平成20年7月19日 天候晴れ
2週間前は風邪のためキタダケソウを見に行けず悔しい思いをした。2週間過ぎてもまだ治りきらず、咳と痰が続いている。しかし、歩くにはあまり支障なさそうなので連休を利用して2泊3日で農鳥岳まで行く計画を立てた。同行するのは山梨百名山残り7山あまりの植田さんと登山初心者の当院事務員の斉藤さん。斉藤さんは1泊しかできないとのことなので、翌日一人で広河原まで下山してもらう、はずだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/1f/3d8bbd99fee48dab5f405047ec0d6472.jpg)
大樺沢沿いに咲くミヤマハナシノブ
さて、6時半病院集合で私の車で芦安駐車場に移動。既に車は満杯に近く、いちばん端の第八駐車場に車を止める。7時40分のバスに乗り、9時に広河原を歩き始めた。コースは一番安全な二俣から右俣を登るコース、北岳肩の小屋に宿泊させてもらう。連休で混雑が予想されるので、寝る場所が無い時のことを想定してツエルトとマット、シュラフカバーを持っていった。植田さんはトレーニングだと言ってテント、マット、シュラフと完全装備で登る。いつもの通りの花を楽しみながらの亀足ペースで歩く。大樺沢沿いにはミヤマハナシノブが咲き元気をつけられる。心配していた雪渓は二俣の下、距離にして200mほどで、しっかりと踏み固められておりアイゼンは装着せずに登れた。その先の左俣はハシゴ下まで雪渓が続き、アイゼンなしではちょっと危なそうだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/9c/5b84e741862e7ee5655f64751c45fbab.jpg)
大樺沢から見る北岳と左俣の雪渓
二俣に12時半到着、昼食をとる。陽射しが強く、結構熱い。いよいよ右俣の急登、さらにゆっくりしたペースで登る。途中にキバナノアツモリソウが咲いているところがあると聞いていたので、教えてもらった場所を念入りに探したがとうとう見つけることはできなかった。午後2時半ごろに草スベリの分岐に到着、そのあたりはちょうど満開のシナノキンバイのお花畑になっていて事だった。登山中に抜きつ抜かれつしていた若者3人のグループともすっかり仲良くなり、打ち解け会って肩の小屋を目指す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/3b/94ae7323b204e8b894f8cecc5c2a613c.jpg)
右俣上部のシナノキンバイのお花畑
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/a9/4a949faf9fa15b28363e31adf6f6ab42.jpg)
肩の小屋直下のミヤマシオガマ
小太郎尾根分岐の稜線に抜けると景色は一変、目の前に大きな山容の仙丈岳と格好良い甲斐駒ヶ岳が姿を現す。花もシナノキンバイからハクサンイチゲ、ミヤマキンバイ、ミヤマシオガマなどのお花畑に変わる。小屋まであとわずかだが、フル装備で来た植田さんはかなりばてているようだった。私も高度を上げるごとに咳がひどくなり、呼吸が苦しくなってきた。そして午後5時、目指す肩の小屋に到着した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/04/e01511902e70529bd71ff3ff783dd476.jpg)
肩の小屋直下のお花畑。夕陽に映える。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/26/da3738ec8fa5f0b669c2ac435c8db35a.jpg)
テント場は満杯状態。
小屋では夕食の準備の真っ最中だった。受付を済ませると、小屋主の森本さんが私の名前と顔を見て、「あれっ、前にも来たことあるよねー」という話になり、嶺朋クラブの名を告げると、ビールと女性にはコーラをサービスしてくれた。私もずいぶん有名になったものだとちょっと自己満足する。一緒に登ってきた若者3人組も好ポジションにテント場所を確保し、さっそく設営にとりかかっていた。記念に私たちのパーティーとともに小屋の前で思念撮影をした。6時を過ぎてもまだ日は高く明るい。小屋の直下のお花畑が見事だったので私は三脚を担いで撮影に出かけたが、その頃から咳がだんだんとひどくなってきた。仙丈岳の左側に沈んで行く夕陽が実にきれいで、小屋裏の石垣の上に三脚を立てて何枚も写真を撮った。咳はさらにひどくなり、呼吸が苦しいほどになる。