モラル・ハラスメント―人を傷つけずにはいられない
「<実例 モニックとリュシアンの場合>
モニックとリュシアンは比較的穏やかに結婚生活を送ってきた。ところが、結婚してから三十年目に危機が訪れた。リュシアンが半年前から別の女性と関係を持つようになり、そのことを突然、モニックに告げたのだ。
・・・モニックは激しい怒りを感じていた。だが、それは自分を苦しめた夫にではなく、夫をつなぎとめることができなかった自分自身に対してだった。もし、ここでモニックが夫に対して怒りを感じることができていたら、彼女は容易に自分を守ることができただろう。」(p47)
モラル・ハラスメントへの対処法として、上のように、「加害者に対して怒りを感じること」が挙げられる。
だから、マリー=フランス・イルゴイエンヌによれば、「15年前のパワハラ面接」における門 寛子さんの対応は自然な反応であり、決して間違っていないということになる(但し、怒りをストレートにぶつけることが必ずしも推奨されているわけではない。)。
ところで、どうしてこのような「モラル・ハラスメント」が、就活という場面でなされるのだろうか。
就活本などによると、この種のハラスメント面接は、表向きは「ストレス耐性を見る」という名目で行われてきたようである。
ところが、イルゴイエンヌ氏的な観点からすると、これは、「メランコリー親和型性格」の応募者を選抜することにほかならない。
なぜなら、「ストレス耐性がある」という表現は、「秩序やルールに忠実であり、非常に献身的であり、頼まれると嫌と言えない、真面目、仕事熱心である、責任感が強い」などの「メランコリー親和型性格」を言い換えたものにほぼ等しいからである。
おそらく、ハラスメント面接を行う業界・企業は、若手社員がすぐに辞めてしまうなどの問題を抱えており、容易には辞めない(つまり「ストレス耐性が高い」=「メランコリー親和型性格」の)社員を求めているのではないだろうか。
だが、この種の社員は、定義からして明らかなとおり、容易には辞めないのかもしれないが、抑うつ状態ないしうつ病になりやすいという問題を抱えている。
もっと深刻なのは、定着率の悪い企業にはよくあることだが、社内(特に幹部クラス)に、「自己愛的な変質者」が存在するということである。
しかも、「自己愛的な変質者」は、「メランコリー親和型性格」の人間をいわば「養分」として生きているため、被害者を次々にメンタル疾患に追い込むという「精神の連続殺人」(前掲p25)を犯し続けるのである。
「<実例 モニックとリュシアンの場合>
モニックとリュシアンは比較的穏やかに結婚生活を送ってきた。ところが、結婚してから三十年目に危機が訪れた。リュシアンが半年前から別の女性と関係を持つようになり、そのことを突然、モニックに告げたのだ。
・・・モニックは激しい怒りを感じていた。だが、それは自分を苦しめた夫にではなく、夫をつなぎとめることができなかった自分自身に対してだった。もし、ここでモニックが夫に対して怒りを感じることができていたら、彼女は容易に自分を守ることができただろう。」(p47)
モラル・ハラスメントへの対処法として、上のように、「加害者に対して怒りを感じること」が挙げられる。
だから、マリー=フランス・イルゴイエンヌによれば、「15年前のパワハラ面接」における門 寛子さんの対応は自然な反応であり、決して間違っていないということになる(但し、怒りをストレートにぶつけることが必ずしも推奨されているわけではない。)。
ところで、どうしてこのような「モラル・ハラスメント」が、就活という場面でなされるのだろうか。
就活本などによると、この種のハラスメント面接は、表向きは「ストレス耐性を見る」という名目で行われてきたようである。
ところが、イルゴイエンヌ氏的な観点からすると、これは、「メランコリー親和型性格」の応募者を選抜することにほかならない。
なぜなら、「ストレス耐性がある」という表現は、「秩序やルールに忠実であり、非常に献身的であり、頼まれると嫌と言えない、真面目、仕事熱心である、責任感が強い」などの「メランコリー親和型性格」を言い換えたものにほぼ等しいからである。
おそらく、ハラスメント面接を行う業界・企業は、若手社員がすぐに辞めてしまうなどの問題を抱えており、容易には辞めない(つまり「ストレス耐性が高い」=「メランコリー親和型性格」の)社員を求めているのではないだろうか。
だが、この種の社員は、定義からして明らかなとおり、容易には辞めないのかもしれないが、抑うつ状態ないしうつ病になりやすいという問題を抱えている。
もっと深刻なのは、定着率の悪い企業にはよくあることだが、社内(特に幹部クラス)に、「自己愛的な変質者」が存在するということである。
しかも、「自己愛的な変質者」は、「メランコリー親和型性格」の人間をいわば「養分」として生きているため、被害者を次々にメンタル疾患に追い込むという「精神の連続殺人」(前掲p25)を犯し続けるのである。