富士山は世界遺産と認定されています。
縄文時代から連綿と続く富士信仰と美しい富士山の風景が一体になって世界文化遺産として認定されているのです。
ですから富士山の見える地域に住んでいる人々にとって富士山は幸せを祈る大切な神のような存在なのです。
単純に富士山を愛し、祈れば幸せになるのです。
その富士山の写真をまずお楽しみ下さい。この1月2日に山中湖から撮った写真です。
私は何度も、何度もこの山中湖の湖畔から富士山を見上げてきました。
見上げただけで幸せな気分になります。
何度も見上げた後で、ある時、この美しい富士山はどのようにして出来上がったのだろうかと思いました。それは愛する人の生い立ちに興味があり、いろいろ聞くようなものです。
そこで数年前につくば市にある経済産業省の地質調査総合センターという展示場を3回ほど尋ねました。
その結果を簡単に言えば富士山は8万年位前から3つの大きな火山爆発で出来た山だということが分かりました。8万年前と言えば比較的新しい山です。隣りの箱根は約16万年前の火山ですから、それに比べて新しいと言うのです。
さてそれはそれとして、富士山は三つの山が重なって出来ています。古富士火山は約8万年前~約1万年前に出来、現在の新富士火山は約1万年前以降に爆発してあの美しい形になったのです。最後の爆発は宝永年間の1707年 12月 16日から月末までした。それで南東山腹に宝永火口が出来ました。
富士山には日本の他の火山に無い2つの特徴があるのです。
その一つは美しい長い裾があることです。
富士山が美しい流線型の稜線の裾を持っている理由は流れた溶岩の成分によるのです。
富士山の溶岩の特徴は酸化ケイ素(SiO2)の含有量が非常に少ないことです。
酸化ケイ素の含有量が少ないと溶岩が水飴のようにサラサラと麓まで流れて行けるのです。
そして富士山の第二の特徴は爆発後の陥没が非常に少ないことです。
日本には、このような2つの条件をそなえた火山は非常に少ないのです。多くは箱根山や阿蘇山のように陥没していまい複雑な形をしたカルデラ地形になっています。
下の最後の写真の青色、ピンク、褐色の3つの色に塗り分けて示してあります。つくば市にある地質標本館で撮ってきました。
富士山の隣の箱根山は非常に高い火山でしたが、爆発のあと地下がガランドウになって山が陥没してしまい、カルデラ湖の芦の湖だけになってしまったのです。
なお地質調査総合センターは「数値地質図」という題目でCDシリーズを販売しています。そのG-9は富士火山地質図です。
その中にはいろいろな写真や図表や研究論文が収録されています。主な研究者は津屋博士で、その他にいろいろな資料が入っています。
それによると富士山は781年以来、下に示すように9回も爆発しているのです。
781年 7月 噴火:降灰
800-802年 割れ目噴火:北山腹, スコリア降下, 溶岩流
864-866年 割れ目噴火:北西山腹, スコリア降下, 溶岩流(青木ヶ原溶岩),「せの海」を二分して精進湖と西湖を形成
937年 12月 18日 割れ目噴火:北山腹, スコリア降下, 溶岩流
1033年 1月 19日 割れ目噴火:北山腹, スコリア降下, 溶岩流
1083年 4月 17日 噴火
1435年 割れ目噴火:北山腹, スコリア降下, 溶岩流
1511年 8月 噴火
1707年 12月 16日から月末まで プリニー式噴火:南東山腹(宝永火口), 軽石 & スコリア降下。
以上の爆発を見ると全てが主火口からの爆発ではなく山腹からの割れ目噴火である事が分かります。
少し学問的になり過ぎたのでこの辺で止めます。
それにしても以上が富士山の生い立ちなのです。
このように自然の美しい風景のな成り立ちの歴史を調べることは、「単純に自然を愛せば幸せになる」という表題と矛盾しています。しかしたまには少し自然の風景の成り立ちの歴史を調べるとその風景が一段と美しく見えます。風景の奥行が感じられのです。そして地球のいとなみに比べると人生の短さがしみじみと感じられるのです。この短い人生の一日、一日を大切に生きれば幸せになれるのです。
それはそれとして、今日は皆様が一日、一日を大切に生き、幸せになれるようにとお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)