安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

恩田陸著「祝祭と予感」(幻冬舎文庫)を読みました。収録されたエッセイを読みながらクラシックを聴きました。

2022-06-10 19:30:00 | 読書

小説「蜂蜜と遠雷」の著者、恩田陸の「祝祭と予感」が、文庫化されたので、購入しました。

   

表紙

(著者略歴)

   

(帯裏にある本書の紹介)

   

(感 想)

ピアノコンクールを扱った長編小説で映画化もされた「蜂蜜と遠雷」の登場人物のエピソードを描いていますが、「蜂蜜と遠雷」を読んだことがなくても、短編小説集として面白く読めます。

とりわけ、「袈裟と鞦韆(けさとぶらんこ)」が、強く印象に残ります。「蜂蜜と遠雷」で、コンクールの予選の課題曲の作曲家として登場する菱沼が、亡くなってしまった教え子のお葬式に出かける話ですが、宮沢賢治の詩も絡ませ、情感が籠もっていて、しみじみとしました。

文庫版には、「響きと灯り」と題して、著者の音楽エッセイが収録されています。ピアノの習い始めは松本市で才能教育に通ったとか、大学時代はアルトサックスを吹いてジャズをやっていたなど、著者自身の音楽体験も出てきて興味深い。

【恩田陸音楽エッセイ集「響きと灯り」に登場するアルバムを聴いてみました。】

   

バルトーク:管弦楽のための協奏曲。フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団。『初めて聴いた時の衝撃と感動にいま一度立ち戻りたい時の曲』3曲のうちの1曲。『シカゴ交響楽団は、音があり得ない完成度で溶け合う、異次元レベルの演奏です。』と著者は記しています。SACDで聴きましたが、確かにすごい音です。

   

バルトーク:ピアノ協奏曲第3番。キース・ジャレット(ピアノ)、秋山和慶指揮新日本フィルハーモニー交響楽団。『これがとても素晴らしく、実に私好みの演奏だったのである。かくて風間塵にバルトークの3番を弾かせる覚悟が決まった。』と「『蜂蜜と遠雷』登場曲への想い」で著者は記しています。

ライナージャケットにあるキース・ジャレットの写真。

(参考)

【蜜蜂と遠雷】バルトーク: ピアノ協奏曲第3番:第3楽章[ナクソス・クラシック・キュレーション #特別編:映画「蜜蜂と遠雷」/風間塵が本選で演奏] - YouTube