山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

痛恨の・・・!? 唐松岳  平成20年10月1日‐2日(2日目)

2008年10月07日 | 番外編
 10月2日(2日目) 天候晴れのち曇り

  唐松岳の夜は空一面に星が広がる凄い夜だった。3時間ほどウトウトしただけで、深夜12時前から山の上をウロウロし、そのまま朝を迎えることになる。東にはきれいな雲海が広がり、浅間山、八ヶ岳、南アルプスをはじめ、遠く富士山を望むこともできた。

    雲海遥か  唐松岳の夜明け


    黎明の唐松岳と帰らずの嶮

 日の出の頃には唐松岳山頂はたくさんの人が詰めかけているのが見える。その頃に私は展望台に移動し、朝焼けに焼ける空や唐松岳、五竜岳などを撮影していた。夜明け前に1本目の電池が無くなり交換したばかりなのだが、夜明けを撮影していると交換した電池があっという間に点滅しはじめた。充電が不十分だったらしい。もう1本あるのでなんとかなると思いつつ、そちらの電池に交換すると、それは交換した直後から残量わずかの表示、数枚撮っただけで点滅しはじめた。充電し忘れたのか、それともしばらく使っていなかったので放電してしまったのか?いずれにしても夜間撮影するにはライブビュー機能とノイズリダクション機能を使い、多量に電池を消耗するので、何枚撮れるかわからない状態だ。予定した五竜岳どころか、本日昼間の撮影すらままならない。痛恨の電池切れ、止む無し、五竜岳はあきらめて本日八方尾根を下山することにした。

    雲海に陽昇る


    朝の五竜岳

 朝の斜光線のうちにビューポイントに移動したかったので、ソイジョイで軽く朝食を済ませ、早々に準備して6時半に下山しはじめる。唐松山荘から15分ほど下ったところで5~6羽の雷鳥の群れに出くわした。たぶん親子の雷鳥なのだろう。私の姿を見ると、早々にハイマツの中に逃げ込んでしまった。天気が良く、きれいな雲海と紅葉がきれいだったので、三脚をあちらこちらで立てながら歩き、五竜岳と鹿島槍ヶ岳の双耳峰が見える丸山ケルンに8時到着。ここで三脚を立てっぱなしにして朝食をとる。気温の上昇とともにしだいに雲海が上がり始め白馬三山の谷間に忍び寄ってきた。

    白馬三山


    丸山ケルンから見る五竜岳と鹿島槍ヶ岳


    雲海迫る白馬三山

 その先1時間ほどは歓喜の景色が広がる。暴れだした雲海が山肌に巻きつき、紅葉と雲海の素晴らしい景色を見ることができた。心配していた電池は、衣服でこすりながら使用していたが、丸山ケルン下のビューポイントで2本目が完全に空になり、残るは1本のみ。点滅状態だが、撮れるだけ撮ることにする。三脚を担ぎながら歩き、八方尾根の秋を満喫した。

    紅葉と雲海、秋の八方尾根


    雲上の五竜岳と鹿島槍ヶ岳


    垣間見る白馬鑓ヶ岳

 10時半を過ぎた頃にはもうすっかり雲海が登り、尾根はガスにつつまれて眺望はほとんど利かなくなってしまった。11時、八方池到着。唐松山荘はトップで出発したのに、もう大勢の人たちに追い抜かれて後のほうのグループに入ってしまった。良い景色が楽しめたのでそれもまた良し。八方池はたくさんのハイカーたちが訪れていたが、この時間にはもうすっかり雲に巻かれ、白馬三山も鹿島槍・五竜も見えない状態だった。ゆっくり歩いてリフト駅に到着。1本目のリフトを下りたところで再び白馬三山が姿を現し、池に映る数枚を撮影して八方尾根に別れを告げる。電池もなんとか持ってくれた。

    雲上の白馬三山


    紅葉と逆さ杓子岳

 思えば、この日は八方尾根を下りたことが正解だったのかもしれない。五竜岳に向っていたら、おそらくこの雲海と五竜・鹿島槍や白馬三山の景色は見られなかっただろう。ちょうど五竜に向う尾根道を歩いている頃に雲海が昇ってきてしまうからだ。電池切れのおかげで良い景色が見られた。怪我の功名か!?
コメント (7)
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痛恨の・・・!? 唐松岳  平成20年10月1日‐2日

