Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

限りなく低い「愛」のハードル(3)

2024年08月09日 06時30分00秒 | Weblog
(引き続きネタバレご注意!)

 主人公は、そこで知り合ったマルチエンヌ(?)という男から、
 「君が寝ているところを見てみたい。君の手が好きだ
と言われ、彼をロイドホテルに連れ込む。
 主人公は、死んだ弟の検視が行なわれているというのに、そちらには立ち会わないのである。
 ここでやや不吉な予感がよぎる。
 上のセリフからすると、マルチエンヌ(?)は、川端康成の「眠れる美女」(ネクロフィリア)や「片腕」(フェティシズム)の主人公と同じく、「人間を『客体』としてしか見ない」思考の持ち主、つまり「愛」からは程遠いところに棲む人物である可能性があるからだ。
 案の定、マルチエンヌ(?)からは、(聴き取り書きなので不正確かもしれないが)
 「炭素原子は全ての物質の基本だ。人間も死ねば炭素になるんだよ
という物騒な言葉が飛び出す。
 彼は、”死の欲動”に支配された、ちょっと危険な人物のようである。
 他方で、マルチエンヌ(?)は、
 「人類が信じられない。だって、赤ちゃんをゴミ箱に捨てるんだぜ!
とも述べる。
 彼は、どうやら人類に絶望しているようだ。
 マルチエンヌ(?)が去ると、主人公は、自分の財布から金が盗まれていないことを確認して安心し、そのことをパウリへの手紙に綴る。
 このあたりで、主人公は、金(ビジネス)とセックスとアルコールによる殺伐とした生活を送ってきたらしいことが分かる。
 すると、主人公の姉(?)のニーナから電話がかかって来て、父(大学附属病院の医師?)が学部長に昇進したこと、パウリの死因は”遺伝性の心疾患”であったことなどが告げられる。
 そして、このタイミングで、主人公は、次の二人目の役者(伊達暁さん)に交代する。
コメント
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