阿智胡地亭のShot日乗

日乗は日記。日々の生活と世間の事象記録や写真や書き物などなんでも。
  1942年生まれが東京都江戸川区から。

生卵かけご飯は日本だけのもの    神戸のインド料理店「Gay Lord ゲイロード」   茶話 17       

2024年02月01日 | エッセイ


 


 毎年、初詣のあとインド料理店に行くことにしているが、今年は出かけようと思った日が寒かったりして行っていなかった。

先日結構暖かい日があって、思い立って昼に「ゲイロード」に出かけた。

震災前に三宮の神戸市役所近くにあった「Gay lord(陽気な殿様)」は、当時ロンドンやパリにもチエーン店があって、

長身のインド人給仕頭が黒服に身を固め、広い店を笑顔で仕切っていた。ボーイも皆インド人で、店の雰囲気は高級レストラン風だった。

その店が震災後中山手通りに移転したのは知っていたが、移転先には行ったことがなかった。

   余談ながら 昭和55年ごろ、ボンベイ(ムンバイ)港湾局の施設部長を日本に呼んで四国の工場や神戸港に案内したことがある。

彼は、ベジタリアンの中でも厳密な方の菜食主義者で、東京のレストランで彼のために特注した焼き飯を、

「この焼き飯の前に肉を使った料理に使われたフライパンが、そのまま使われているようだ。米飯に肉の臭いがするから食べられない」と言ったりして、食事では大汗をかいた。

「ゲイロード」にはさすがにベジタリアンメニューが普通にあって、案内したこちらもも施設部長もホットした。

彼は驚くほど沢山食べた記憶がある。成田到着から何日も、腹を減らしていたのかと、少し気の毒だった。

 一緒に泊まった三宮のホテルの朝食で、私が和定食の白飯に生玉子をかけて食べだしたら目を丸くして驚いて見ていた。

聞くと生まれて始めてこういう食べ方を見たという。

後でなんかで読んだのだが、世界中でも、玉子をこうして食べるのは日本だけらしい。 
玉子の流通の全過程で衛生管理が出来ていないと生食は出来ないのだ。


それにしてもベジタリアンは海外に出るのは大変だなと思った。原理原則なき民である日本人の中でも、阿智胡地亭は、和洋中華印度朝鮮蒙古なんでも、

「うまければどこの料理でもいい」と思ってこれまで各国各地のものを例外なしで食べてきているのだが。



    新しい店は、神戸に多いインドレストランの中でも広い方だった。雰囲気は、前の店に比べると気安い感じの店になっていた。

入ってすぐのところのガラス越しに「タンドウール(タンドリ)」窯が置かれてインド人の料理人が二人いる。

接客は若手の男性1人とインドの民族衣装を着た女性が二人がしていたが、皆日本人だった。

ランチタイムメニューには定食が3種類あったけど、久しぶりのインド料理なので、定食ではなく、メニューからいくつか選ぶことにした。

こちらはまず、ボンベイ出張時に良く飲んだジントニック(インドではいいジンが出来る)を頼んで、料理のチョイスは相方に任せた。

奥の方に中年の男女10人くらいが、何かの集まりの昼食会をしているのと、若い二人連れと若い男一人客にサラリーマン風の男二人の客が居た。

オーダーしている間に隣の席に黒人とスーツをぴしっと決めた若い日本人が座った。

黒人は派手なウインドウブレーカーを着て、日本の食べ物では何が食べられるなどと話しだした。

オリックスの新しい外人選手と球団の通訳かも知れない。

オーダーはミックス・タンドリプレート(チキン、マトン、サカナ、エビ)、野菜のサモサ、チキンマサラカレーとドライカレーに決まり、それにプレーンナンを取ることにした。

