アイソン彗星が消滅し、今ではもうひとつのラブジョイ彗星の方が注目を集めている。4等級ほどの明るさで未明の空に観察されるが、夕方6時ごろの北西の空でも条件が良ければ見ることができる。今回は北岳の空を舞う夕暮れのラブジョイ彗星を狙って、夜叉神峠の近くにある高谷山という山を訪れてみた。西の空には十三夜の月が昇っており、月光に照らされた北岳とラブジョイ彗星を組み合わせるという趣向だった。
午後3時に夜叉神峠登山口を出発する。甲府を出た頃は青空が広がり、鳳凰山がすっきり見えていたのだが、午後3時ごろになると南西の空から薄雲が広がり始めた。雲は次第に広がって肝腎の北西側、さらに全空に広がってしまう。4時に夜叉神峠到着した頃はところどころ青空が見えるものの、星空の撮影にはかなり不利な空模様となってしまった。
さっきまで青空だったのに・・・夜叉神峠登山口出発する頃には薄雲が広がり始める。
11月30日に歩いた時よりは雪が増えている。
日没ギリギリに夜叉神峠到着。
北岳の空の上にはだいぶ雲が広がっている。運良く雲の切れ間を彗星が飛んでくれるのを祈るしかない。
隣に見える円錐形の高谷山。
小休憩して高谷山に向かう。夜叉神峠から20分ほどの行程だが、雪が積もっているだろうから少しばかりのラッセルを覚悟していたのだが、都合良いことに踏み跡がしっかりとあってすっかり踏み固められていた。これならば夜の下山の時も迷う心配は無い。
高谷山山頂近くから見る櫛形山越しの富士山
同上ズーム
高谷山山頂
北岳側が開けており、北岳のみ良く見える。
ラブジョイ彗星のおおよその軌道は計算してきたが、太陽軌道の範囲外を彗星が飛ぶため、カシミール3Dでは正確な軌道と時間が割り出せない。予想では5時40分ごろに北岳の右脇を舞うはずだが・・・果たして飛んでくれるかどうか?この空模様ではかなり難しそうに見える。まずは1本のレンズを135mmズームに合わせ、ピントを合わせてセロテープでしっかり固定する。これは彗星を探すために使うレンズ。もう1本は200mmF2.8の単焦点レンズで、こちらのほうが解像度が良く、撮影用のものだ。この2本を準備しておいて、5時15分ごろから彗星が飛びそうな位置を狙ってひたすらシャッターを切るが・・・全く写ってくれない。空を見上げると、夏の大三角形すら良く見えない。
東の空に昇って来た十三夜の月と甲府盆地の明り
135mmレンズの視野。
こちらは200mmレンズの視野。
そろそろこの視野に写る時間のはずだが・・・いない。星が全く写らない。
5時半を過ぎた。しかし・・・何も写らない。
5時50分ごろまで辛抱して撮影を繰り返したが何も写らず、あきらめて帰ろうかと思った時、200mmレンズ視野のいちばん上に微かに薄緑色の光を捉えた。これがラブジョイ彗星か?繰り返し撮影すると・・・どうやら間違い無さそうだ。しかし、空をおおった雲に阻まれてその輝きはきわめて薄く、尾は全く写らない。
左上に小さなゴミのような点
薄緑色の光、彗星で間違い無さそうだ。
トリーミング画像。雲に阻まれて尾は全く写らない。
吊尾根の上を飛ぶラブジョイ彗星
こうしてなんとか写るには写ったが、残念ながら彗星と言えるような画像にはならなかった。広角レンズに換えて撮影してみると、空には夕暮れ時以上に雲が厚く広がっていた。これでは4等級の彗星では写らないのも無理は無い。6時半まで粘って撤収する。
広角レンズで捉えた北岳の空。雲はさらに厚くなっていた。
上空に輝くのはこと座のベガ。
森に昇った十三夜の月
夜叉神峠から見る月光の白根三山。空に見える星は右がこと座のベガ(織姫星)、左がわし座アルタイル(彦星)。
月光で白い北岳を浮かび上がらせ、その上を飛ぶラブジョイ彗星を撮影しようという目論見は見事に失敗してしまった。彗星は毎日軌道を変え、夕暮れの空では北西から西の空に移動して行く。高谷山から北岳を彗星が舞う構図はあと1週間くらいは可能だろう。その後は夜叉神峠から撮影が可能となる。ラブジョイ彗星は12月22日ごろに近日点通過して折り返し、次第に遠ざかって行くと言われている。楽しめるのは1月初旬ごろまでと予想している。
