Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

12月のポトラッチ・カウント(7)

2024年12月27日 06時30分00秒 | Weblog
【1】 「先日湯島天神の境内で、定火消(じょうびけし)と大名火消「加賀鳶」との間で大きな喧嘩があった。それから数日後の今日、決着をつけようと加賀鳶の面々が今にも敵方へ飛びかかろうと勢揃いし、名乗りを上げている。そこへ止めに入ったのは加賀鳶の頭・梅吉(うめきち)。もしこの先を進むのなら、自分を殺してから行けと座り込む。さらに兄貴分の松蔵(まつぞう)も加勢するので、加賀鳶の若い者たちは引き上げていく。
 所変わってここは日の暮れたお茶の水。百姓の太次右衛門(たじえもん)は所用で江戸にやってきたのだが、急に腰が痛み出し土手際に座り込んでいた。そこへ運良く按摩(あんま)が通ったので、地獄で仏と腰をさすってもらうことにする。しかし親切そうに見えたこの按摩の正体は道玄(どうげん)というかなりのワル。太次右衛門が大金を持っていると知ると、殺した上で金を奪う事に成功し、喜んで帰っていく。偶然通りかかった加賀鳶の松蔵が、道玄の落とした煙草入れを拾うのも知らずに・・・。

 第二部の前半は「加賀鳶」・本郷木戸前勢揃いより赤門捕物まで。
 引用した序幕でポトラッチ(らしきもの)が2つ炸裂する。
 梅吉と松蔵による
 「そんなら俺を、殺して行け
である。
 このポイントは、5.0✕2人✕1/2(未遂)=5.0(★★★★★)となる。
 だが、この演目のメインは、道玄による悪事とその露見のようである。
 とはいえ、序幕とのつながりが「煙草入れ」という、なんとも木に竹を接いだような話ではある。
 
【3】 「道玄とお兼は、お朝の親戚だといい伊勢屋を訪ね、主人を呼び出す。はじめはしおらしく振る舞うが、「桂川」のお半・長兵衛を引き合いに出し、年の離れた主人が、年端もいかない姪っ子を傷物にしたのだから百両を出せと脅す。主人は全く覚えがないので、証拠があるのかというと、お兼が例の手紙を出す。そこにはお朝の手で「伊勢屋の旦那と関係を持ったことを後悔し、世間に顔向けができないので家出をする」と書かれているというのだ。主人は「誰が書いたかわからないではないか」と金を出さないので、道玄たちは店先で寝転び出し、営業妨害をする。番頭が仲立ちとなり、五十両の金で話がまとまりかけるが、そこへ登場したのが松蔵。証拠とやらの手紙と、お朝の手習いの清書とを照らし合わせ、明らかに筆跡が違っていることを指摘する。さらに煙草入れを見せられ、太次右衛門殺しの件をほのめかされ形勢は逆転。手も足も出ない道玄とお兼はとうとう引き下がるのだった。

 道玄は、"ゆすり"と”ゆすられ”の関係や、女性の人身売買・DVなどが満載の「絶望の社会」を象徴する人物だったのである。
 

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