食べ始めて暫らくすると、近くの窓側の席に大柄な老年のインド人が一人で来て座り、すぐ追いかけて別の同年輩の白髪の一人が来て握手をした後、向きあって座った。

long time no see・・・と話し出して、娘が18になり、ハイスクールを卒業・・と聞こえて来た。

久しぶりに友達どうしが、この店で落ち合い、一緒に食事をしてお互い近況を話しているのだろうと思った。

インドの言葉ではなく、英語で話をしているところからすると、同じインドでも言葉が違う別々の土地の出身者が、神戸に住み着いて知り合ったのだろう。

料理がおいしかったので、相方にブツブツ言われながら、ジントニックを追加でもう一杯頼んだ。

 どの皿もスパイシイーでおいしかったが、量がたっぷりあったのでドライカレーは少し残した。

一時間半ほどゆっくり居て、店を出た後どうだったと相方に聞きたら、前より料理が日本化していると言う。

どこが?と聞くとグリーンピースを使いすぎと言う。言われてみれば確かにそうだった。

何かの食材をグリーンピースに代用させているのかも知れないが、女の目は男と違う。

味は多少日本化しているかも知れないが、それなりにおいしく食べた。 前は法人客が多かったが、

今は主として日本人の個人客を主な顧客にしているようだから、多少日本化しないとやっていけないのだろう。

彼女は次回のインド料理は、北野町にある「ガンダーラ」の本店に行ってみようと言った。

いきつけだった阪急三宮駅前の「ガンダーラ」の支店は数年前に閉店してしまっていた。

  結局「ゲイロード」は新たなリピーターを作れなかったようだ。  

 2004.02.24記

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01月31日に目に留まったSNS・メディアの記事

2024年02月01日 | SNS・既存メディアからの引用記事

いずれも画像をクリックすると本文全文に飛びます。

 

 

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東日本大震災が起こった年の [ 2011年12月31日(土)の阿智胡地亭の非日乗ブログ ] から

2024年02月01日 | 東日本大震災ブログ
2011年12月31日(土)
 
ぼくたちが明るい兆しが見えてきたと考える理由
 
一部引用・・

2011年が暮れようとしている。

 昨年は、民主党政権の迷走、沖縄米軍基地問題の泥沼化、検察不祥事、尖閣ビデオやウィキリークスに見られる国家や既存メディアの信頼の失墜といった一連の出来事の中に、国や社会の屋台骨の揺らぎが、もはや崩壊寸前まで来ていることを多くの人が感じ取ったのではないか。

 そして2011年、その屋台骨が本当に崩れてしまった。

 東日本大震災と原発震災とその後の政府のあり方を見るにつけ、それ以前から機能不全に陥っていた日本の政治、経済、社会のシステムが、どれだけ無力かつ無能であるかを今も日々思い知らされている。

 しかし、大震災という悲劇は、多くの人に日本がもう終わっていることを気づかせる貴重な機能を果たした。原発事故を受けて、日々行われている新しいエネルギー政策の策定を話しあう有識者会議も、気がつけば守旧派が何とか原発を継続させようと画策する場に成り下がっている。

しかし、この震災を目の当たりにした人々が、こんなことを許すだろうか。今のところマスメディアはこの会議の実態を報じていないので、大きな騒ぎにはなっていない。しかし、これらの会議が答申をあげ、2012年の春から夏にかけて政府は新しいエネルギー政策を構築しなければならない。

その時に、この震災がこれまでのやり方が通用しなくなるきっかけとなったかどうかの真価が、そして本当に痛い目にあったわれわれが、本気で政治や社会との関わり方を変える気があるかどうかが問われるにちがいない。

 今年の年末マル激ライブは、震災と原発事故に揺れた1年を振り返り、この悲劇を奇貨として、来年はbusiness as usualを変えるために今われわれが何をしなければならないかを、神保哲生と宮台真司が議論した。

議論の全容はこちらから動画でどうぞ。
 
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政権交代の成果 褒めるべきことの例
 
政権交代の成果:褒めるべきは褒めないと(その1)

──2年間で医療・福祉の雇用が67万人増えた! こちら

政権交代の成果:褒めるべきは褒めないと(その2)

