@日本とドイツの大戦中の恩義に対する考え方の違い
外国体験のいろいろ(73)でドイツは第二次大戦中に枢軸国側として参戦したブルガリヤやルーマニアへ恩義を感じて、恩返しをしていると書いた。
恩義を忘れないことは東洋思想でも善とされている。ヒットラーの暴虐ぶりは糾弾すべきだが、恩義を忘れないドイツ人は人間として偉い。翻って、戦後の日本ではどういう考え方をしたのであろうか?朝鮮を併合して、人々を使役し、戦争に協力してもらった恩義へ恩返しをしようとする発想は無かったのであろうか?
@朝鮮族で中国共産党員になった金さんから聞いた話
1981年、中国の瀋陽へ行ったとき親しくなった金教授の両親は、日本によって旧満州へ追われ満州開拓へ協力したという。旧満州が中国共産党の支配下になり、共産党員になったという。日本の支配と中国の支配の両方を体験した朝鮮族である。中国国籍もすぐ貰えたという。旧満州には多くの朝鮮人が住んで居たので、朝鮮自治区が数多く存在している。中国政府によって朝鮮語と朝鮮風の生活が認められている。
日本と中国のどちらの支配が住みやすいですか?と金さんへ聞いた。言下に中国です、と言う。日本は朝鮮を武力併合した。多くの朝鮮人を日本本国だけでなく樺太、満州、南洋諸島へ連れていって労働者として使役した。兵隊へも駆り出して使った。戦死者も多かった。1945年8月6日にソ連が樺太や旧満州へ侵入してきた時、日本人は朝鮮人を置き去りにして引き上げて行った。
中国人の他民族の支配は長い歴史があり、賢明な支配の仕方が出来上がっている。食生活、生活習慣、宗教は可能なかぎり自由にするという。金さんの勤めている大学の学生食堂には、回族学生ための料理人が居て食堂も別棟になってるという。
日本の支配の仕方は、創氏改名のように名前から変えさせる。生活へ直接干渉しすぎて反感を誘う。
在日韓国人・朝鮮人に対する差別も細かなことまでに及び過ぎる。永住権だけで良いのか、国籍まで欲しいのか?すべて個人の自由にすれば良い。就職のとき差別されるという話も聞く。個人の能力だけで採否を決めれば良い。差別する人の心が貧しいのだ。日本にはアイヌ人も居るし、琉球民族の子孫も居る。台湾人も中国人も住んでいる。欧米人もアフリカの人々も住んでいる。一切の差別を無くせば、日本人にとっても、もっと住みよい国になると思う。
先日、李朝宮廷芸能を見て、何気なく写真を撮った。下の写真の手前に映っている高齢の男性の横顔を見て何故か胸衝かれる思いがする。何を考えながら太鼓をたたいているのだろうか?
中国に残留し、共産党員になった金さんの屈託の無い表情とあまりにも違う。日本と中国の他民族支配の違いを見るようで、心が暗くなる。しかし若い在日韓国人の司会ぶりには微塵の暗さが無い。時代の流れなのか。(続く)