小説「蜂蜜と遠雷」の著者、恩田陸の「祝祭と予感」が、文庫化されたので、購入しました。
表紙
(著者略歴)
(帯裏にある本書の紹介)
(感 想)
ピアノコンクールを扱った長編小説で映画化もされた「蜂蜜と遠雷」の登場人物のエピソードを描いていますが、「蜂蜜と遠雷」を読んだことがなくても、短編小説集として面白く読めます。
とりわけ、「袈裟と鞦韆(けさとぶらんこ)」が、強く印象に残ります。「蜂蜜と遠雷」で、コンクールの予選の課題曲の作曲家として登場する菱沼が、亡くなってしまった教え子のお葬式に出かける話ですが、宮沢賢治の詩も絡ませ、情感が籠もっていて、しみじみとしました。
文庫版には、「響きと灯り」と題して、著者の音楽エッセイが収録されています。ピアノの習い始めは松本市で才能教育に通ったとか、大学時代はアルトサックスを吹いてジャズをやっていたなど、著者自身の音楽体験も出てきて興味深い。
【恩田陸音楽エッセイ集「響きと灯り」に登場するアルバムを聴いてみました。】
バルトーク:管弦楽のための協奏曲。フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団。『初めて聴いた時の衝撃と感動にいま一度立ち戻りたい時の曲』3曲のうちの1曲。『シカゴ交響楽団は、音があり得ない完成度で溶け合う、異次元レベルの演奏です。』と著者は記しています。SACDで聴きましたが、確かにすごい音です。
バルトーク:ピアノ協奏曲第3番。キース・ジャレット(ピアノ)、秋山和慶指揮新日本フィルハーモニー交響楽団。『これがとても素晴らしく、実に私好みの演奏だったのである。かくて風間塵にバルトークの3番を弾かせる覚悟が決まった。』と「『蜂蜜と遠雷』登場曲への想い」で著者は記しています。
ライナージャケットにあるキース・ジャレットの写真。
(参考)
【蜜蜂と遠雷】バルトーク: ピアノ協奏曲第3番:第3楽章[ナクソス・クラシック・キュレーション #特別編:映画「蜜蜂と遠雷」/風間塵が本選で演奏] - YouTube