2008年10月07日 | 番外編
 10月1日(1日目) 天候曇り
 遅い夏休みをとって、1日(水)から5日(日)までの5連休となった。どこの山にゆくか、いろいろと策案していたのだが、4日に家庭の用事が入ってしまい、最終的に2泊3日の山行(予定)となる。さて、どこに行くか?紅葉の枯沢か、常念から槍ヶ岳に沈む夏の大三角形か、それとも五竜・鹿島槍か?天気予報をみると、南に前線があり、北に行くほど天気が良い。写真仲間の下山氏のすすめもあって、今回は唐松岳から五竜岳を歩くことにした。通常なら1泊でも可能なルートなのだが、星空を存分に楽しみたいので1泊目八方尾根から唐松山荘、2泊目五竜山荘から遠見尾根下山というゆとりの山行予定を立てた。
 さて、子供たちを学校に送り届けてから出発したので、9時甲府出発となる。高速を豊科で下り、松川の道の駅に到着したのはもう11時だった。唐松まで行けるのか?ちょっと不安がよぎる。もう少し近場の蝶ヶ岳ならば十分に到着できるか?と気が変わり、一旦はそちらに向ったものの、穂高側の空を見るとどんよりと暗い雲がおおっている。これではダメ。やはりもっと北に行かねば。進路を元に戻し、予定通り八方に向かう。
 12時半に八方ゴンドラリフト駐車場に到着。ここで2泊分の駐車料金を支払い、ゴンドラリフトを乗り継いで八方尾根まで行く。午後1時を過ぎた頃から歩き出したので、5時ごろには唐松山荘に到着できるはず。うれしいことに、もう一組、同じ時間に唐松山荘まで行くという若い男女がおり、抜きつ抜かれつしながら、ほぼ同じようなペースで登る。

    雲湧き上がる白馬三山  リフト終点あたりから。


    八方池と帰らずの嶮

 八方池にちょうど1時間で到着。時折雲間から白馬三山が顔を出すが、すっきりとは姿を見せてくれない。さらに登って丸山ケルン3時35分、だいぶ雲が広がってきた。その先に見えるピークを左に巻くように道が続いており、落石が起きそうな鎖とロープの張ってある道を歩いて行くと、あっさり唐松山荘に到着。4時40分ごろだった。この日の宿泊客は70人ほど。小屋の規模からすると、かなり空いているほうだろう。食事開始が予定時間より30分ほど遅れ、6時半夕食となったのだが、それには理由があった。この日は改装したばかりの新しい食堂を初めてお披露目した、記念すべき日だったのだ。ガスコンロの調子が悪く、それで準備に手間取ったらしい。床がピカピカのきれいな食堂だった。
 食事を終えて外に出ると、頭の真上には夏の大三角形がきれいに見えていた。周辺の山には雲がかかっていたが、30分ほどすると雲が飛び、ひときわ明るい木星とその右側の天の川が見えるようになってきた。さっそく三脚とカメラを持って唐松岳近くまで行ってセットしたが、天の川が見えたのは一瞬だけ。構えた頃には時既に遅く、雲の中に吸い込まれてしまった。8時半、一旦小屋に戻って寝る。

    雲海の上に昇るオリオン座


    北天の空と白馬岳

 3時間ほどぐっすり眠り、11時半、ふと目が覚める。窓から外を見ると山影がくっきりと見えており、雲は無くなっている。眠い目をこすりながら外に出ると、凄い星空が広がっていた。頭の上を天の川の白い帯がくっきりと流れて見え、西に傾いた白鳥座が大きく羽ばたいている。これは寝ている場合ではない。セーター、フリース、ダウン、カッパと持っていった防寒着を全て身に纏い、撮影に向う。三脚とカメラを持って展望台と唐松岳の稜線を行ったり来たり、一晩中星空とつきあうことになる。

    唐松山荘の上に昇った冬の大三角形とオリオン座


    唐松岳に沈む夏の大三角形

 11時過ぎ、東の空の雲海上にオリオン座が昇ってきた。それに続いて冬の大三角形。西を見ると、ちょうど唐松岳の三角錐の上に夏の大三角形が沈んで行くところだった。北には白馬三山の上に北極星、その右に昇り始めた北斗七星、左には傾き始めたカシオペア座が位置する。時折気まぐれな流れ星がサーッと流れてゆくが、これを捉えるのは難しい。唐松岳山荘の明かりは一晩中点けられたままで、小屋の前を照らす街灯がひときわ明るく、隣の山までくっきりと照らし出していた。静まりかえった山の上でひとり静かに星を見上げるおじさん。これはロマンなのか、ただのバカなのか?

    山頂の幽霊  ポジションにつく直前にフラッシュが光り、そのまま30秒固まっていたが、奇怪な写真となる。


    五竜岳の上に昇ったオリオン座。画角ギリギリで捉えることができた。五竜岳の左側、低空に赤い星、カノープスが昇ってきている。

 朝が近付き、水平線がうっすらと明るくなってきた頃、オリオン座は南に高く位置するようになる。五竜岳と組み合わせて撮影したかったのだが、17mmのレンズでは画角ぎりぎりでようやく入る程度で、窮屈な写真となってしまった。撮影している時にはわからなかったのだが、プリントしてはじめて、五竜岳の左肩、南の低空に赤い星、幸福を呼ぶカノープスという星が写っているのに気付く。私自信、初めて撮影できた星だ。3本持って行った電池の1本目が無くなり、2本目に入れ換えて撮影を続ける。夜明け前には唐松岳山頂で御来光を迎える人たちがヘッドライト点灯し続々と登って来た。その頃に私は混雑する唐松岳山頂を避け、隣の展望台に移動していた。(2日目に続く)

    シリウスとカノープス  左上が冬の空でひときわ明るいおおいぬ座のシリウス、右下超低空の赤い星がカノープス。


    薄明の五竜岳  左側にカノープスが輝く。
コメント (6)
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