安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

「マルタ・アルゲリッチ&フレンズ イヴリー・ギトリスへのオマージュ」演奏会(11月12日 高崎芸術劇場)

2022-11-14 19:30:00 | クラシック演奏会

「マルタ・アルゲリッチ&フレンズ イヴリー・ギトリスへのオマージュ」演奏会が11月12日(土)に高崎芸術劇場であったので、聴きにいってきました。

      

チラシの表

(出 演)
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
海老彰子(ピアノ) 
辻彩奈(ヴァイオリン)
村田夏帆(ヴァイオリン)
カルテット・アマービレ(弦楽四重奏)

出演者のプロフィールについては下記をご覧ください。

(曲 目)
モーツァルト:4手のためのピアノ・ソナタ ニ長調K.381 (アルゲリッチ&海老彰子)
フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 op.13   (村田夏帆&海老彰子)
フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調         (辻彩奈&アルゲリッチ)

《休憩》
シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44       (アルゲリッチ&カルテット・アマービレ)

(感 想)

マルタ・アルゲリッチ(1941年、アルゼンチン生まれ)は、実際に聴いたことがなく、聴くのは難しいと思っていました。それなので、姿を見ただけで感激しましたが、演奏の方も、最弱音から最強音まで明晰で美しい音色に加え、リズムも素晴らしくて、惹きつけられっぱなしでした。

村田夏帆と海老彰子の「フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ」では、村田さんが、優美で叙情を感じさせ、海老さんのピアノも端正で柔らかく、フォーレに相応しいものだと思いました。

辻彩奈とアルゲリッチの「フランク:ヴァイオリン・ソナタ」は、情熱的で、特に第二楽章や終楽章で、丁々発止のやりとりをする二人の演奏が圧巻でした。辻さんは、今後も楽しみで、機会があればまた聴きたい。

アルゲリッチとカルテット・アマービレの「シューマン:ピアノ五重奏曲」は、アルゲリッチ主導の演奏がよく歌い、楽しめました。終演は、予定を30分超過した午後6時30分でしたが、何度も挨拶に登場し、疲れも見せないアルゲリッチは、すごい。

(出演者プロフィール)

■マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)Marta Argerich, piano

アルゼンチンのブエノスアイレス出身。1955年に奨学金を得てヨーロッパに渡り、ロンドン、ウィーン、スイスでザイドルホーファー、グルダ、マガロフらに師事。1957年のジュネーヴ国際コンクール、そして65年にはショパン国際コンクールで優勝し、以来世界最高のピアニストの一人として旺盛な活動を行っている。彼女の活気あふれる個性はもちろん、レパートリーは幅広く、超一流のオーケストラ、指揮者、音楽祭から頻繁に招かれている。様々な名手たちとの室内楽にも力を入れ、それを楽しんでいる。1988年から別府アルゲリッチ音楽祭の総監督を務め、2002年からのルガーノでのフェスティバルを経て、18年からはハンブルクでアルゲリッチ・フェスティバルを開催、親しいソリストたちと出演を続けている。2015年から広島響の「平和音楽大使」に就任。フランスの芸術文化勲章オフィシエや、日本の旭日中綬章など、受賞や受勲も多い。


■海老彰子(ピアノ)Akiko Ebi, Piano

パリ音楽院を首席で卒業。ロン=ティボー国際コンクール第2位、ショパン国際コンクール上位入賞などを果たしたのち、幅広いレパートリーをもってグローバルに活躍している。国内の主要楽団はもとより、フランス放送フィルやワルシャワ国立響など世界各地のオーケストラと共演し、シャンゼリゼ劇場やウィグモアホールなど主要ホールでも演奏、アルゲリッチとのデュオコンサートも各地で好評を得た。日本ショパン協会会長。

