山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

これがアカンスゲ 乙女高原 令和3年6月6日

2021年06月09日 | スゲの仲間
 アカンスゲは北海道のほかに本州では岩手県、栃木県、長野県、そして山梨県に隔離的に分布する貴重なスゲである。何度か訪問している乙女高原であるが果期にならないと区別が難しいため、まだ確認が出来ていない。特徴的な雌花の形なので結実していれば見分けるのはさほど難しく無いはずである。天候がいまひとつで時折小雨が降るが、時期を逃すと実が落下して見られなくなってしまうため、小雨の中を傘を持ちながら見に行ってみる。


    当初はこの島状になった大きな葉のものがアカンスゲだと思っていた。


    ようやく穂が出始めたものを見てみると、どうやらこれでは無いようだ。これはイネ科の植物らしい。


    本物のアカンスゲは細い葉のほうのようである。前回5月下旬の訪問時に雄しべと雌しべを出していたものがアカンスゲだった。


    これがアカンスゲだ。


    アカンスゲの小穂


    マクロ撮影。まだ結実したばかりの穂。


    こちらはしっかり結実している穂。特徴的な形をしている。


    湿地の辺縁には比較的多数生育していることが分かった。


    やっと確認出来たアカンスゲ。ほっと一安心である。


    別のスゲが花を咲かせていた。タニガワスゲだと思っていたがどうも違うようである。


    雌鱗片が茶色く無くて緑色をしている。


    こちらは同じものなのか、別物なのか?


    雌鱗片は辺縁が茶色い。

 別の場所に立ち寄ってみる。こちらに生えているのも当初はタニガワスゲだと思っていたのだが、結実したものを見るとそうでは無いようである。


    別の場所に生えていたスゲ。


    さて、これは何?雄小穂を伸ばした頃に見た時はタニガワスゲだと思っていたが違うようである。


    雌小穂の拡大。鱗片は辺縁が茶色で先端部は尖り、小さな芒がある。


    ヤチボウズのようになっているものがあった。


    これもおそらくは同じもの。画像を拡大して見てみると、先端部の鱗片は辺縁が茶色だが根元のほうは緑色をしている。辺縁茶色も緑も同じものではないかと思う。

 さて、このスゲは何者であろうか?勝山輝男先生の著書「日本のスゲ」を見てみると、オタルスゲという山梨市で採取されたスゲの果胞と果実の写真が掲載されていた。その図鑑の画像を見てみると今回見たスゲはこのオタルスゲにきわめて良く似ている。花の咲いていたものもおそらく同じものと思われ、これらはオタルスゲではないかと推測される。そのような目で見直してみると、先日八ケ岳美ヶ森で見てきたテキリスゲと思わしきスゲもこのオタルスゲではないのかと思えてくる。とにかくまだカヤツリグサ科は分からないことだらけで課題が増えて行くばかりである。しつこくまた訪問してみたいと思う。


    小さなハリスゲの仲間があった。


    これはコハリスゲなのか、それともサトヤマハリスゲなのか?やっぱり分からない。

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