安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

武満徹の曲を聴いています。

2016-08-01 19:59:43 | クラシック

作曲家の武満 徹(たけみつ とおる、1930年10月8日~1996年2月20日)が亡くなって今年で20年となります。10年ほど前に、たまたまテレビで、彼の作曲した曲を聴いて関心を持ち、CDを購入して彼の曲を少しですが聴いていました。

入門的なアルバムしか聴いていませんが、武満作品は、ジャズファンに親しみやすい面があるように思います。特に、モードやフリーの演奏に慣れていると、違和感があまりないという気がします。市立図書館で『武満徹 自らを語る』という本も借りてきましたが、作曲家本人が作品や生い立ちについて語っていて、ジャズとのかかわりもでてきて、興味深く読みました。

最近、聴いたCDの内容と感想は次のとおりですが、今年はタワーレコードから、下記に掲げた企画盤CDが発売され、僕も購入しました。

   

「弦楽のためのレクイエム」、「ノヴェンバ―・ステップス」、「カトレーン」、「鳥は星形の庭に降りる」、「そして、それが風であることを知った」、「エア」など。演奏は、小澤征爾(指揮)、オーレル・ニコレ(fl)、アンサンブル・タッシ、サイトウ・キネン・オーケストラ、ボストン交響楽団など。(DECCA)

「武満徹の軌跡」CD2枚組です。武満徹の代表作を優れた演奏で聴くことができます。年代を追って続けて聴いていくと、無調や実験的な音楽から、次第に調性があるようなものになっていったという感じがします。「ノヴェンバー・ステップス」は、とにかく刺激的で面白いです。

 

   

「鳥は星形の庭に降りる」、「精霊の庭」、「ソリチュード・ソノール」、「3つの映画音楽」など。演奏は、マリン・オールソップ指揮ボーンマス交響楽団。(NAXOS)

オーケストラによるたいへん繊細なハーモニーを楽しむことができます。「精霊の庭」や「鳥は星形の庭に降りる」もいいのですが、親しみやすいのは、3つの映画音楽で、「黒い雨より葬送の音楽」や「他人の顔よりワルツ」など、色彩感にあふれた、弦の響きを楽しめます。

 

     

「そして、それが風であることを知った」、「雨の樹」、「海へ」、「ブライス」、「巡り-イサム・ノグチの追憶に」、「ヴォイス」、「エア」、「雨の呪文」演奏は、トロント・ニュー・ミュージック・アンサンブル、ロバート・エイトケン(fl)です。(NAXOS)

「雨の樹」以外はフルートを中心とする室内楽です。フルートを吹くエイトケンをはじめ、武満本人から直接指導を受けたカナダの奏者たちの演奏。フルートやハープの音色の美しさや浮遊感が際立っている作品が多いです。

 

   

サッリネン:フルート協奏曲「アルルカン」/武満徹:海へII/ペンデレツキ: フルート協奏曲。演奏は、ペトリ・アランコ(fl)、オッコ・カム指揮タピオラ・シンフォニエッタ。(NAXOS)

武満の作品は、印象派的な美しさがあり、他の2曲も含めて面白く聴けます。演奏は、日本でもよく知られているオッコ・カムなどフィンランドの演奏者によるものですが、武満作品に北欧は、なんとなく似合っている感じがします。

 

   

「デイ・シグナル」、「夢の引用」、「ハウ・スロー・ザ・ウインド」、「トゥイル・バイ・トワイライト」、「群島S」、「夢窓」、「ナイト・シグナル」。演奏は、オリヴァー・ナッセン指揮ロンドン・シンフォニエッタ。(ドイツ・グラモフォン)

ロンドン・シンフォニエッタから依頼されて、武満徹が書いた曲を演奏しています。室内管弦楽団という編成は、いろいろな音の響きを得ることができるので、曲の内容は多彩です。「夢の引用」では、ドビュッシーの「海」から引用されています。クラシックでは珍しい手法だと思いますが、ドビュッシーの海が好きなので、特に印象に残りました。

   

長野市立図書館から借りてきました。聞き手は安芸光男さん。青土社刊。