後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

ナウマン象の狩と比較すればイルカの追い込み漁は止めた方が良い

2015年06月03日 | 日記・エッセイ・コラム
日本の和歌山県で毎年行われているイルカの追い込み漁をいろいろな角度から考えてみると、やっぱり止めた方が良いと私は思います。
一方、止めるべきではないという意見にはいろいろな理由がありますが、よく言われる理由は伝統的な食文化だから外国人の非難などで止めるべきでないという主張です。
この伝統的な食文化は本当にそんなに重要な文化なのでしょうか?
それを判断するには日本人の約4万年前の石器時代からの、そして縄文時代の食文化を考えるのが良いと思います。
長野県信濃町の野尻湖畔からはナウマンゾウやヤベオオツノジカの化石と共に、旧石器時代の石器や骨器が見つかっており、ナウマンゾウは当時の人の食物であったと考えられています。そのナウマン象は約2万年前に絶滅したのです。
ですから象を食べる食文化は2万年前に消滅しました。
これと対称的なものはイノシシを狩りして食べるという食文化です。これは石器時代から縄文時代を経て現在に至るまで連綿と続けられている食文化です。
さてイルカは食べていたのでしょうか
縄文時代のゴミ捨て場の遺跡からイルカの骨が出て来ます。ですから縄文時代は勿論、石器時代も食べられていたと想像されます。
このようにイルカを食べる食文化は石器時代から現在にいたる日本の食文化なのです。
それでは「イルカの追い込み漁」の歴史を考えてみましょう。それは江戸時代に始まった捕獲方法だと言われています。
ここで問題を整理します。
日本人がイルカを一匹、一匹捕まえて食べることは非難されていません。沖での突き棒漁で毎年獲れる約3000頭のイルカのことは非難されていません。
問題にされているのは多数のイルカを追い込んで、突き槍で殺戮し、海面を血で覆う光景が残酷だと欧米人から非難されているのです。欧米人がその光景を見て胸が悪くなるらしいのです。吐気を感じる人もいるらしいです。勿論、多くの日本人もそう感じます。
しかし強い反対を主張するのは主に欧米人です。
そこで追い込み漁が残酷か否かという議論を飛び越して問題の核心を考えてみましょう。
問題の核心は日本人と欧米人の感情的な争いにあるのです。
そうすると、欧米人は多くの植民地をつくり原住民を虐殺して来たではないか?そんな欧米人にはイルカの追い込み漁を非難する資格は無いと主張する人々がいるのです。これは感情的な反発で、決して建設的な結果になりません。
そこで冷静になってナウマン象を狩りして食べていた時代を想像して見ましょう。その象を食べなければ人間が生きて行けない環境だったに違いありません。ですから当時、象を食べることは残酷ではないと私は考えています。
これに比べてイルカ追い込み漁を止めても餓死する人はいません。
そう言うと、漁師には生活がかかっていると主張する人がいます。しかしその漁師の年収の何割が「追い込み漁」で得られているのでしょうか?このようなキメ細かい説明が一切ありません。ですから感情的な反対と見えるのです。
さてここからが私の言いたいところです。
それは「他人が嫌悪感を感じることは止めたほうが良い!」という考え方です。止めて自分達が餓死するなら止めるべきではありません。しかしイルカの追い込み漁を止めても餓死しません。
現在のように国際交流が進んでまった世界環境では他の国々の人が嫌悪感を感じることは止めた方が良いと私は信じています。他の国々が欧米諸国であろうとアジア諸国であろうと変わりはありません。
「イルカの追い込み漁」は江戸時代なら良い方法だったかも知れません。しかし国際交流の盛んな現代ではいけません。
このように考えると、時代、時代によって食文化も変えたほうが良いと思います。
ついでに縄文時代の食料を示しておきます。ご興味のある方はご覧下さい。
その出典は、http://www.tamagawa.ac.jp/sisetu/kyouken/jomon/index.htmlです。
この多賀譲治先生のHPは静岡の海岸にある羽根尾遺跡から出土した多数の土器、食料にした魚やイルカ、そして鹿や猪の骨から当時の生活の様子を学問的に推定しているのです。
そして縄文時代の食べ物を以下のようにしています。
「穀類・豆類」 アワ・ヒエ・キビ・うるち米・もち米・そば・えごま・緑豆
「野菜類」 ごぼう・のびる・アブラナ・緑豆(葉)・えごま(葉)・サトイモ・えびいも・ながいも・みょうが・しょうが・うど・たら・ふき
「果実類」くり・やまぶどう・きいちご・あけび・さるなし・またたび
(平野・山村の部)
鯉・ふな・うなぎ・あゆ・ごり・やつめうなぎ・はや・かわえび・かわがに・うぐい・ぼら・さけ・ます・やまめ・いわな・沢ガニ・川ガニ,などの魚類・甲殻類 、しじみ・たにし,などの貝類
「肉類」 いのしし・鹿・たぬき・熊・きじ・鴨・うずら・すずめ・つぐみ,などの獣や野鳥
「調味料・他」 醤(ひしお)・塩・甘草(かんぞう)・酢・魚醤(ぎょしょう)・酒・山椒・わさび 。
写真には野尻湖とナウマン象や、縄文時代の食文化に関する絵を多賀先生のHPから示します。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)