった。明日は4連休中で最も好天が予想され、未明のきれいな星空が期待できそうだ。山が呼んでいる、そんな気がした。午後2時、北沢峠出発。登り初めから雪が緩く、足をとられる。ちょうど下山してきた人に会ったが、腰のあたりまではまる場所があり、5合目までで引き返してきたという。踏み跡も少なく、果たしてたどり着けるのか?2合目を過ぎたあたりから傾斜がきつくなり始め、3合目からは夏のルートとは違う、尾根を直登する急登となる。雪が深く、痩せ尾根もあり、落ちたらかなり痛そうだ。3合目と4合目あたりで数人のパーティーと出会ったが、皆同様にここから先が大変だという。確かに4合から5合の登りはきつかった。気温が上がったために雪が緩み、どこを踏んでも足をとられる。5合目の大滝の頭に到着したのは6時になってしまった。テントを張る予定の小仙丈岳には何時に到着することやら。
 5合目から先も急登りはあるものの、樹林帯を抜けたあたりからはむしろ歩きやすくなった。ハイマツ帯に入ったあたりで何やらグエッ、グエッというカエルのような鳴き声が聞える。登って行くと、右手のハイマツがガサガサと揺れている。近付いて見ると、つがいの雷鳥がお尻をこっちに向けて首をかしげてこっちの様子を伺っていた。腹の部分がまだ白い雷鳥のお出迎えに感激する。さらに雪に足をとられつつも奮闘して登り、午後8時20分、ようやく小仙丈岳に到着した。
    
      夕暮れ迫る頃に雷鳥に出会う。


    天の川とさそり座

 風が少し吹き、白いガスが流れる小仙丈岳だったが、時折ガスの切れ間から伊那の明りや星空が見える。仙丈岳右側(西側)には沈みかけたオリオン座があり、ひときわ明るいおおいぬ座のシリウスが輝いていた。しかし、山の頂は雲におおわれて写真にはならず、一旦テントの中にもぐり込み食事と休憩をとる。深夜12時を回った頃、ガスが飛び、満天の星空が見え始める。北岳の上にはさそり座が登り、富士山の上にはひときわ明るい木星が昇りはじめ、甲斐駒ケ岳の空高く白鳥座が輝く。苦労して登って来た甲斐があった。星空の撮影には絶好の条件、あとは果たして写ってくれるかどうか。だいぶ星空撮影の感触がわかってきたが、まだ技術とレンズの問題が大きい。Iso感度とシャッター開放時間を変えながら何枚も撮影し、モニターで確認。まずまずの写真が撮れたように思う。1時間ほど撮影したところでまたガスが湧き始め、一旦テントの中に戻る。

    北岳と富士の上に木星が昇る

    
      甲斐駒ケ岳の上に羽ばたく白鳥座

 3時を回った頃、再び雲が晴れて星空が見え出した。垂直に昇っていたさそり座は仙丈岳の方向に寝そべるように傾いている。さそりの尻尾のところにはひときわ大きな天の川が流れる。まさに今回私が狙っていた景色、小仙丈カールとさそり座をフレーム内に収めてシャッターを切る。さらに4時近くの薄明の時間になると、この時間帯の空は濃い青色に写る、撮影には絶好の時間帯となる。狙い通りの風景となる。

    薄明の仙丈岳と天の川


    伊那の明かり

 5時、陽が昇り始める。この頃には北岳や甲斐駒ケ岳の山頂に雲がかかりはじめ、6時前にはもう山頂は雲隠れしてしまった。きれいな日の出は見ることができたが、朝日に焼ける山肌や朝焼けの富士山はいまひとつだった。

    日の出


    夜明けの北岳と富士  あまり焼けずに陽が昇ってしまう。


    雲湧き上がる甲斐駒ケ岳  朝6時にはもう山頂は雲の中だった。

テントで食事をとっていると、6時半にはもう登ってきた人がいた。北沢峠を早朝4時に出発し、写真を撮りに来たそうだが、富士山はもう雲隠れしていた。7時、仙丈岳山頂向けて出発、1時間くらいで着くだろうと思っていたが大きな間違い、その先も雪が深くて足をとられまくる。しかも徹夜で写真撮影していたので、ヘロヘロ状態だ。2時間近くかかってようやく山頂に到着した。記念撮影を済ませてテントに戻るが、10時ごろからは続々と登山者が登ってくる。小仙丈岳の近くでは私の山岳会のメンバーとすれ違い、さらに小仙丈岳山頂近くでは1日遅れて参加した同じ会の深沢君ともすれ違った。10時半、テント到着。たくさんの登山客が休憩しており、テントが邪魔になって申し訳なかった。即効でテント撤収、パンを食べて11時下山開始。さっさと降りる、というわけにはいかず、ズルズルの雪に何度も足をとられながら下る。5合目から下の急斜面はやはりかなりまいった。荷物と体重が重いこともあるのだが、階段状の踏み跡を踏むたびに踏み跡がくずれて、何度となく足が雪にはまりこむ。しかも、右膝の古傷が痛み出してきた。徹夜の疲れも相まってヘトヘトになりながら、午後2時、ようやくテント場到着。自分のテントを設営し終えた頃に会のメンバーたちが到着しはじめる。

    早春の仙丈岳

 会の女性メンバーたちに夕食をつくってもらってご馳走になり、持って行ったビールやウィスキーを飲んですっかりほろ酔い気分、6時過ぎには早々に自分のテントにもぐり込んで眠る。翌日は甲斐駒ケ岳に連れて行ってもらう予定だったのだが、右膝の痛みと疲れがひどく、一緒に歩けそうになかったのでリタイア。翌朝歌宿10時15分のバスに乗り、帰ってきた。雪の甲斐駒ケ岳は来年まで持ち越しだ。
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