小屋に戻ると夕食に呼ばれていたらしいのだが、撮影に夢中で全く気付かなかった。私たち3人組は遅れて、食事を出してもらったが、植田さんは寝不足と疲れで一口も食事をとることなくシュラフに潜り込んで早々に眠りについた。私は咳で苦しく、酸素缶で酸素を吸いながら食事をとるという異常事態になる。咳止めの薬を持ってきたはずだったのだが見つからず、奥の手で高山病対策に持っていたステロイド剤を内服。呼吸が整うと咳もしだいに治まってきた。高度3000mあたりから空気が薄くて呼吸が荒くなるため、風邪で過敏になっている気道を刺激して咳が止まらなくなるらしい。この時点で明日の農鳥岳行きは断念し、斉藤さんとともに下山することにした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/a4/813f815599cb138522f4230481a0db2e.jpg)
途中で一緒になった3人組と記念撮影。水野君と内山君…だったかな?すみません、忘れました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/1d/e36db899dfa45c8f1c6745db7ac11511.jpg)
仙丈岳に沈む夕陽 雲が湧き上がり、実にきれいな夕陽だった。
小屋は混雑していたが、1階のいちばん端のスペースに寝かせてもらい、かなりゆったりしたスペースで寝ることができた。といっても、最近夜中の撮影に凝っている私は外の様子が気になってしょうがない。8時過ぎ、外に出て9時半まで月を眺め、2時間ほど寝て今度は深夜1時半から北岳山頂に昇った月を撮影する。一旦横になったが寝付けずに3時半、再び外に出る。既に夜明けを山頂で迎える人たちが準備し、登っている人たちもいた。結局そのまま夜明けを迎えてしまうことになる。(2日目に続く)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/19/83165e7eca831dab4f17912c6a95ae0e.jpg)
月光の奏でる夕景 明るい星は木星。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/ce/6d829db62faf8581aa0918c5e5575501.jpg)
北岳山頂に昇った月 午前2時ごろの風景。
2週間前は風邪のためキタダケソウを見に行けず悔しい思いをした。2週間過ぎてもまだ治りきらず、咳と痰が続いている。しかし、歩くにはあまり支障なさそうなので連休を利用して2泊3日で農鳥岳まで行く計画を立てた。同行するのは山梨百名山残り7山あまりの植田さんと登山初心者の当院事務員の斉藤さん。斉藤さんは1泊しかできないとのことなので、翌日一人で広河原まで下山してもらう、はずだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/1f/3d8bbd99fee48dab5f405047ec0d6472.jpg)
大樺沢沿いに咲くミヤマハナシノブ
さて、6時半病院集合で私の車で芦安駐車場に移動。既に車は満杯に近く、いちばん端の第八駐車場に車を止める。7時40分のバスに乗り、9時に広河原を歩き始めた。コースは一番安全な二俣から右俣を登るコース、北岳肩の小屋に宿泊させてもらう。連休で混雑が予想されるので、寝る場所が無い時のことを想定してツエルトとマット、シュラフカバーを持っていった。植田さんはトレーニングだと言ってテント、マット、シュラフと完全装備で登る。いつもの通りの花を楽しみながらの亀足ペースで歩く。大樺沢沿いにはミヤマハナシノブが咲き元気をつけられる。心配していた雪渓は二俣の下、距離にして200mほどで、しっかりと踏み固められておりアイゼンは装着せずに登れた。その先の左俣はハシゴ下まで雪渓が続き、アイゼンなしではちょっと危なそうだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/9c/5b84e741862e7ee5655f64751c45fbab.jpg)
大樺沢から見る北岳と左俣の雪渓
二俣に12時半到着、昼食をとる。陽射しが強く、結構熱い。いよいよ右俣の急登、さらにゆっくりしたペースで登る。途中にキバナノアツモリソウが咲いているところがあると聞いていたので、教えてもらった場所を念入りに探したがとうとう見つけることはできなかった。午後2時半ごろに草スベリの分岐に到着、そのあたりはちょうど満開のシナノキンバイのお花畑になっていて事だった。登山中に抜きつ抜かれつしていた若者3人のグループともすっかり仲良くなり、打ち解け会って肩の小屋を目指す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/3b/94ae7323b204e8b894f8cecc5c2a613c.jpg)
