今年(2019年)は、グスタフ・クリムト(1862~1918年)の没後100年を記念して、日本では4月から「クリムト展 ウィーンと日本1900」などが開催され、多くの美術ファンが訪れているようです。関心はありますが、開催地が遠く出かけることはできないので、クリムトの絵が登場するドキュメンタリー映画を見に行ってきました。
映画のパンフレットの表紙
19世紀末のオーストリア・ウィーンを代表する画家グスタフ・クリムトとエゴン・シーレの没後100年にあわせて製作されたドキュメンタリーです。華やかな装飾性と世紀末的な官能性をあわせもつクリムトの作品「接吻」、「ユディト」、「ベートーヴェン・フリーズ」やエゴン・シーレの「死と乙女」などの絵画が出てきます。
クリムト「ベートーヴェン・フリーズ(一部)」
(感 想)
クリムト、シーレ、精神分析のジークムント・フロイトや関連する女性が登場人物ですが、時代的に人物が動く画像がほとんどないこともあり、コメンテーターが解説する場面が多くなっています。その中では、世紀末ウィーンの美術界や時代背景、精神分析などについて語られ、絵画そのものについての言及はほとんどありません。
したがって、登場人物や絵画について既に十分な知識のある方には面白いと思われますが、予備知識がほどんどない僕には難しい内容でした。なお、購入したパンフレットに千足伸行さんが「世紀末の鬼才:クリムトとシーレ」というコラムを執筆していますが、簡潔にわかりやすくまとまっていて参考になりました。
クリムトの絵画の豪華さや官能性は、音で現すと、シェーンベルクの「清められた夜」やマーラーの交響曲が連想され、ウィーン世紀末における芸術の同時代性というのはあるに違いないという感想をあらためて抱きました。
【シェーンベルク「浄められた夜」のCD】
ピエール・ブーレーズ指揮ニューヨーク・フィルハーモニックの演奏。ベルクの「抒情組曲」とヴァイオリン協奏曲「ある天使の想い出に」も収録されていて、たまに聴いているアルバムです。
(参 考)
【クリムト展ホームページ】