某日 BSで録画していた 男はつらいよ 第13作 「寅次郎恋やつれ」を観ていたら、マドンナ吉永小百合さんの父親役で「宮口精二」さんが出てきたのに驚いた。
中学生時代、映画館で「七人の侍」を見た時、❝久蔵❞ の決闘の場面で自分の体が硬直したのを覚えていて、宮口さんは今も強く強くその印象が残っている俳優さんだ。
俳優というか役者には その映画や舞台で 与えられた役を「造形」出来る人と、そうではなく俳優としての持ち味のままでやっている人がいる。
映画「七人の侍」で私は本当に❝久蔵❞という浪人が今生きて目の前にいると 感じながらその迫力に打たれていた。
特に腰に二本の刀を束さんだ❝久蔵❞の少し腰を落として疾走する姿はとても美しかった。
この映画の撮影にあたって 監督の黒沢明は侍役の俳優たちに走る練習を何度もさせたという。当時の人は現代人の歩き方でない「難場(なんば)あるき」をしており
特に侍は刀をさしているから農民と同じ走りではないと走り方を指導した。その指導は竹刀ではなく本物の刀を差してその重みを感じさせて走らせたそうだ。
だから三船敏郎が演じた百姓上がりの「菊千代」のバタバタした走りと侍の久蔵の走りは映画の中でも違った。
「男はつらいよ」シリーズを山田洋次監督が作ってくれたおかげで 昭和30年代に最盛期だった日本映画の優れモノの俳優さん、笠智衆さんや
七人の侍のリーダー役を演じた志村喬さんなどもシリーズで顔を見せてくれる。山田監督ありがとう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『七人の侍』は、東宝が1954年(昭和29年)4月26日に封切り公開した時代劇日本映画である。監督は黒澤明。白黒、スタンダード、207分。
Wikipedia こちら。
勘兵衛が、久蔵が、菊千代が、平八が、七郎次が、勝四郎が、五郎兵衛が、走りに走りそしてまた走る。 野球のバットと同等かそれ以上の長さと重さのものを腰に差して走るのだから、訓練なしでは普通に歩くことも出来ない。 おそらく能舞台での能役者の動きに通じるものがある。 柔らかい草鞋を履いて、舗装のないどんな“難場”の地道でも歩くに適した歩き方を言う。 菊千代は百姓上がりの男という設定のせいだろうか、あるいは長刀を肩にかけて走るせいだろうか。 この映画の凄腕の剣客、久蔵役をやった宮口精二という俳優の決闘の場面は鳥肌が立った。今も宮口精二は印象深い。 (2009年02月09日(月)「阿智胡地亭の非日乗」掲載) 引用元。 |