右俣上部のシナノキンバイのお花畑
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/a9/4a949faf9fa15b28363e31adf6f6ab42.jpg)
肩の小屋直下のミヤマシオガマ
小太郎尾根分岐の稜線に抜けると景色は一変、目の前に大きな山容の仙丈岳と格好良い甲斐駒ヶ岳が姿を現す。花もシナノキンバイからハクサンイチゲ、ミヤマキンバイ、ミヤマシオガマなどのお花畑に変わる。小屋まであとわずかだが、フル装備で来た植田さんはかなりばてているようだった。私も高度を上げるごとに咳がひどくなり、呼吸が苦しくなってきた。そして午後5時、目指す肩の小屋に到着した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/04/e01511902e70529bd71ff3ff783dd476.jpg)
肩の小屋直下のお花畑。夕陽に映える。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/26/da3738ec8fa5f0b669c2ac435c8db35a.jpg)
テント場は満杯状態。
小屋では夕食の準備の真っ最中だった。受付を済ませると、小屋主の森本さんが私の名前と顔を見て、「あれっ、前にも来たことあるよねー」という話になり、嶺朋クラブの名を告げると、ビールと女性にはコーラをサービスしてくれた。私もずいぶん有名になったものだとちょっと自己満足する。一緒に登ってきた若者3人組も好ポジションにテント場所を確保し、さっそく設営にとりかかっていた。記念に私たちのパーティーとともに小屋の前で思念撮影をした。6時を過ぎてもまだ日は高く明るい。小屋の直下のお花畑が見事だったので私は三脚を担いで撮影に出かけたが、その頃から咳がだんだんとひどくなってきた。仙丈岳の左側に沈んで行く夕陽が実にきれいで、小屋裏の石垣の上に三脚を立てて何枚も写真を撮った。咳はさらにひどくなり、呼吸が苦しいほどになる。小屋に戻ると夕食に呼ばれていたらしいのだが、撮影に夢中で全く気付かなかった。私たち3人組は遅れて、食事を出してもらったが、植田さんは寝不足と疲れで一口も食事をとることなくシュラフに潜り込んで早々に眠りについた。私は咳で苦しく、酸素缶で酸素を吸いながら食事をとるという異常事態になる。咳止めの薬を持ってきたはずだったのだが見つからず、奥の手で高山病対策に持っていたステロイド剤を内服。呼吸が整うと咳もしだいに治まってきた。高度3000mあたりから空気が薄くて呼吸が荒くなるため、風邪で過敏になっている気道を刺激して咳が止まらなくなるらしい。この時点で明日の農鳥岳行きは断念し、斉藤さんとともに下山することにした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/a4/813f815599cb138522f4230481a0db2e.jpg)
途中で一緒になった3人組と記念撮影。水野君と内山君…だったかな?すみません、忘れました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/1d/e36db899dfa45c8f1c6745db7ac11511.jpg)
仙丈岳に沈む夕陽 雲が湧き上がり、実にきれいな夕陽だった。
小屋は混雑していたが、1階のいちばん端のスペースに寝かせてもらい、かなりゆったりしたスペースで寝ることができた。といっても、最近夜中の撮影に凝っている私は外の様子が気になってしょうがない。8時過ぎ、外に出て9時半まで月を眺め、2時間ほど寝て今度は深夜1時半から北岳山頂に昇った月を撮影する。一旦横になったが寝付けずに3時半、再び外に出る。既に夜明けを山頂で迎える人たちが準備し、登っている人たちもいた。結局そのまま夜明けを迎えてしまうことになる。(2日目に続く)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/19/83165e7eca831dab4f17912c6a95ae0e.jpg)
月光の奏でる夕景 明るい星は木星。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/ce/6d829db62faf8581aa0918c5e5575501.jpg)
北岳山頂に昇った月 午前2時ごろの風景。