午後3時に夜叉神峠登山口を出発する。甲府を出た頃は青空が広がり、鳳凰山がすっきり見えていたのだが、午後3時ごろになると南西の空から薄雲が広がり始めた。雲は次第に広がって肝腎の北西側、さらに全空に広がってしまう。4時に夜叉神峠到着した頃はところどころ青空が見えるものの、星空の撮影にはかなり不利な空模様となってしまった。
さっきまで青空だったのに・・・夜叉神峠登山口出発する頃には薄雲が広がり始める。
11月30日に歩いた時よりは雪が増えている。
日没ギリギリに夜叉神峠到着。
北岳の空の上にはだいぶ雲が広がっている。運良く雲の切れ間を彗星が飛んでくれるのを祈るしかない。
隣に見える円錐形の高谷山。
小休憩して高谷山に向かう。夜叉神峠から20分ほどの行程だが、雪が積もっているだろうから少しばかりのラッセルを覚悟していたのだが、都合良いことに踏み跡がしっかりとあってすっかり踏み固められていた。これならば夜の下山の時も迷う心配は無い。
高谷山山頂近くから見る櫛形山越しの富士山
同上ズーム
高谷山山頂
北岳側が開けており、北岳のみ良く見える。
ラブジョイ彗星のおおよその軌道は計算してきたが、太陽軌道の範囲外を彗星が飛ぶため、カシミール3Dでは正確な軌道と時間が割り出せない。予想では5時40分ごろに北岳の右脇を舞うはずだが・・・果たして飛んでくれるかどうか?この空模様ではかなり難しそうに見える。まずは1本のレンズを135mmズームに合わせ、ピントを合わせてセロテープでしっかり固定する。これは彗星を探すために使うレンズ。もう1本は200mmF2.8の単焦点レンズで、こちらのほうが解像度が良く、撮影用のものだ。この2本を準備しておいて、5時15分ごろから彗星が飛びそうな位置を狙ってひたすらシャッターを切るが・・・全く写ってくれない。空を見上げると、夏の大三角形すら良く見えない。
東の空に昇って来た十三夜の月と甲府盆地の明り
135mmレンズの視野。
こちらは200mmレンズの視野。
そろそろこの視野に写る時間のはずだが・・・いない。星が全く写らない。
5時半を過ぎた。しかし・・・何も写らない。
5時50分ごろまで辛抱して撮影を繰り返したが何も写らず、あきらめて帰ろうかと思った時、200mmレンズ視野のいちばん上に微かに薄緑色の光を捉えた。これがラブジョイ彗星か?繰り返し撮影すると・・・どうやら間違い無さそうだ。しかし、空をおおった雲に阻まれてその輝きはきわめて薄く、尾は全く写らない。
左上に小さなゴミのような点
薄緑色の光、彗星で間違い無さそうだ。
トリーミング画像。雲に阻まれて尾は全く写らない。
吊尾根の上を飛ぶラブジョイ彗星
こうしてなんとか写るには写ったが、残念ながら彗星と言えるような画像にはならなかった。広角レンズに換えて撮影してみると、空には夕暮れ時以上に雲が厚く広がっていた。これでは4等級の彗星では写らないのも無理は無い。6時半まで粘って撤収する。
広角レンズで捉えた北岳の空。雲はさらに厚くなっていた。
上空に輝くのはこと座のベガ。
森に昇った十三夜の月
夜叉神峠から見る月光の白根三山。空に見える星は右がこと座のベガ(織姫星)、左がわし座アルタイル(彦星)。
月光で白い北岳を浮かび上がらせ、その上を飛ぶラブジョイ彗星を撮影しようという目論見は見事に失敗してしまった。彗星は毎日軌道を変え、夕暮れの空では北西から西の空に移動して行く。高谷山から北岳を彗星が舞う構図はあと1週間くらいは可能だろう。その後は夜叉神峠から撮影が可能となる。ラブジョイ彗星は12月22日ごろに近日点通過して折り返し、次第に遠ざかって行くと言われている。楽しめるのは1月初旬ごろまでと予想している。