1972年の田中角栄・周恩来会談により日中共同声明が発表され、続いて1978年に日中友好条約が締結されました。
中国側は戦後賠償を求めず、その代り日本は多額のODA援助をしました。
中国政府はこれで日本の中国侵略へ対してこれ以上の責任追及をしないことになりました。
これで一件落着の筈でした。
しかし日中友好条約には2つの条件がついていたのです。
(1)現在の日本人は軍国主義者と完全に縁を切るという条件。
中国共産党は日本軍の残虐行為は軍国主義者が行ったもので、現在の日本人とは無関係だという仮定を立て、日中友好条約を締結したのです。従って現在の日本政府の人間が昔の軍国主義者や軍人の祀ってある靖国神社を参拝することに強く反対するのです。
現在の日本人は軍国主義者と完全に縁を切るという条件が存在していたのです。そして日中共同声明の前文には、日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省すると明記してあったのです。
(2)尖閣諸島の問題は棚上げにする。
この条件は尖閣諸島は将来の賢い解決まで双方が触らないという約束です。この約束は田中角栄と周恩来の間で作られたのです。角栄さんが尖閣諸島の領有権を言い出した時、周恩来さんは、この問題は棚上げにしましょうと言ったのです。そして鄧小平が将来の賢い人にまかせましょうと棚上げ状態を再確認したのです。
中国と台湾の民間人が尖閣諸島に上陸しました。それを受けて野田政権が諸島の国有化を決定したのです。この行為を中国政府側から見れば、「棚上げの約束」を日本政府一方的に破ったと理解しているのです。
従って中国政府は日中友好条約は無効になったと見なしているのです。2つの付帯条件を日本政府が一方的に破ったのです。無効になるのが当然です。
この2つの付帯条件ははじめから無理があったのです。
日本政府が中国側へこれは無理だと説明を尽くさなかったのが現在の状態を生んだのです。
すなわ中国人の建前と本音を深く理解しようとせず、外交交渉を中途半端にしてきたと考えられます。
中国人の建前は日中友好条約です。本音は「そんなに簡単に日本を許せるわかが無い」です。
その本音を癒しながら日本の国益守るのが政権担当政党の責任です。
最近の若い日本人は昔、中国本土で何があったか知りません。
そこでお勧めしたいのが、「鳥飼行博研究室、盧溝橋事件・上海事変・首都南京攻略」(http://www.geocities.jp/torikai007/japanchina/1937.html )という真面目な研究です。
以下にその研究報告書から数枚の写真をお借りして掲載いたします。
それはそれとして、
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
上は上海事変のとき上海を占領する大日本帝国海軍の陸戦隊です。
下は中国人捕虜を日本兵が公開処刑している様子です。
下は当時の日本国内の新聞です。
日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明 (http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_seimei.html) 日本国内閣総理大臣田中角栄は、中華人民共和国国務院総理周恩来の招きにより、千九百七十二年九月二十五日から九月三十日まで、中華人民共和国を訪問した。田中総理大臣には大平正芳外務大臣、二階堂進内閣官房長官その他の政府職員が随行した。
毛沢東主席は、九月二十七日に田中角栄総理大臣と会見した。双方は、真剣かつ友好的な話合いを行った。
田中総理大臣及び大平外務大臣と周恩来総理及び姫鵬飛外交部長は、日中両国間の国交正常化問題をはじめとする両国間の諸問題及び双方が関心を有するその他の諸問題について、終始、友好的な雰囲気のなかで真剣かつ率直に意見を交換し、次の両政府の共同声明を発出することに合意した。
日中両国は、一衣帯水の間にある隣国であり、長い伝統的友好の歴史を有する。両国国民は、両国間にこれまで存在していた不正常な状態に終止符を打つことを切望している。戦争状態の終結と日中国交の正常化という両国国民の願望の実現は、両国関係の歴史に新たな一頁を開くこととなろう。
日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。また、日本側は、中華人民共和国政府が提起した「復交三原則」を十分理解する立場に立って国交正常化の実現をはかるという見解を再確認する。中国側は、これを歓迎するものである。
日中両国間には社会制度の相違があるにもかかわらず、両国は、平和友好関係を樹立すべきであり、また、樹立することが可能である。両国間の国交を正常化し、相互に善隣友好関係を発展させることは、両国国民の利益に合致するところであり、また、アジアにおける緊張緩和と世界の平和に貢献するものである。
一 |
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日本国と中華人民共和国との間のこれまでの不正常な状態は、この共同声明が発出される日に終了する。 |
二 |
日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。 |