─-経済的理由による高校中退者が5分の1に減った!こちら
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中国共産党も「中国流記者クラブ」を活用して情報操作
 
鉄道事故、メディアの論評禁止 中国共産党
2011/12/30 21:00 【共同通信】

 【北京共同】中国浙江省の高速鉄道事故で中国政府が28日に発表した事故調査報告や関係者の処分について、共産党中央宣伝部が国内メディアに対し、論評を禁止する指示を出したことが30日分かった。中国のメディア関係者が明らかにした。

 発生当初、国内メディアの積極的な調査報道などが当局の事故対応への批判的な世論を高める結果になった。今回、処分や調査報告をめぐる議論を封じることで、新たな当局批判を抑え、事件の幕引きを図る狙いがあるとみられる。

 関係者によると、指示は28日以降、各メディアに口頭で伝えられた。

(太字は管理人)

☆こうして結局は実態はどこからか洩れるのに、当事者の官僚が自分たちにとって「不都合な真実」を隠しおおせると思う傲慢さは、どこの国の官僚も同じ頭の構造になっているという証明だ。
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2011年マスメディアは世間の動きに対応出来ないことがはっきりした
 
マル激トーク・オン・ディマンド 第557回(2011年12月17日)
やっぱり2011年マスメディアは死んでいた
ゲスト:佐々木俊尚氏(ジャーナリスト)

 東日本大震災とそれに端を発する福島第一原子力発電所事故で、一般市民のマスメディアへの不信が高まった。とくに、原発事故の発生直後、政府や東京電力が発するいい加減な情報を、検証することなく垂れ流したり、御用学者を次々と登場させ、事故の深刻さを過小評価させたことで、それは頂点に達した。

 2009年に「2011年、新聞・テレビ消滅」を著したジャーナリストの佐々木俊尚氏は、大震災と原発事故を契機に、新聞・テレビはマスメディアとしての機能を完全に失ったことが明白になったと言う。かつてマスメディアが担ってきた信頼性や普遍性といった表看板は、今や単なるがせネタに成り下がってしまった。

 未曾有の震災を目の当たりにして、マスメディアからの情報だけでは安心できない市民の多くは、ツイッターなどのソーシャルメディアに補完的な役割を求めた。その意味では、震災以降、既存メディアからインターネットへのシフトがより一層加速されたと言えるだろう。

 しかし、佐々木氏はマスメディア凋落の原因は、単にインターネットという新しいメディアが登場したことではなく、報道の質の低下が自身の機能消失を招いたと見る。

 佐々木氏が「2011年、新聞・テレビ消滅」を著した2009年の時点では、まだマスメディアが発する一次情報に対する人々の信頼はある程度厚く、インターネット上を流れる情報はあくまでマスメディアの二番煎じとして受け止められていた。しかし、その後ソーシャルメディアの普及が進み、今年の東日本大震災でマスメディアから発信される情報だけに依存することは、自分や家族の生命にも関わる問題と成り得ることを多くの人が感じ取った。

この時、これまでマスメディアが独占的に享受してきた情報発信者としての絶対的な地位は、ほぼ完全に失われたと佐々木氏は言う。
 大震災や原発事故がマスメディアの信頼性を損ねた原因の一つとして、災害が広範囲に及んだために、被災の内容が非常に多様で、必要としている情報も多様だったことを佐々木氏は挙げる。情報の画一性を前提とするマスメディアではこのような多様なニーズには応えられず、多くの人が個別のニーズをツイッターなどのソーシャルメディアで補完せざるを得なかった。

 佐々木氏は、戦後の日本は本当の意味での「死活問題」に直面してこなかったため、マスメディアはニュースをエンターテイメント(娯楽)として報道していればよかった。お決まりの勧善懲悪のストーリーに沿って、善悪のはっきりした事柄を扱っていれば、それで受け手側は満足していた。ところが、原発事故のような死活問題に瀕した時、従来の単純な二項対立図式が通用しなくなってしまったのだと、佐々木氏は言う。

