山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

オキナグサその後 再び茅ヶ岳へ  平成30年5月3日

2018年05月04日 | 山梨百名山
 全休になる予定だった今年のゴールデンウィークであるが出勤せざるを得ない状況が発生してしまった。ゴールデンウィーク前半を休めただけでも良しとしよう。仕事を片付ければもう時刻は12時近くになっており、大明神林道から茅ヶ岳に登り始めたのは午後1時半になってしまった。午前中は天候が悪かったこともあってか、この日の尾根道で出会ったのは10人には満たなかった。今年はスミレが少ないように感じ、ヒゴスミレに至っては葉っぱだけは見かけるものの咲いている花はひとつも出会えなかった。ヒゴスミレは毎年のように数を減らしているように見える。


    ヤマツツジが咲いていた。


    アカネスミレ。少し痛みだしている。


    こちらは普通のスミレ。


    この岩の上には5~6株ヒゴスミレがあったが、ここ数年は咲いておらず数も減った。


    別の小さな紫色の花、ヒメハギ。


    ワダソウも少なくなった。


    アケボノスミレ。下のほうはもう終わっていた。


    今年は紅色が濃いセンボンヤリ。


    フデリンドウは咲き始めたばかり。


    ツクバキンモンソウ。


    花びららしきものの上のところに付いているのが雄しべのように見える。


    新緑とミツバツツジ

 ゆっくりと歩いて2時間半ほどかかって保護柵を設置したオキナグサの自生地に到着した。うまく出来たと思っていた保護ネットだったが残念なことにポールの3本が折れ曲がってしまっていた。今回は修復することは視野に入れていなかったので何も道具を持って来ていない。止む無し、補強に使っていたワイヤーの固定部分をずらしてポールの少し上に止め直して応急処置を行ってきた。岩盤をノミで削って立てたポールだが、地盤が緩んで抜けかけていたものもあり、1本は完全に位置が変わっていたところを見ると、倒れてしまったポールを立て直してくれた人が居るようだ。ここのオキナグサが咲くのを楽しみにしている人はたくさん居るということだろう。


    現地に到着してビックリ。ポールが折れ曲がっている。


    3本が折れ曲がっているが今回は何も道具を持って来ていない。


    ワイヤーの固定位置をずらして応急処置を行う。花はもう満開を過ぎているので冬は越せずとも今シーズンはなんとか凌げるだろう。


    満開を過ぎていたオキナグサ。


    昨年に増してたくさんの花を咲かせてくれた。


    カウントしているわけではないが、ざっと見て昨年の倍くらい咲いてくれた。


    今年も無事に咲いてくれて一安心である。


    心の中で「良し!」と叫んだ。

 修復作業に30分ほど時間を費やし、その後山頂に向かう。前回保護ネット修復作業を行った際に時間がかかり過ぎて予定していた山頂の標柱整備が出来なかったため、今回はそちらの作業のための道具を持って来た。時刻はもう5時、まずいのは空に真っ黒な雲が湧き出したことで、夕立が来そうな雰囲気である。さっさと整備を終えてさっさと下山したいが・・・。


    期待していたヒメスミレサイシンはもう終わっていた。


    茅ヶ岳に咲いているのは初めて見た。ツバメオモト。


    山頂の標柱。空には真っ黒な雲が広がり始めた。雷がいちばん怖かったが、なんとか雷鳴は轟かずに済んだ。


    紙ヤスリで標柱を磨き、ニススプレーを噴霧、さらに腐食防止のためアクリルスプレーを噴霧する。

 30分ほどで作業を終える。時刻は5時45分になったが、日が延びてまだ空は明るい。予定では女岩側に下山してエイザンスミレやニリンソウを見ながら駐車場に戻るはずだったが、途中で日が暮れてしまうだろう。女岩あたりまで下りたところで夕暮れとなりあとはヘッドライト点灯して下山となった。


    富士山が見えているが真っ黒な雲が広がっている。なんとか天候は持ちこたえてくれそうだ。


    もうすぐ咲きそうなコイワカガミ。


    少しだけ咲き出していた。

 ヘッドライトを照らしてみると、登山道の両脇には満開のニリンソウや、ムラサキケマン、ユキヤブケマンなどが咲いていたがもはや暗くて撮影は出来ずあきらめる。午後7時下山となった。

 不完全な保護ネットではあるが、今年もなんとか食害からオキナグサを守ることが出来た。しかも、昨年とは見違えるほどにたくさん咲いてくれたのは嬉しかった。ひとまずはオキナグサ保護作戦成功である。使っているポールは強風が吹きつけるこの斜面では持ち堪えられないようで、次はもうひと回り太いポールを荷揚げしてワイヤーの固定方法も考える必要がありそうだ。今年のうちに作業を行っても冬の間に壊れてしまうので、また来年の春に作業を行いたいと思っている。
    

