ジャズ批評誌2019年7月号の特集は、ブルーノート総選挙というもので、同レーベルのアルバムについて優れている順に10作を挙げてもらう識者アンケートを実施し、集計結果をまとめています。中には最近の録音を挙げる方もいて、ジャズというジャンルの多様性やボーダーレス化が垣間見えて興味を覚えました。ジャンルに囚われないサックス奏者を。
WAYNE SHORTER (ウェイン・ショーター)
ADAM'S APPLE (BLUE NOTE 1966年録音)
ウェイン・ショーター(ts,1933年生)は、1964年に加入したマイルス・デイヴィスのグループで注目を集め、在団中にブルーノートレーベルでアルバムを作っています。マイルスバンド脱退後、70年にはウェザー・リポートを結成しフュージョンへ舵を切りますが、70年代半ばにはブラジル音楽に接近するなど、様々な音楽を手がけ、2000年代も活躍しています。
メンバーは、ウェイン・ショーター(ts)、ハービー・ハンコック(p)、レジ―・ワークマン(b)、ジョー・チェンバース(ds)。ショーターのブルーノート作品の3枚目までは、ドラマーにエルヴィン・ジョーンズを起用していたので、ジョン・コルトレーンのグループとイメージが被るところがあったのですが、ここではジョー・チェンバースが参加して、フレッシュ感があります。
曲は、ウェイン・ショーターのオリジナルが「Adam's Apple」、「El Gaucho」、「Footprints」、「Teru」、「Chief Crazy Horse」の5曲にジミー・ロウルズ作曲「502 Blues」の全6曲。オリジナル中最も有名なのは「Footprints」ですが、それぞれ印象に残る佳曲ばかりで、ショーターの作曲能力の高さ、センスの良さが現れています。
ウェイン・ショーター(ts)が自作を素材に存分に吹いたアルバム。「Adam's Apple」はジャズロックで、ボッサ系リズムの「El Gaucho」と、流行を反映してもいるアルバムですが、ソロに入ると彼独自の世界で、深い音色で長いフレーズを入れながらの吹奏に聴き惚れてしまいます。「Adam's Apple」、「Footprints」、バラードの「Teru」とショーターが素晴らしく、ハンコック(p)も「502 Blues」や「Footprints」で好演しています。その昔、新宿西口のトガワで購入したレコード(Libertyの音符ラベル)で聴いています。
【ジャズ批評2019年7月号】
表紙。創立80周年記念だそうです。
結果発表です。ウェイン・ショーターのものは、「Speak No Evil」が17位に入っています。
定番以外のものが挙がっているものの一例。ホレス・シルヴァーの「Silver 'N Strings Play The Music Of The Spheres」が5番目にあります。全体に1970~80年代のものを評価されているようです。