実は、川上弘美さんを取り上げるのが多いようです。初期の頃の作品の独特の、芥川賞を取ったあたりの、雰囲気さはなくなって、「センセイの鞄」的作風が、心地よいのかも知れません。
あの一種、おどろおどろしい世界が気に入ってもいましたが、「異界が日常性を撃つ」などという作風が。ちょっと最近は人間界に、その日常性に依拠しながら人間界の中での葛藤、心のありようを描くというような作品が多いようで、それはそれで、おもしろいのですね。読者を少し意識しすぎて、エンタテインメントに過ぎるとも言えますが。
この作品。妻、嫁、姑、小姑?、子育て(子のない家庭)・・・と女性の生活、人生などを「これでよろしくて?」と問いかけ、居直り、世間(体)の中で暮らしている女性が主人公。それを取り巻く女性達。いくら「婦人公論」に連載されていたとはいえ、どうも夫も含め男性陣の希薄なこと。
川上さんも気になったのか、終わりの方では夫婦の子作りへの必死さも描いていますが、どうも地に足がついていなくて、また女性の世界に戻ってしまいますが。
そうそう、「これでよろしくて? 同好会」のメンバーが、日常の人間関係(家族関係、夫婦関係・・・)に思い悩む(立場)に置かされた主人公にかかわってきて、主人公が何とか「これでよろしくて?」という境地になりつつある、そこまでたどり着いたとたんに、「私達、幽霊だったの」と消え去る描写がありましたが、これぞ川上ワールドと思いきや、実はそうではなく、その関係で主人公は勤め出す、という落ちになっています。どうこの趣向は? という感じです。
でも、これだけ日常を描きながら(勿論狂言回しとして異界的人間も登場しますが)、その中に潜んでいる女の「性(さが)」を追求する姿勢には、男性読者として、かえってゾックとするものを・・・、そう、ここまできて、あの「川上ワールド」が、今も厳然として存在することに気づかされのです。「これでよろしくて?」というわけには、簡単にいかないのですが。
あの一種、おどろおどろしい世界が気に入ってもいましたが、「異界が日常性を撃つ」などという作風が。ちょっと最近は人間界に、その日常性に依拠しながら人間界の中での葛藤、心のありようを描くというような作品が多いようで、それはそれで、おもしろいのですね。読者を少し意識しすぎて、エンタテインメントに過ぎるとも言えますが。
この作品。妻、嫁、姑、小姑?、子育て(子のない家庭)・・・と女性の生活、人生などを「これでよろしくて?」と問いかけ、居直り、世間(体)の中で暮らしている女性が主人公。それを取り巻く女性達。いくら「婦人公論」に連載されていたとはいえ、どうも夫も含め男性陣の希薄なこと。
川上さんも気になったのか、終わりの方では夫婦の子作りへの必死さも描いていますが、どうも地に足がついていなくて、また女性の世界に戻ってしまいますが。
そうそう、「これでよろしくて? 同好会」のメンバーが、日常の人間関係(家族関係、夫婦関係・・・)に思い悩む(立場)に置かされた主人公にかかわってきて、主人公が何とか「これでよろしくて?」という境地になりつつある、そこまでたどり着いたとたんに、「私達、幽霊だったの」と消え去る描写がありましたが、これぞ川上ワールドと思いきや、実はそうではなく、その関係で主人公は勤め出す、という落ちになっています。どうこの趣向は? という感じです。
でも、これだけ日常を描きながら(勿論狂言回しとして異界的人間も登場しますが)、その中に潜んでいる女の「性(さが)」を追求する姿勢には、男性読者として、かえってゾックとするものを・・・、そう、ここまできて、あの「川上ワールド」が、今も厳然として存在することに気づかされのです。「これでよろしくて?」というわけには、簡単にいかないのですが。