「クリスマス・イヴの夜。少女バーバラの家では、クリスマスパーティーが開かれています。子供達はドロッセルマイヤーからプレゼントをもらい、大はしゃぎ。バーバラはその中のくるみ割り人形を気に入ります。パーティーが終わり、真夜中に突然ねずみの王様と人形たちの戦争が始まります。くるみ割り人形が攻撃されるなか、バーバラの勇敢な行動により、ねずみの王様は退散します。すると、くるみ割り人形はたちまち王子様の姿に大変身。二人はお菓子の王国で夢のような時間を過ごします。
今回上演するのは、ジョージアの首都トビリシを舞台にしたジョージア国立バレエのオリジナル版。衣裳や舞台装置など随所に感じられるジョージアの趣と、ロマンティックで色鮮やかなファンタジーの世界を、是非劇場でご体感ください。」
今回上演するのは、ジョージアの首都トビリシを舞台にしたジョージア国立バレエのオリジナル版。衣裳や舞台装置など随所に感じられるジョージアの趣と、ロマンティックで色鮮やかなファンタジーの世界を、是非劇場でご体感ください。」
毎年出来るだけ違うバレエ団で観るようにしている「くるみ割り人形」だが、今年は12年ぶりに来日するジョージア国立バレエ(振付/演出:A.ファジェーチェフ、N.アナニアシヴィリ)を鑑賞。
解説にもあるように、舞台がジョージアの首都トビリシに設定されており、衣装や舞台装置などがジョージア風にアレンジされているのが新鮮である。
ストーリーの点で大きな特色と言うべきところは、くるみ割り人形と王子を別のダンサーが演じるところ。
解説には「くるみ割り人形はたちまち王子様の姿に大変身」とあるが、これはやや誤解を招く。
1幕と2幕1場までは確かに「くるみ割り人形」=「王子」(衣装は赤・黄・青で同一)なのだが、「お菓子の王国」にたどり着くと、「王子」は別のダンサーで、白の衣装に変わっている。
これは、普通に考えると「くるみ割り人形」と(「お菓子の王国」以降の)「王子」は別人という設定と見るしかない。
どう解釈すべきか?
私見では、「通過儀礼の主催者」というドロッセルマイアーの役割(本当は怖いドロッセルマイアー)を、「くるみ割り人形」が取り込んだと考える。
このヒントは、「ダフニスとクロエ」にある。
「ダフニスとクロエ」では、ドロッセルマイアーに相当する年増女:リュカイニオンが登場し、ダフニスに”愛の手ほどき”を行う。
その後、ダフニスは、クロエに対し、リュカイニオンが教えてくれたことを初めてこころみるというストーリーなのである。
ということは、「くるみ割り人形」と(お菓子の王国の)「王子」との間には、リュカイニオンとクロエに相当する、役割の違いがあるということになるだろう。
・・・あれ、こうなると、ドロッセルマイアーは「名付け親」くらいの役割しかなくなるのだが・・・。
いや、実際のバレエでは、最初から最後まで、狂言廻しとして大活躍していた!