山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

三重の最高峰、大台ケ原(県外の日本百名山3山目)

2008年05月26日 | 番外編
 平成20年5月17日 天候晴れ

 八経ヶ岳下山後、行者還トンネルを抜けて大台ケ原に向う。国道309号は国道とは思えない細いクネクネ道、舗装はしてあるものの、車の交差は場所を選ばないと難しい。169号に抜けると広い道となる。1時間ほどで大台ケ原の駐車場に到着、広い駐車場は車がいっぱいで、入りきれずに路肩に駐車している車もいた。空いているところを探していると運良く1台空いたのでそこに車を止めて準備する。

    大台ケ原駐車場

 午後2時、出発。人がたくさん、しかもほとんどの人が運動靴のハイキングスタイル、登山靴と山用ザックを背負っている私が少し浮いているように見えてしまう。それもそのはず、道は広くて整備が行き届き、特に日出ヶ岳周辺は木道が整備され、革靴で歩いている人もいた。山頂には大きな見晴台が立ち、完全にハイキングコースだ。三重の最高峰だけあって確かに眺望は良い。シロヤシオツツジの季節や秋の紅葉の季節にはきっとすばらしい景色が待っていることだろう。しかし、山歩きという意味で言うとこのコースでは物足りなさを感じてしまう。機会があれば、大杉谷ルートや尾鷲からのルートをじっくりと歩いてみたいものだ。

    三重県最高峰、日出ヶ岳山頂


    コケを食べる鹿。このあたりは鹿がたくさんいる。人慣れしていてあまり逃げない。

 隣りの正木嶺に移動、こちらも木道で、山頂一帯は木が枯れて完全に白骨化し、ミヤコザサの原っぱになっている。解説の看板を見ると、かつて(昭和30年代)の大台ケ原はツガと苔の生い茂る原生林だったらしい。しかし、台風による倒木や、倒木の搬出による山の乾燥化、観光化による入山者の増加、鹿の食害など、さまざまな要因により現在のような荒れ果てた姿に変貌してしまったという。現在再生に向けて様々な取り組みがなされており、保護林に金網柵を設けたり、木道やロープで人の歩く場所を制限したりというのもそういった取り組みのひとつである。

    白骨化した大台ケ原。再生へのさまざまな取り組みがなされている。

 その先の正木ヶ原には神武天皇の銅像が立っている。狩りをしているその姿は、かつて神武天皇がこのあたりで狩りをしたという意味なのだろうか。その先の林の中で道は十字路になっており、左に行くと駐車場へ、真直ぐ行くと大蛇と沢を経て駐車場に戻る周遊コース、右に行くと尾鷲道となる。このまま時間は4時、もう歩いている人もまばらだ。日没は6時半ごろなので時間は十分にあり、周遊コースを歩いてみることにする。この選択が大正解だった。大蛇は周遊コースを左に外れてやや下りながら進むのだが、蛇の頭のようにもっこりと盛り上がった岩場がある。その上からの眺望はなかなか良く、吉野の谷に切れ込む鋭く切り立った岩肌を眺めることができる。ここで終りなのかと思ったら、その先で会話している声が聞えたのでさらに進んでみると、小さな橋がありもう一つ展望台あり、さらにその先は両側が鋭く切り立った岩場があり、鎖が張られていて崖の先端まで行けるようになっていた。そこに若いカップル1組が夕暮れ近い景色を眺めていた。そこからの景色はまさに絶景、吉野谷の深い切れ込みが眼下に広がる。夕陽の沈む方向に脈々と連なる紀伊半島の山々、おそらくいちばん高いところが午前中登った八経ヶ岳だろう。大台ケ原を楽しむなら、ここからの眺望は絶対にはずせないと思う。

    大蛇。蛇の頭のようなこの岩まででコース終了と思いきや、この先に橋があり、さらにその先には断崖絶壁の展望台がある。


    大蛇の絶壁から見る風景。吉野谷に切れ込む断崖と深い谷の眺望がすばらしい。

 コースに戻り、今度はシオカラ谷への下りとなる。石がゴロゴロしてやや歩きにくい道だが、中腹は両側がシャクナゲの生い茂る道となり、見頃を迎えていた。解説看板を見ると、ツクシシャクナゲという種類だとわかる。沢にかかる吊り橋を渡り、再び登り返して大台ケ原の駐車場に戻る。時間は午後6時、前半の日出ヶ岳はちょっとシラけたが、後半のコースは存分に楽しめた。整備されたこのコース、山梨県で言うならば、西沢渓谷、山バージョンといったところだろうか。

    ツクシシャクナゲ群落


    シオカラ谷にかかる吊り橋。この先は再び登りになる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

奈良の最高峰、八経ヶ岳(県外日本百名山2山目)