■辻 彩奈(ヴァイオリン)Ayana Tsuji, Violin

1997年岐阜県生まれ。2016年モントリオール国際コンクール第1位。国内の主要オーケストラはもとより、モントリオール響やスイス・ロマンド管などと共演、6月にはアルゲリッチと共演した。その艶やかな音色と強靭で奥深い表現によって高い評価を得ている。コロナ禍にあって国内での代役で幅広く活躍したことは、レパートリーの拡充や経験を深く積むことにつながった。使用楽器はNPO法人イエローエンジェルより貸与のJoannes Baptista Guadagnini 1748。

辻 彩奈ホームページ:ヴァイオリニスト | 辻彩奈オフィシャルサイト | Ayana Tsuji

■村田 夏帆(ヴァイオリン)Natsuho Murata, Violin

2007年生まれ。川又くみこ、原田幸一郎、ザハール・ブロン、神尾真由子の各氏に師事。11歳で東京響と共演し、ソリストとしてデビューを果たした。15歳にして国内外の多くのコンサートに優勝している。モントリオール響やモスクワ・ヴィルトゥオーゾと共演し、2019年にはAADGT25周年記念コンサートに招待され、カーネギーホールで演奏。また同年にはサンクトペテルブルク響とチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を録音した。

■カルテット・アマービレ(弦楽四重奏団)Quartet Amabile, String Quartet

2015年に桐朋学園大学の4人によって結成。国内外の多くのコンクールで優勝、入賞を果たしたち、2016年にミュンヘン国際コンクールで第3位、19年にはニューヨークのYCA国際オーディションで第1位となった。アルゲリッチ、ダン・タイ・ソンらとも共演して高い評価を得たほか、20年から白寿ホール”BRAHMS Plus”シリーズ、21年から王子ホール”ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会”シリーズを始動するなど、今後の活躍が期待されている。

 篠原悠那(ヴァイオリン) Yuna Shinohara, Violin
 北田千尋(ヴァイオリン) Chihiro Kitada, Violin
 中恵菜(ヴィオラ) Meguna Naka, Viola
 笹沼樹(チェロ) Tatsuki Sasanuma, Cello

【アルゲリッチからのメッセージ】

親愛なる皆様

私は今年の11月に来日し、再びイヴリー・ギトリスの100歳記念コンサートに出演できることをうれしく思います。

イヴリー・ギトリスは私の人生に特別な人で、彼は私に無数のインスピレーションを与えてくれました。

Remenbering Ivry Gitlis のコンサートを開催し、ギトリスと親交のあった海老彰子および優秀な若い音楽家達(村田夏帆、辻彩奈、カルテット・アマービレ)とこのインスピレーションを分かち合えるのは大いなる喜びです。

ギトリスの人生を扱った映像は沢山ありますが、NHKが6月に収録した「イヴリー・ギトリスへのオマージュ」コンサートに加えて私は彼の100歳記念ドキュメンタリーが素晴らしいと思います。ぜひご覧ください。

ギトリス氏の最後の来日は2017年5月で、辻彩奈やカルテット・アマービレがギトリス氏に出会った別府アルゲリッチ音楽祭のあとに彼は高崎と東京で弾きました。それが日本での最後のコンサートとなったのです。その二つの都市でギトリスを想い出すコンサートをできるのは光栄に思います。

マルタ・アルゲリッチ

【あらかじめ聴いたCD】

   

マルタ・アルゲリッチ「シューマン室内楽リサイタル」(2枚組CD、1994年ライブ録音)。
曲目は、シューマン「ピアノ五重奏曲」ほか。優れた演奏によりシューマンの室内楽がたくさん聴けるので、重宝なアルバムです。

【帰宅後に聴いたCD】

   

マルタ・アルゲリッチ「リスト:ピアノ・ソナタロ短調、シューマン:ピアノ・ソナタト短調」(1971年録音)。
本日の演奏会が良くて、アルゲリッチの音を聞きたくなり、帰宅後にこのアルバムを取り出しました。とりわけ、リストのピアノソナタは、名演として有名です。