月が東の空に輝く夕方6時、テントの中に一旦引き込み、夕食を取る。月が欠け始めるのが9時半ごろからなので、寒さしのぎにシュラフの中に潜り込んでしばし休憩する。
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月光照らす御坂山塊と富士
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甲府盆地の灯り
8時過ぎ、テントの外に出ると、月の下にオリオン座が昇ってきていた。富士山側を見ると、月光に照らされた御坂山塊とその向こうに見える富士山が美しい。西側には甲府盆地の夜景と雲が巻いた南アルプスの山並みが広がる。冷え込んだ上にやや風が強かったおかげで空が澄み、月食を観察するには絶好の空となった。しかし寒い。温度計を見ると-8℃を指していた。
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そろそろ欠け始め。だが、まだ富士山と一緒に撮影できる画角には入らず。
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半分以上欠けた所でようやく10mmレンズの画角に入る。しかし、まだ明るすぎて月は吹き飛んでしまう。
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皆既直前の月と冬の大三角形 17mmレンズで撮影。
9時40分を過ぎた頃、いよいよ月が欠けはじめた。しかし、新調した10-22mmレンズを最大広角にしてもまだ富士山と一緒にこの月を写し込むことはできない。皆既月食になるのはほぼ頭の真上、角度は足りるのだろうか?ちょっと心配になる。
月が半分近く欠けた10時過ぎ、ようやく富士山と月が10mmレンズの視野で捉えられるようになる。麓の夜景を入れてぎりぎりの位置だが、なんとか入りそうだ。いつも使っている17mmレンズでも試してみたが、予想通り全く富士山の視野に入って来なかった。
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皆既月食の赤い月とオリオン座
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富士に昇る赤い月 月が欠けるにつれて星が輝く。予定では冬の大三角形が入るはずだったが、若干画角が足りず。
2種類のレンズを交換しつつ撮影していると、10時50分過ぎ、遂に皆既月食となり、輝いていた月は赤銅色の月に変わる。初めて見る皆既月食の月は本当に赤かった。そして月が隠れると星がたくさん輝き出す。滝子山からだと、予定では富士山の真上で皆既月食になるはずだったのだが、計算を間違えたようで、やや東側で皆既したため、冬の大三角形が画角の中に捉えきれなかったのがちょっと残念だった。ようやく冬の大三角形が画角に捉えられた深夜12時は、皆既月食がもう終わる頃で月が輝き始めていた。
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月食の終わり。ここでようやく冬の大三角形が写りこむ。この画像ではわかりにくいかもしれないが、超低空にカノープスも写っている。
富士の裾野の低空には若干雲が湧き、町明かりで明るく光っていた。冬の大三角形が南中した頃、肉眼でカノープスを見ることはできなかったが、皆既月食が終わる頃に撮影した映像の中にはっきりとその星が写っていた。やはり、条件が良ければ滝子山からカノープスを見ることができるのだ。おそらくはその北側の大蔵高丸、白谷ノ丸、さらに大菩薩嶺に至る山々からも見えるのだろう。皆既が終わった12時過ぎ、テントに戻って暖をとり、シュラフに潜って眠る。
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薄明の空 左が丹沢山塊、右が御正体山の山並み。
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Earth shadowと沈む月
翌朝4時頃、背中が寒くて目が覚めた。温度計を見るとテントの中で-10℃を指していた。寒いのでバーナーを炊いてテント内を暖めまた寝る。5時50分、テントから出るときれいな瑠璃色の空が広がっていた。水平線がオレンジ色に染まっている。月は甲府盆地の向こうの西の空に傾いている。Earth shadowが広がった。
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夜明けの富士
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三つ峠越しの朝富士
富士山の山頂がピンク色に染まり、6時42分、丹沢山塊から朝日が昇る。空気が澄んでオレンジ色に染まったきれいな日の出だった。大菩薩・小金沢連山が朝日で赤く染まっていた。7時過ぎまでこの素晴らしい夜明けを楽しみテントに戻って朝食を取る。
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朝の滝子山山頂
さて、人が登ってくる前に邪魔にならないようにテント撤収、8時半下山開始した。前日登ってきたルートはやはり遠回りで、もう1本東側の尾根にルートがあってそこを下りた。出たところは景徳院の裏側だった。景徳院境内を見物させていただき、11時、駐車場に到着。一応は寝たが、帰りの車の運転は相当眠かった。
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欠ける月(合成)
月の欠けて行く様子を55mmズームで撮影して合成したが、焦点距離が短すぎてあまり良いものにはならなかった。かつ、最後の赤い月は星を同時に撮影することを意識し過ぎて露出オーバー(Iso感度上げ過ぎ)の画像となってしまった。次こそは・・・と言いたいが、次にこのような好条件が揃う日はいつになるのだろう?