後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

人間が好きだから旅をする(1)不登校生から教わったこと

2008年10月23日 | 旅行記

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外国体験のいろいろ(75)在日韓国人・朝鮮人を大切にする、を最後にして「外国体験のいろいろ」シリーズを止めて、その続編として、「人間が好きだから旅をする」シリーズを始めたいと思います。外国で色々な人々に助けられ親切にしてもらいました。外国人という人間が好きになりました。その体験を書き綴ってきました。しかし何の縁故もない数多くの日本人にも親切にして貰い、助けて貰いました。

「人間が好きだから旅をする」という題目の意味は、「人間が好きだから人生という旅を楽しくすることが出来る」という意味です。このシリーズでは外国人も出て来ますが、日本人が数多く出てくる筈です。

今回は不登校の高校生から学んだことを、簡単に書いて見たいと思います。

1994年から1998年まで不登校生が多いある種の高等学校の顧問のような仕事をしていました。通信高校制の勉強を学校形式でさせ、提携した通信制の高校の進級試験を受けさせて、3年後には高校卒業資格を取らせる学校です。代々木高等学院です。

中学校時代や高校で不登校になり勉強について行けなくなった生徒の高校卒業資格取得を支援する学校です。顧問のような立場だったので、よく両親や不登校生だった生徒の相談に乗りました。不登校関係の本もいろいろ読みました。それで明解に分かったことが二つありました;

(1)これは紛れもない病気である。(学校へ行こうとすると頭痛や腹痛が本当に起きる)

(2)病気の原因は複雑であり、またその原因を不登校生と話し合ったり、議論すると病状がますます悪くなる。親や先生も原因を子供に追求したり、説教するとますます悪くなる。

(1)は説明の必要がない。(2)は複雑な心因性の病気の原因を本人と一緒に追求したり議論すると本人はもちろん周りの家族を傷つける結果になる。そのことが病状を一層悪くするのです。間違った親や先生の対応が一層悪くするのです。

病気ですから説教しても直らない。例えば風邪を引いている人へ「咳をするのを止めなさい!そうすると風邪が治りますよ」と言ったとしたら、それは馬鹿げている。不登校生へ学校へ行きなさいということほど馬鹿げた話は無い。本人も行きたいのだ。

病気だからかかり易い人、かかり難い人が居る。かかり易い生徒は「人間関係を作ることに生まれつき不器用な人間」である。

人間関係がうまく作れないのには2つのタイプがある。他人へ対して攻撃的で独善的な人。そしてもう一つは性格が優しすぎて、自分が他人を傷つけるのが怖くて人間関係が器用に作れない。そして、自分の心が傷つくことに過敏になり過ぎる。

不登校になる生徒は圧倒的に第二のタイプの人です。

不登校生と1時間、2時間と話し合っていると、まず彼らの優しさに圧倒されます。こちらが不愉快になるような言葉を絶対に喋りません。数人の不登校生と話し込んで例外なくすっかり好きになってしまいました。人間ってこんなに優しくなれるのだ、という感慨にとらわれます。

すると相談にくる両親へ言うべきことが分かります。「学校へ行きなさい」は禁句ですよ。「不登校は病気だから絶対に直るよ。親だから心配はしているよ。食事だけは部屋へ届けるから健康だけには注意してね。気が向いたらコンビニへでも買い物に行って良いよ。」それ以上のことは言ってはいけないのです。ただ温かい気持ちで接することだけが重要になります。

こんな体験で不登校生が好きになってしまいました。その延長として「引きこもり」なども善い人間性の表れのように思っています。周りの家族の心労が大きいだけに、本人からは距離をおいて、一層好きになって上げればよいのです。でも言葉でいい過ぎないように。(続く)

撮影場所:富士山スバルライン5合目終点から6合目までの登山道にて、

撮影日時:10月13日午前10時前後