 一方、震災でその存在感を一層大きくしたインターネットは、多様な視点や多様なニーズに対応した情報を得る手段としては一定の市民権を得た。しかし、ユーザ自身が自ら情報をプルしなければならないため、ユーザの知識やリテラシー次第で、受け取る情報の質に大きな差が生じるという特性がある。それが一部の人々が特定の問題に情緒的に煽動されるなどの弊害を生んでいることも事実だ。

 いずれにしても2011年がメディアの歴史的な転換点となる可能性が大きい。メディアの現状と次に来るメディア、そしてそうした新しいメディア環境の下で、われわれはどのようにメディアと付き合っていくべきかなどについて、佐々木氏と議論した。

議論の動画はこちらから
 
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日本経済新聞は原発再稼動に向けて「原子力ムラ情報操作部の旗幟鮮明」
 
日経の事故調批判は原発再稼働進まぬ苛立ち

一部引用・・

福島第一原発の政府事故調査委員会は、そのあたりをよく心得ているらしく、まだまだ調査、分析不十分な部分、委員どうし審議を尽くしていない課題にはふれないまま、ひとまず予定されていたスケジュール通り、中間段階での報告書を作成した。

予断をもって報告書の体裁を見ばえよく繕うより、情報として十分な価値を有するとは思えないものは盛り込まないほうが、報告書としての価値はむしろ高いはずだ。

ところが、日経新聞は、そうは受け取らなかった。この報告書に対し、27日の朝刊一面解説記事と社説で敵意むき出しの批判を連発し、比較的素直に報告内容を受け取った他紙との違いを見せつけた。

一面に掲載された滝順一編集委員の記事は、いきなり「中間報告は目的にかなう内容とはいえない」と断じた。その理由はこうだ。

「事故の検証からくみ取った教訓を原発の安全な運転や安全規制の仕組みづくりに生かす必要がある。踏み込み不足の報告では国民の納得が得られず、原子力への信頼回復につながらない」

つまり、財界の機関紙色をいっそう強める日経新聞としては、脱原発という選択肢はハナからあり得ず、「原子力への信頼回復」につながる報告書が必要だと主張しているのである。

全文はこちら
 
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アメリカの中間報告書報道
 
ニューヨーク・タイムズの記事はこちら

概要・・

〔フクシマ・NEWS〕 保安院の検査官 現場を放棄/現場の運転員 訓練受けずハッキリしたマニュアルもなし 悲劇的な失敗に終わった日本の当局の事故対応 ニューヨーク・タイムズが「中間報告」を報道 「責任を追及しない」事故調を批判

 「保安院の検査官たちの現場放棄から、放射能漏れ公表の遅れまで――日本の当局の対応は悲劇的な失敗に終わった……」
 From inspectors’ abandoning of the Fukushima Daiichi nuclear power plant as it succumbed to disaster to a delay in disclosing radiation leaks, Japan’s response to the nuclear accident caused by the March tsunami fell tragically short, a government-appointed investigative panel said on Monday.

 ニューヨーク・タイムズの政府事故調・中間報告に関する記事は、日本人としていたたまれなくなるような、こんな厳しい指摘で始まっていた。

 現場に踏みとどまって、官邸とフクイチ現場の連絡・調整、あるいは現場に対する支援・アドバイスをするのが、政府の検査院の役目のはずだが、「素早く逃げ出した( quickly left the site)」というのだから、職場放棄・職務放棄とみなされても仕方ない。

 政府の命令で現場に戻っても、何の手助けにならなかった――と、タイムズ紙は書いている。
 Officials of Japan’s nuclear regulator present at the plant during the quake quickly left the site, and when ordered to return by the government, they proved of little help to workers racing to restore power and find water to cool temperatures at the plant, the report said.