三 |
中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。 |
四 |
日本国政府及び中華人民共和国政府は、千九百七十二年九月二十九日から外交関係を樹立することを決定した。両政府は、国際法及び国際慣行に従い、それぞれの首都における他方の大使館の設置及びその任務遂行のために必要なすべての措置をとり、また、できるだけすみやかに大使を交換することを決定した。 |
五 |
中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。 |
六 |
日本国政府及び中華人民共和国政府は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。 両政府は、右の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。 |
七 |
日中両国間の国交正常化は、第三国に対するものではない。両国のいずれも、アジア・太平洋地域において覇権を求めるべきではなく、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する。 |
八 |
日本国政府及び中華人民共和国政府は、両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるため、平和友好条約の締結を目的として、交渉を行うことに合意した。 |
九 |
日本国政府及び中華人民共和国政府は、両国間の関係を一層発展させ、人的往来を拡大するため、必要に応じ、また、既存の民間取決めをも考慮しつつ、貿易、海運、航空、漁業等の事項に関する協定の締結を目的として、交渉を行うことに合意した。 |
千九百七十二年九月二十九日に北京で
日本国内閣総理大臣 |
田中角栄(署名) |
日本国外務大臣 |
大平正芳(署名) |
中華人民共和国国務院総理 |
周恩来(署名) |
>
中華人民共和国 外交部長 |
姫鵬飛(署名) |
日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約 (http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_heiwa.html) 日本国及び中華人民共和国は、 千九百七十二年九月二十九日に北京で日本国政府及び中華人民共和国政府が共同声明を発出して以来、両国政府及び両国民の間の友好関係が新しい基礎の上に大きな発展を遂げていることを満足の意をもつて回顧し、 前記の共同声明が両国間の平和友好関係の基礎となるものであること及び前記の共同声明に示された諸原則が厳格に遵守されるべきことを確認し、 国際連合憲章の原則が十分に尊重されるべきことを確認し、アジア及び世界の平和及び安定に寄与することを希望し、 両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるため、 平和友好条約を締結することに決定し、このため、次のとおりそれぞれ全権委員を任命した。 日本国 外務大臣 園田 直 中華人民共和国 外交部長 黄 華
これらの全権委員は、互いにその全権委任状を示し、それが良好妥当であると認められた後、次のとおり協定した。
第一条
1 |
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両締約国は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に、両国間の恒久的な平和友好関係を発展させるものとする。 |
2 |
両締約国は、前記の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。 |
第二条
両締約国は、そのいずれも、アジア・太平洋地域においても又は他のいずれの地域においても覇権を求めるべきではなく、また、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対することを表明する。
第三条
両締約国は、善隣友好の精神に基づき、かつ、平等及び互恵並びに内政に対する相互不干渉の原則に従い、両国間の経済関係及び文化関係の一層の発展並びに両国民の交流の促進のために努力する。
第四条
この条約は、第三国との関係に関する各締約国の立場に影響を及ぼすものではない。
第五条
1 |
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この条約は、批准されるものとし、東京で行われる批准書の交換の日に効力を生ずる。この条約は、十年間効力を有するものとし、その後は、2の規定に定めるところによつて終了するまで効力を存続する。 |
2 |
いずれの一方の締約国も、一年前に他方の締約国に対して文書による予告を与えることにより、最初の十年の期間の満了の際またはその後いつでもこの条約を終了させることができる。 |
以上の証拠として、各全権委員は、この条約に署名調印した。
千九百七十八年八月十二日に北京で、ひとしく正文である日本語及び中国語により本書二通を作成した。
日本国のために 園田 直(署名) 中華人民共和国のために 黄 華(署名) |