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9 コメント

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翁草保護柵 (深沢廣美)
2018-05-04 22:58:16
相変わらずの、植物保護、頭が下がります。
こちらでも、電気柵で植物保護(主にシカの食害)をしていますが、こちらは冬の積雪が多い為か、秋に取り去り、初夏に再び設置のケースがほとんどです。
積雪量が違うので、何ともなんですが、積もった雪がその後収縮する力は強力な感じで、霧ヶ峰では50㎜位の鉄パイプも曲がります。
網もついているので、剛体で丈夫にしても大変な感じがします。
逆に、ピアノ線のような柔構造にした方が好いのかとも思います。
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深沢さんへ (ヨッシー)
2018-05-05 19:57:07
オキナグサは基本的に毒草なので鹿の食害を受けるのはほとんどが出始めの花芽です。だから花の咲く頃だけ保護してやればその後は柵が無くても食害は受けません。春のこの季節だけなんとか乗り越せばその後は柵が倒れてもあまり問題はありません。それと、そんなに何度も現地を訪れるだけの時間的余裕が無いです。
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いつもありがとうございます(^^) (のりすけ)
2018-05-15 16:26:29
茅ヶ岳には26日に行った時には柵は大丈夫でした。今年はいっぱい咲いていてみなさんのご努力が実を結びつつあるとおもいました。本当にありがとうございます。
昨年からブログを読ませていただいて気になる花を見にあちこち訪問させていただきました。今年4月から韮崎に転居しましたので、微力ながらお手伝いできるのであればさせていただければと思います。本日も奥さんと二人 甘利山でヤマブキソウやクリンソウにあって感激しました。山梨って本当に素敵ですね〜(^^)
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のりすけさんへ (ヨッシー)
2018-05-15 17:03:11
報告ありがとうございます。

なにせ素人がやっている作業なものでいろいろと不具合が出ています。たぶん台風で倒れてしまうと思いますが、ひとまず今年はこれで良かったと思っています。

現在の私が行っている植物調査、保護活動とも個人でやっているものが多いですが、根本的に中心となっているのは山岳連盟の自然保護グループの活動です。できれば、自然保護グループに入っていただけるとたいへん嬉しいです。
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ありがとうございました。 (のりすけ)
2018-05-15 17:46:18
ヨッシーさま
そうなんですか、山岳連盟の自然保護グループ主体の活動だったのですね。
山梨県の山岳連盟なのかな? 探して参加いたします。
お会いできた際はよろしくお願いします。
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のりすけさんへ (ヨッシー)
2018-05-16 10:15:06
各県には山岳連盟に所属した自然保護グループというのがあります。その中でも山梨県山岳連盟自然保護グループはレベルの高い活動をしていると自負しています。原則的にはどこかの山岳会に所属していただいてこのグループに入っていただく形になります。主な活動は山岳レインジャー活動で、各山岳会の調査場所や日程を調整したり集まったデータを集計したりしています。もちろん希少植物の観察会と勉強会、保護活動も積極的に行っています。
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オキナグサその後 (ヨッシーさま)
2022-05-13 18:55:34
このブログなどを参考に、2022年4月25日茅ヶ岳にオキナグサを探しに参りました。復路に頂上から尾根伝いに千本桜コースを右に見て左側の尾根コースをたどり、標高1570m〜1480m付近を探しました。1480m付近では尾根をはずれて右側の方へ柵があるのでは、とあちこち見たのですが、柵も花も見つかりませんでした。差し支えなければ、ヒントだけでも花の場所をご教示いただければ幸いです。来年再挑戦してみたいと思っております。
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Unknown (ヨッシー)
2022-05-13 23:43:15
千本桜コース分岐の近くです。ザレ地はこの1ヶ所しか無いはずです。保護柵は設置する時間と体力が無く、3年前から設置しておらず、今年も設置していません。ここ数年は鹿の食害を受けておらず、しばらくは様子を見ようと思ってます。
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Unknown (Unknown)
2023-05-09 23:58:50
昨年お便りしたものです。昨年頂いた情報をもとに、今年こそ茅ヶ岳のオキナグサを、と思っておりましたが、たまたま富岡アルプスと称される神成山にオキナグサが咲いていると知り、3月下旬に探しに行きました。「古代蓮の里」と、新堀神社周辺にある、という情報のもと、行ってみたら、どちらも植栽で、特に後者は畑にびっしり、花はピークを迎えていました。初めての花でしたが、感激半分、落胆半分でした。やはり山の中で見つけたいもの、とつくづく感じました。
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