「約70年にわたって映画界で活躍した女優のジーナ・ローランズさんが死去した。94歳だった。ローランズさんの息子ニック・カサベテスさんの代理人の事務所が確認した。
死因など詳細は明らかになっていない。
ローランズさんは、最初の夫である映画監督のジョン・カサベテスさんとともに初期の独立系の映画作品で知られる。ローランズさんはその後、「微笑みをもう一度」(1998年)や「きみに読む物語」(2004年)などのヒット作にも出演した。」
私は、上演された全作品を観たばかりか、「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」に至ってはレーザー・ディスク(!)まで買ったし、他の作品についてもレンタルビデオを借りまくった。
今手元にあるジョン・カサヴェテス作品のブルーレイは、
① アメリカの影
② フェイシズ
③ こわれゆく女
④ チャイニーズ・ブッキーを殺した男
⑤ オープニング・ナイト
(以上、5枚組セット)
⑥ 愛の奇跡
⑦ グロリア
⑧ ラヴ・ストリームス
の計8枚である(彼が準主役を演じているVHS版の「ローズマリーの赤ちゃん」も持っていたが、引越しの際に処分したのが惜しまれる)。
こういう風に並べてみると、カサヴェテス監督は、「精神が崩壊しつつある/崩壊してしまった女性」を繰り返し取り上げている(あるいはそのような映画に出演者している)ことが分かる。
①(レリア)、②(マリア)、③(メイベル)、⑤(マートル)、⑧(サラ)と「ローズマリーの赤ちゃん」のローズマリーがそうである。
ジーナ・ローランズは、カサヴェテス監督の妻であり、②③⑤⑥⑦⑧に出演し、いずれも主役か、そうでなくとも重要な役を務めている。
「メンタル崩壊型」の役のうち、ジーナ・ローランズが演じたのは、③⑤⑧であり、いずれも映画史に残る名演だが、彼女は、これとは真逆のタイプの女性の役を演じたことがある。
それが「グロリア」であり、私はこれこそ彼女の最高傑作だと思う(とはいえ、彼女の上演作品を全部観たわけではないけれど・・・)。
大雑把に言うと、パーフェクトな殺し屋のグロリアが、行きがかり上、ギャング組織から命を狙われている少年フィルを預かることになってしまい、逃避行を続けるうちに母性愛に目覚めるというストーリーだが、ブルーレイのパッケージに書かれたキャッチ・コピーは、そのままジーナ・ローランズに捧げられたものといって良いと思う。
「グロリア、あんたはすごい。タフで、クールで・・・・・・やさしいよ。」
合掌。