2008年05月26日 | 番外編
 平成20年5月17日 天候晴れ

 前日伊吹山を訪れた後、大阪府に入り、学会会場まで残り50kmのあたりに宿をとり寝る。当日は朝8時前に出発したが、国道1号は大渋滞、しかもカーナビ使用しているのに道を間違えまくり、結局会場到着は10時を過ぎてしまう。教育講演とランチョンセミナーを聞き、午後の総会(全体会議)は欠席させていただき、奈良の行者還トンネルに向う。昭文社地図にはトンネルの西側に駐車場とキャンプ適地があると書かれている。高速道路をできるだけ使わないルートでひたすら走り、午後5時半に行者還トンネル到着、2~3台駐車している車があり、1台はちょうど帰り支度をしているところだったので、コース状況を聞く。八経ヶ岳への道は危ない箇所は無く、3時間強かかるとの事。本日は駐車場から5分ほどの幕営適地にテントを張って早々に寝ることにした。
 翌朝は4時前に目が覚め、薄明るくなってきた早朝4時半から歩き始める15分ほど歩くと、左の林の中に赤い花が見えてくる。シャクナゲだ。奥秩父に咲くアズマシャクナゲに良く似ているが、色が濃く、花がやや小振りだ。後に大台ケ原を歩いているときにわかったのだが、これはこのあたりの山塊に咲くツクシシャクナゲという種類だった。三脚を立ててシャッターを切るが、薄暗い中なのでシャッタースピード6~8秒というスローシャッター、それでも風が無かったので良く撮れたほうだろう。さらにシロヤシオの花や美しいヒメシャラの林などを眺め、1時間半かけて尾根にたどり着く。(普通に歩けば約1時間の行程。)

    夜明け前に撮影したシャクナゲ  シャッタースピード6秒、風がなかったのでこれだけ写った。


    立派なシロヤシオツツジがたくさんある。花期には少し早かった。


    オオカメノキと弥山(みせん)  八経ヶ岳はその左手にある。


    バイケイソウがたくさん生える大峰奥駈道(おくがけみち)

中腹で日が昇り、もうすっかり明るくなっている。稜線上には大きく立派なシロヤシオツツジの木がたくさんあったが、花期にはまだ早く、咲いていたのは中腹までだった。良く整備された道で、両脇には見たことのない小さなスミレやコミヤマカタバミがたくさん咲いていた。1時間ほど傾斜のない道を歩いた後、いよいよ弥山(みせん)への急のぼりとなる。ここも整備された道がジグザグにつけられており、一部は木道の階段になっていた。世界遺産に登録されてすっかり道が整備されたと、後に弥山小屋で会った若者が話していた。8時10分、弥山到着。山頂の神社に立ち寄ってから隣の八経ヶ岳に向う。

    修行僧の銅像  このモデルになった人は誰?


    山梨では見たことのない小さなスミレがたくさん咲く。


    弥山小屋。かなり立派な山小屋。

弥山から八経ヶ岳へは片道30分ほど、一旦下ってから登り返すが、さほどきつい登りではない。途中に柵が設けられていて柵の扉を開けて中に入るのだが、これは天然記念物のオオヤマレンゲを守るために設けられた柵だ。鹿の食害にあって今ではこの柵の中の一部にしか咲かないらしい。花期は7月、当然まだ咲いていないし、どれがオオヤマレンゲの木なのかもわからなかった。八経ヶ岳山頂8時50分到着、毎度の超スローペースだ。

    弥山から見る八経ヶ岳。このあたりの林は白骨化している。


    八経ヶ岳山頂

山頂では既に5~6人の人が休憩していた。東側の展望が開け、吉野川の深い谷と大峰山系の山並が見えるはずなのだが、この日は薄雲がかかり眺望悪い。山頂で会った人のうちの一人で北海道から来られたHさん、この後にご厄介になるとは思ってもいなかった。
10分ほど休憩してHさんよりも先に下山開始、弥山でもほとんど休まずに下山するが、足の速いHさんはあっという間に私に追いつき追い越された。その直後、私はスリップして尻餅をつく。ここまでは良かったのだが、立ち上がって歩き始めようとした時に靴先に木の根がひっかかって見事に転倒。危ない転び方をしたのだが、柔道部だったことが幸いし、無意識のうちに体が回転受身をとってしまう。背負っていたザックのおかげで背中は全く痛み無く、左膝と右肘を擦りむいた程度の軽症で澄んだ。前を歩いていたHさんが気を使ってくれ、登山口まで一緒に下山してくれた。Hさんは北海道千歳市在住の方で、定年退職後、日本百名山踏破目指して今回は本州に1ヶ月ほど滞在してあちらこちらの山を巡り歩くという。退職後の方とは思えない健脚ぶりで、毎日更新しているブログを見ると登山のレベルも凄い。(勝手ながら私のページにリンクしました。)山で知り合う人たちは何ゆえにこのような超人ばかりなのか。これが縁で、翌日の恵那山も一緒に(といっても私が遥かに遅れたが)登ることになる。

    中腹のシロヤシオツツジの大木。逆行と下から撮影したので、花はいまひとつうまく写らず。


    ツクシシャクナゲ再写  濃い赤紫色が山の斜面を彩る。

以後は転倒することもなく、楽しい山の話をしながら下山、中腹のシロヤシオツツジとツクシシャクナゲを三脚立てて再写しているところでHさんとはお別れした。テント撤収し、ほぼ予定通り、12時、車に到着。山梨県外の日本百名山2山目を制覇、これから3山目、大台ケ原に向う。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする