最近、石原さんが反米と反中国を旗印に政治活動をしています。日本が右傾化しつつあるのです。石原さんよりもっと扇動的で危険な軍事力強化思想を主張しているのが元航空幕僚長の 田母神俊雄氏です。このような人間が航空幕僚長をしていたのですから厳しいシビリアン・コントロールが必要になるのです。その田母神俊雄氏はブログやツイッター(https://twitter.com/toshio_tamogami)で日本が核武装して中国へ対抗すべしと大いに宣伝活動を繰り広げています。
現在の日本のように長く経済不況が続き、閉塞感に覆われている時には田母神俊雄氏の明快な軍備拡張論が歓迎されるのです。彼の講演が全国で人気を集め、引っ張りだこのようです。
これは実に危険な傾向です。日本がまた戦争を始めるのです。戦争の惨禍に見舞われるのです。この田母神俊雄氏の思想の危険性を分かりやすく指摘している文章を見つけたので以下にご紹介いたします。
それは現在、自民党の幹事長をしている石破 茂氏が自分のブログで公開している文章です。
===== 田母神・前空幕長の論文から思うこと・・・石破 茂=====
石破 茂 です。 http://ishiba-shigeru.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-8451.html
田母神(前)航空幕僚長の論文についてあちこちからコメントを求められますが、正直、「文民統制の無理解によるものであり、解任は当然。しかし、このような論文を書いたことは極めて残念」の一言に尽きます。
同氏とは随分以前からのお付き合いで、明るい人柄と歯に衣着せぬ発言には好感を持っており、航空幕僚長として大臣の私をよくサポートしてくれていただけに、一層その感を深くします。 日中戦争から先の大戦、そして東京裁判へと続く歴史についての私なりの考えは、数年前から雑誌「論座」などにおいて公にしており、これは田母神氏の説とは真っ向から異なるもので、所謂「民族派」の方々からは強いご批判を頂いております(その典型は今回の論文の審査委員長でもあった渡部昇一上智大学名誉教授が雑誌「WILL」6月号に掲載された「石破防衛大臣の国賊行為を叱る」と題する論文です。それに対する私の反論は対談形式で「正論」9月号に、渡部先生の再反論は「正論」11月号に掲載されています。ご関心のある方はそちらをご覧下さい)。
田母神氏がそれを読んでいたかどうか、知る由もありませんが、「民族派」の特徴は彼らの立場とは異なるものをほとんど読まず、読んだとしても己の意に沿わないものを「勉強不足」「愛国心の欠如」「自虐史観」と単純に断罪し、彼らだけの自己陶酔の世界に浸るところにあるように思われます。
在野の思想家が何を言おうとご自由ですが、この「民族派」の主張は歯切れがよくて威勢がいいものだから、閉塞感のある時代においてはブームになる危険性を持ち、それに迎合する政治家が現れるのが恐いところです。
加えて、主張はそれなりに明快なのですが、それを実現させるための具体的・現実的な論考が全く無いのも特徴です。
「東京裁判は誤りだ!国際法でもそう認められている!」確かに事後法で裁くことは誤りですが、では今から「やりなおし」ができるのか。賠償も一からやり直すのか。
「日本は侵略国家ではない!」それは違うでしょう。西欧列強も侵略国家ではありましたが、だからといって日本は違う、との論拠にはなりません。「遅れて来た侵略国家」というべきでしょう。<o:p></o:p>
=====以下省略===================
上の文章にある「民族派」というのを右翼と書き直せば一層分かりやすくなります。
そうすると以下の石破さんの文章は問題の核心をついていると思います。実に明快な真理です。
ーー前略ーーーーー、「民族派」の特徴は彼らの立場とは異なるものをほとんど読まず、読んだとしても己の意に沿わないものを「勉強不足」「愛国心の欠如」「自虐史観」と単純に断罪し、彼らだけの自己陶酔の世界に浸るところにあるように思われます。
在野の思想家が何を言おうとご自由ですが、この「民族派」の主張は歯切れがよくて威勢がいいものだから、閉塞感のある時代においてはブームになる危険性を持ち、それに迎合する政治家が現れるのが恐いところです。
加えて、主張はそれなりに明快なのですが、それを実現させるための具体的・現実的な論考が全く無いのも特徴です。ーーーーーーー以下略ーーーーーーーー
どうでしょうか?反米や反中国を叫ぶのは簡単なことです。しかし具体的に何を、どのような順序で日本政府が実行すべきか誰も明確な考えを言っていません。そのような主張は日本を危険な立場へ追いやるだけで、何にも建設的な結果にはならないのです。
選挙の際にはこのような視点で慎重に考えるべきではないでしょうか?