 タイムズ紙はまた、現場の運転員たちが多重事故に対応する訓練を受けておらず、ハッキリ分かるマニュアルも用意されていなかったことを問題にしている。
 Also, the workers left at Fukushima Daiichi had not been trained to handle multiple failures, and lacked a clear manual to follow, the report said. A communications breakdown meant that workers at the plant had no clear sense of what was happening.

(★大沼注 米国では模擬炉で訓練を受けている)

 これだけで政府・東電責任者の「重過失」になるはず(★これは大沼の判断)だが、タイムズ紙もこの点に納得できないようで、事故調が「今回の事故の最終的な責任がどこにあるのか、あいまいなままにしている」と批判している。
 But the interim report seems to leave ultimate responsibility for the disaster ambiguous.

 要は政府も東電も事故調も、やることなすこと、いい加減なわけだ(★大沼 同)。

 畑山委員長は(記者会見)で、こう言ったという。

 「委員会の目的は責任をとることを要求することではない」
 “The aim of this panel is not to demand responsibility,” Mr. Hatamura said.

引用元はこちら
 
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ますます正当性を失っていく有識者会議
 
ニュース・コメンタリー (2011年12月24日)
エネルギー関連有識者会議続報
ますます正当性を失っていく有識者会議とその後に来るもの 

日本のエネルギー政策の見直し作業が進む政府の有識者会議の正当性に疑問が投げかけられる中、今週は原子力委員会の下で原子力大綱の見直しを行ってきた有識者委員会で、またもやこれまでの議論内容を無視したかのような「論点整理案」が事務局から提出され、一部委員から不満が噴出した。

 問題があったのは、日本の原子力政策を実際に実施する責任を負う原子力委員会内に設けられた原子力政策大綱策定会議。この会議では反原発の立場を明確に表明している金子勝慶応大学教授らを新たに委員に加え、この10月から国の原子力政策の基本方針を規定する原子力大綱の見直し作業を進めてきた。

 見直し作業の実質4回目の会合となる12月22日の会合で事務局から「論点整理案」が提出されたが、これに対し「ここまでの議論を正確に反映していない」「原発の維持継続が前提となっている」などの厳しい批判が浴びせられた。

 それにしても、である。あれだけの大惨事となった、そして今もその大惨事が続いている福島原発事故を受けて、今後の原子力政策が根本から見直されるはずの重要な会議で、またしても現状維持派の策略とも受け取れる議事運営が行われ、しかもそのことがマスメディアや国会などでほとんど問題にならないばかりか、取り上げられることすらないというこの状態は一体何なのだろうか。

 そもそも一連の有識者会議には正当性の面で根本的な問題がある。それは会議の運営がこれまで原発を推進してきた経産省や原子力委員会といった、本来はこうした会議で被告の立場にあるべき機関によって会議が運営され、会議の委員の選任もこうした役所が行なっているという問題に他ならない。これは厳しい言い方をすれば、刑事裁判で被告人が裁判官をやっているようなものだ。

実際の裁判では裁判官が被告人の親類や恋人などといった公平で中立な判断を妨げるような特別な関係が認められる場合、その裁判官は裁判から外される。まして裁判官と被告人が同一人物というのは何をかいわんやである。

 原発やこれまでのエネルギー政策のあり方に疑問を持つ有識者が少数派とは言え会議のメンバーに入ったことで、一縷の望みを託されている有識者会議だったが、このままではその正当性を得られないまま、意味のない答申や提言を出して終わるだけになる可能性が大きくなってきている。早い話が、このような不公正な議事運営を行った結果、仮に現状維持派の思惑通りの答申が出されたとしても、そのような答申には何の正当性も認められないだろう。

 先週の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会に続き、またもや議事運営のあり方で揉めているエネルギー関連有識者会議の問題点を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

