Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

ダンス月間(7)

2024年08月24日 06時30分00秒 | Weblog

◆雪「ゆきひめ」
振付:関直人
主演:菅井円加、福田圭吾
怪談「雪女」をモチーフに創られた作品 
◆月「月夜に集う民の詩」
振付:二見一幸
日本のコンテンポラリーダンスを牽引してきた二見一幸の新作 
◆花「桜の森の満開の下」
振付::池上直子
主演:藤間蘭黄・本島美和
坂口安吾の小説「桜の森の満開の下」をモチーフに展開する新作 

 今年のサマー・コンサートは、昨年(夏のダンス・ウィーク(10))とは打って変わって、”和”の世界が展開される。
 こうしたコンセプトの転換は、昨年の「宗達」から始まったようなのだが、残念なことに日程があわず、「宗達」は観られなかった。
 最初の「ゆきひめ」は、もともと日本舞踊を中心に構成されたバレエ作品。
 日本舞踊の動きの大きな特徴の一つは、私見では、「重心の平行移動」にあるのではないかと思う。
 なので、日舞の踊り手は、移動する際、基本的に頭が上下にブレない。
 あと、これも私見だが、「『象徴』としての仕草」、要するに仕草の「言語性」も大きな特徴だと思う。
 「ゆきひめ」では、こうした日舞の特徴を、バレエダンサーがどう解釈しどう表現するのかが注目ということになる。
 観たところ、菅井さんは「ジャンプの抑制」で対応したようだが、一番楽しそうだったのは「雪女」の表情のように見える。
 つまり、「静かで怪しい微笑みの持続」(これもある意味では舞踊の一種)というところが大きなポイントだったようだ。
 次の「月夜に集う民の詩」は、ベートーヴェンの「月光」などの音楽に合わせた典型的なハイ・テンポのダンスで、ストーリー性はない。
 なので、音楽に親和的なはずなのだが、そこで意表を突くのが、途中からメロディーを欠く単なる「音」の連打に合わせたダンスに変わるところ。
 ここで一挙に集団的一体性が動揺するのが面白い。 
 実は、集団的一体性は、メロディによって保たれていたのである。
 ラストは「桜の森の満開の下」で、主役は、日舞の藤間 蘭黃さんと新国立劇場の本島 美和さんという異色のコンビ。
 藤間さんは、普段は動きは抑制的なはずだが、この演目では活発に動き回り、ジャンプも頻発する。
 なので非常に若々しく見えて、おそらく従来の彼のファンも驚いたのではないだろうか。
 対する本島さんは、「人間の首が大好物」という魔女的な役柄で、三浦雅士さんが「ダンス・マガジン」8月号で指摘した、「ある種の不穏さ」を前面に出してきている。
 例えば、「マクベス」のマクベス夫人(主役は誰?)のような役もうってつけだと思うのだが、三浦さんによれば、「新国立劇場バレエ団では彼女の良さを完全には生かすことができなかったようだ。
 ・・・というわけで、私にとっての今年の「ダンス月間」は、ひとまずこの公演で終了。
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