後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

中国政府の検閲なしの口コミ情報網の存在とその影響

2016年01月07日 | 日記・エッセイ・コラム
現在の中国の新聞やテレビは、共産党独裁のもとで厳重な検閲が行われているのは周知のとうりです。そしてインターンネットも監視されています。
私のブログも以前は中国から開くことが出来ましたが、チベット問題を取り上げた途端、封鎖され中国からは開けなくなりました。勿論、言論の自由がある台湾や韓国からは開けます。
中國本土の人々は政府の検閲を受けたマスコミの報道を半信半疑で理解しています。
真実を知りたい。自分の将来の安全も確保したい。この気持ちは人類共通の願いです。
その結果として検閲の届かない口コミ情報網が発達するのです。
以下は1981年、北京で共産党員の周栄章教授から聞いた「口コミ情報」の一例です。
文化大革命(1966年ー1976年)の中頃に周恩来総理が毛沢東の奥さんの江青に暗殺されそうになったという情報です。日本の大部分の新聞は報道しなかった話です。
チベットの首都、ラサに出向いた周恩来総理が帰りに乗った飛行機を2機の戦闘機が接近して撃墜しようとしたというのです。
当時、紅衛兵の先頭に立って破竹の勢いだった江青は空軍の一部も支配下に入れていたのです。
文化大革命に内心反対して国民の人気の高かった周恩来総理は江青の邪魔者でした。
自分の支配下の空軍部隊に命じて、ラサから北京に向かっている周恩来総理の乗った飛行機を撃墜しなさいという命令を下したのです。
2機のジェット戦闘機が飛び上がって周恩来の飛行機を挟みます。当然、機銃攻撃かと思った瞬間、2機の戦闘機は主翼を上下に振って歓迎の動きをします。よく見ると戦闘機のパイロットが笑顔で手を振っています。
そして北京に無事帰った周恩来は病床にある毛沢東に会い、チベットの情勢を報告します。
最後に周恩来が何気なく言います、「あなたの奥さんに撃墜されそうになりました」と。
それを聞いた毛沢東は毛布を顔まで上げてかぶってしまったそうです。毛沢東は無言です。
上は口コミの一例に過ぎません。
口コミは真偽のほどは分かりません。政府の検閲は絶対通らないような内容です。ドラマチックで面白い話で、見たような話しです。
周栄章さんによると口コミ情報は数日で広大な中国の隅々まで伝達されるそうです。
共産党の政府は常に口コミ情報を収集しているそうです。その結果を勘案しながら政策を調整しているそうです。勿論、政府側から意図的に流す口コミ情報もありますが国民にはすぐ分かるそうです。
以上は1970年代の古い話です。しかし現在でもマスコミに検閲がありうる以上、口コミ情報網があると考えるべきでしょう。
最近の日韓和解についても面白可笑しくした「見たような話」が口コミ情報網で流れていることでしょう。口コミ情報は面白くするために男女問題を絡めて、賠償金も10倍位に増加する傾向があります。しかし庶民のバランス感覚で話を締めるので、日本へ同情した一言が落ちのようについていると私は想像しています。
もう一つは最近の爆買いの現象ですが、それを増長する口コミ情報がありそうです。
爆買いは旅行者が大量に日本商品を買って、帰国後、中国でそれを売り払い儲けようとしている商行為です。当然、日本の商品の信頼性や優秀性が口コミで流れ、さらに何処で売れば儲けが大きくなるかという裏情報が流れている筈ではないでしょうか?
日本のマスコミは中国の検閲後の新聞情報やテレビ情報だけを報道しています。
北京や上海に駐在している特派員がいるのですから口コミ情報の収集は容易です。真偽のほどが証明できないので報道出来ないと判断しているのでしょう。しかし真偽とは別に「どのような口コミ情報が、どのくらい流れているか」という事実は中国人の本音を知る上で非常に重要だと思います。共産党独裁国家での口コミ情報を軽視すべきではありません。残念ながらそれが独裁国の悲しさです。
今日の挿絵の写真は記事の内容とは関係の無い道志川の上流の道志村の風景写真です。
道志川は山梨県の道志村が水源になっていて、下流は神奈川県を通って相模川と合流します。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)