議論はこちらから動画でどうぞ。
 
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「法は命を守ってくれない」 長崎2女性刺殺の被害家族 
 
asahi.com
⇒ 『 「私が容疑者を殺しておけばよかった」。長崎県西海市西彼町(さいかいしせいひちょう)で起きた2女性刺殺事件で、母と妻を殺された山下誠さん(58)が27日、胸の内を文書で明かした。容疑者による三女への暴力や脅迫メールを警察に相談していたのに事件を防げなかったことに、「今の法律は私たち一般市民の命を守ってくれない」と訴えた。

 長崎県内の報道機関12社が加盟する長崎県警記者クラブが出した9項目の質問に、代理人弁護士を通じて文書で回答した。

 文書によると、山下さんは10月以降、長崎、千葉、三重の3県警に、殺人容疑などで逮捕された筒井郷太容疑者(27)の三女へのストーカー被害を相談していたという。山下さんは「なぜ被害届を受理してもらうまで、時間や費用(旅費・交通費)がかかるのか」と、事件を防げなかった法律の不備や警察への不信をにじませる。』

容疑者による三女への暴力や脅迫メールを警察に相談していたのに事件を防げなかったことに、「今の法律は私たち一般市民の命を守ってくれない」と訴えた。

現在の警察の態勢では、事件が起こった「後」については、機動捜査隊による初動が行われるなど、かなり対応力がありますが、事件が起きる「前」について、所轄警察署でもたもたした対応をしている間に、取り返しがつかない深刻な事態に発展する、ということが繰り返されていて、態勢がかなり不十分ではないかと思います。以前に問題になった桶川ストーカー殺人事件も、そのパターンで、家族間トラブル、児童虐待等々、事件が起きる前に警察が適切に動けるかどうかで重大な事態に発展することを防げるかどうかが決まるケースは多いものです。

所轄警察署には、種々雑多な相談が持ち込まれ、対応する警察官のスキルもばらばらですから、多数の案件の中で、早急、強力に対応すべきものが埋没してしまい、取り返しがつかないことになってしまう恐れがあります。

この種の案件について知識、経験のある警察官からなるチームを、都道府県警察本部で、生活安全部長直轄で置いておき、各警察署から、適宜、この種案件に関する情報を収集し、必要に応じ支援しつつ、重大な事態に発展することを防止する、ということをやらないと、同様の悲劇が今後も繰り返されてしまうと思います。

こういった失態が繰り返されることで、国民の警察に対する信頼が失墜すれば、刑事事件の捜査にも協力が得られなくなり、事件解決も困難になるという「負のスパイラル」に陥りかねず、早急な対応が必要でしょう。

引用元はこちら
 
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20111228 低線量被ばく 揺らぐ国際基準
 
 NHK「追跡真相ファイル」より。 “生涯100ミリシーベルトとされる被ばくの基準で、本当に健康への影響はないのか?” 福島をはじめ、全国の人々が現実に直面している放射能の脅威。 国は「直ちに体への影響はない」と繰り返すばかりだ。 その拠り所としているのが、ICRP(=国際放射線防護委員会)の勧告。
広島・長崎の被爆者の調査データをベースに作られ、事実上の国際的な安全基準となっている。 しかし関係者に取材を進めると、1980年代後半、ICRPが「政治的な判断」で、被ばくでガンになるリスクを実際の半分に減らしていた事実が浮かびあがってきた。 当時ICRPには、原子力産業やそれを監督する各国の政府機関から、強い反発が寄せられていたのだ。 そしていま、世界各地で低線量被ばくの脅威を物語る、新たな報告や研究が相次いでいる。 アメリカでは原発から流れ出た微量の放射性トリチウムが地下水を汚染し、周辺地域でガンが急増。 25年前のチェルノブイリ原発事故で、大量の放射性セシウムが降り注いだスウェーデンでは、ICRP基準を大きく上回るガンのリスクが報告されている。 いま、誰もが不安に感じている「低線量被ばく」による健康被害。 国際基準をつくるICRPの知られざる実態を追跡する。 追跡サポーター室井佑月さん。

20111228 低線量被ばく 揺らぐ国際基準 投稿者 PMG5
 
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