毎年プレトークも面白いので、開幕40分ほど前に会場に到着し、指揮者の藤岡幸夫さんの解説を聞く。
「惑星」は、初演で成功したものの、その後長らく忘れられていたところを、1961年にカラヤンがウィーン・フィルで上演し、息を吹き返したという経緯がある。
もっとも、藤岡さんの世代の音楽家にとっては、冨田勲さんによるシンセサイザー・バージョンのインパクトが強く、「富田さんの曲」というイメージがあるらしい。
全7曲のうち、何といっても一番人気は第4曲「木星、歓喜をもたらす者」であり、藤岡さんいわく
「『惑星』と言いながら、みんな『木星』を聴きに来ている」。
当然、オケの皆さんも練度が高いわけで、東京シティ・フィルでは、「木星」についてはゲネプロをしないそうである。
ゲネプロで演奏すると本番での演奏のインパクトが弱まるため、演奏は「一日一回」にとどめる主義らしいのである。
野球で言えば「一球入魂」といったところか?
もちろん、この日の演奏は全曲素晴らしく、中でも「海王星」の神秘的な女声コーラスが印象に残った。
「遥か遠くから響いてくる」声を演出するために2階の廊下で歌うらしく、カーテン・コールにも出て来ないので、皆さん私服で歌っていたそうである。