ピアニストで文筆家の青柳いづみこさんの書いた「ショパンコンクール見聞録」が面白そうだったので、書店で購入しました。
表紙
(本書の紹介)
(おおまかな目次)
1 「リアル・ショパン」を求めて 第一回ショパン国際ピリオド楽器コンクール
2 二人のサムライ 反田恭平と川口成人の「傾向と対策」
3 審査員をも屈服させた天然ガルガルと哲学者ガジェヴ
4 ダン・タイ・ソン・チルドレン
5 小林愛美のピアニッシモと西陣織のドレス
6 分断される審査員たち
7 天は二物を与えたまいし 進藤実優、沢田蒼梧、角野隼斗
8 プレッシャーと戦ったポーランド勢
9 動画配信の落とし穴 ネット時代の新たな問題点
10 ふたたび「リアル・ショパン」
(感想など)
昨年開催された第18回ショパンコンクールは、演奏が世界にリアルタイムで動画配信されるとともに、日本人二人が入賞し、日本でも関心を集めました。これは、青柳いづみこさんが、コンクールのレポートと考察を行ったもので、かなり面白く読みました。
『楽譜に忠実』で端正な演奏スタイルを良しとするか、『より印象的で活発な音楽を評価する』か、という点を軸に意見が分かれ、審査に時間を要したのも今回の特徴だそうです。その点にも関連し、ショパン生存中に使われたピアノで競われた第1章の「ピリオド楽器コンクール」も興味深かった。
著者は「出場者たちは、レヴェルが高い上に個性派ぞろいで、既存の価値観をもくつがえすような演奏があいついだ」と記し、個々の出場者の感想も詳細です。入賞した反田さんや小林さんなど日本人出場者についても触れていて、親しみも湧き、お薦めです。
(著者略歴)