1945年から45年間も続いた厳しい米ソ冷戦が1990年前後に解消して世界は平和になりました。ドイツが統一され東ヨーロッパの国々がソ連の圧制をはなれそれぞれ独立国になったのです。
当時、私は人類の英知の素晴らしさを感じ、とても明るい気分でした。
しかしその後、ロシアと中国が経済的に成長してくるに従って、両国の無法な行動が再び冷戦時代と同じ様な緊張した国際情勢を作りつつあるのです。
ロシアはクリミア半島をウクライナから奪い、更にウクライナ東部の地域を軍事占領しています。
一方、航空母艦を有する中国は太平洋の覇権を求めて南シナ海の砂州を埋め立て飛行場を作りました。国際的には中国の領土と認められていない南シナ海の幾つかの砂州を埋め立て軍事基地を作っいるようです。
このロシアと中国の行動を止めるためにアメリカは以下の二つの政策を実行しはじめました。
(1)ヨーロッパに駐留している65,000人の米軍の支援のもとに東ヨーロッパの7け国に戦車250両と装甲車両、長距離砲などの重火器を配備する新しい政策を発表しました。
配備する国々はエストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ドイツ、ルーマニア、そしてブルガリアの7ケ国です。
一方、ロシアは核弾頭を付けた大陸間弾道ミサイルを新たに40基も配備すると発表しています。これは新しい冷戦の始まりのようです。
(2)中国の南シナ海での軍事基地化の対抗としてアメリカは軍用機や艦船を派遣して中国の主張している領海を侵犯しようとしています。そしてフィリピンに海軍基地を再び作ろうとしてります。そればかりではなく日本もフィリピンと共同軍事演習を実行し、ベトナムへ巡視艇の供給もしています。
南シナ海でアメリカ軍と中国軍は一触即発のような対立を続けているのです。その米国を安保条約に従って支援しているのが日本の立場です。
この現在の軍事的な対決は1945年から1990年まで続いた鉄のカーテンや竹のカーテンとは本質的に異なりますが、軍事衝突の可能性という視点からは同じような現象です。
冷戦時代は東西の情報交流も経済交流も極端に少なかったのですが、現在は対立する国家間でもいろいろな分野で交流があることが救いになっています。
しかし情緒的に表現すれば、「国際情勢、波高し」と書いても大きな誤りはありません。
この国際情勢は日本へ深い影響を与えています。
例えば日韓関係の改善はアメリカの指導で進んでいます。それは日本、韓国、米国が団結して中国に対抗しようとするアメリカの国際政策の一環なのです。
それだけはありません。安倍政権は大きく舵を切り、アメリカとの安保体制をより強固なものにしようとして、安保関連法案を大きく変えようとしています。
日本の将来の運命をアメリカに託そうという政策なのです。
これは明治維新以来の外交戦略を振り返ると大まかには正しい外交政策と考える人も多いのではないでしょうか。
明治時代の日英同盟で日本は日露戦争に勝ちました。第一次世界大戦でもドイツと戦い戦勝国になりました。しかるに第二次大戦では日英同盟をやめて日独伊同盟で戦い、敗れてしまったのです。戦後70年の歴史を見ればアメリカの圧倒的な強さを認めざるを得ません。
この流れの延長として安倍政権が日本の将来の運命をアメリカに託そうという政策は間違いのないことかもしれません。
最近の国内の議論は憲法9条を守るべきか、軍備強化し戦争も辞さなのが良いかなどと国内事情にだけ視点を置いた感情的なもののように感じられます。
憲法9条も誇りにすべき立派な条文です。自衛戦争なら勇敢に戦うという考えも立派です。
しかし憲法9条を守るべきという人々を、自衛独立を強めようとする人々が非国民というような非難をしています。憲
法9条を守る人も愛国者なのです。私自身は憲法は見直した方が良いと思いますが、それに反対する人々も愛国者だと尊敬しています。
問題の核心はそこにあるのではなく、日本がアメリカにより強く頼って、日本の運命をアメリカに託くすことが良いのか悪いのかという問題にあるのです。
アメリカに強く頼りながらロシアや中国と日本独自の外交をどのように進めるべきかという問題が重要になってくるのです。
例えば北方四島の返還ためにロシアと仲良くするということは如何なものかと思います。どうせ返す筈がないのならシベリア開発に日本企業が参入出来るように外交を展開すべきではないでしょうか。日本とロシアの交流は新たな冷戦状態になったら一段と貴重なものになる筈です。
大雑把過ぎますが最近の国際情勢をに感じることを書いてみました。今日の挿絵代わりの写真は先月行った長野県の八千穂高原の風景写真です。日本一の白樺林です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)