安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

池波正太郎著「一年の風景」(朝日文庫新装版)を読みました。

2022-01-10 19:30:00 | 読書

池波正太郎(1923~1990年)は大好きな作家です。「鬼平犯科帳」など小説も面白いのですが、内容の多彩さと練達の文章で綴るエッセイもよく、「一年の風景」の新装版が発売されたので購入して読みました。

   

表紙。2021年12月30日発行です。2007年12月に刊行された文庫の新装版ですが、もともとは、1982年9月に刊行された単行本です。

   

帯の裏にある本書の紹介

(著者略歴) 

   

(目 次)

   

(感 想)

池波正太郎のエッセイは、食のことがよく登場するので、それに力点をおいて紹介や解説が書かれることが多いですが、それも間違いではないけれど、人との交流の話や旅情を描いた文章に僕は心打たれました。

著者はフランス旅行に出かけて、その土地の酒場やホテルでいろいろな人と出会い、交流していますが、そのことについて書いた「セトル・ジャンの酒場」や「こころとこころ」は、暖かな気持ちになる一編でした。

「植草甚一さんを悼む」や「木曽路小旅行」は、馴染みのある内容で、頷きながら読み、著者が猫好きであることを知る「人間以外の家族」はユーモアも感じられました。『かたちにあらわさなくては心も通じないのである。』(203ページ)とチップについて記していますが、全てに通じる教えだと改めて心に留めました。