8月22日(月)に開催された、セイジ・オザワ松本フェスティヴァルのオーケストラコンサートに行ってきました。チケットはソールドアウトになっていて、フェスティヴァルの中でも、このコンサートの人気は高いようです。
指揮:ファビオ・ルイージ(オネゲル)
小澤 征爾(ベートーヴェン)
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
オネゲル:交響曲 第3番「典礼風」 H.186
ベートーヴェン:交響曲 第7番イ長調 Op.92
(オネゲル:交響曲 第3番「典礼風」 H.186)
ファビオ・ルイージ指揮によるオネゲルの交響曲第3番「典礼風」は、素晴らしい名演だったに違いありません。参考のためにジャン・フルネ指揮オランダ放送フィルハーモニーのCDを買って聴いてみたのですが、それほど面白い曲だとは思えませんでした。しかし、当夜の演奏は、全く異なりました。弦の美しいアンサンブル、木管楽器の柔らかで羽の上を歩いているような響き、余分なためを作るといったことのないスポーティーな運びの指揮と、これぞ管弦楽といった演奏を聴くことができました。
前にもサイトウ・キネン・オーケストラは聴いたことがありますが、これほど精緻で弦のアンサンブルや音色がきれいにそろうオーケストラはそんなにはないのかもしれません。そういった意味でファビオ・ルイージの選択する曲目が、オネゲルとかマーラーといった和音やリズムが複雑な近現代の曲だというのは、高い技量をもった人の集まりであるサイトウ・キネン・オーケストラに合っている気がしました。
第2楽章は文字通り天国的な響きが聴こえ、第3楽章は、ダイナミックさも加わり、チェロの見事なソロも聴かれ、曲の良さが表れていました。ファビオ・ルイージとサイトウ・キネンの組み合わせは、是非とも来年もお願いしたいものです。仄聞するところによると、招く指揮者の選択には、かなりオーケストラの団員の意向が反映されているようで、ルイージは各奏者から高い支持を得ているようです。
(ベートーヴェン:交響曲 第7番イ長調 Op.92)
小澤征爾さんの指揮によるベートーヴェンの第7番は、第4楽章あたりは、力感にあふれ躍動していて、最終的にはなかなかよかった演奏でした。第2楽章あたりでは、テンポも遅く、緊張感がそれほど感じられず、僕自身退屈してしまった部分がありました。もともと、ベートーヴェンの第7番は、好きな曲ではないので、そんな感じ方をしたのかもしれません。
小澤さんは椅子に腰かけて指揮することが多かったのですが、重要な箇所では立ち上がって、指示を出していました。オーケストラは一体となって、小澤さんに応えようとしていたと思います。無理をあまりせずに来年も是非、松本に戻ってこの素晴らしいオーケストラを指揮していただきたいものです。