Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

12月のポトラッチ・カウント(8)

2024年12月28日 06時30分00秒 | Weblog
 十二月大歌舞伎・第三部は、「舞鶴雪月花」と「天守物語」。
 前者はなかなか見どころがあって面白かったが、所作事なので分析対象外。
 後者は、やはり玉三郎が出演するとあって、満席の盛況である。

<あらすじ>
 ここは姫路城天守閣五重。天守閣の最上階は異形の者たちが棲むと言われ、人の通わぬ別世界となっている。中央には見事な獅子頭が据えてある。晩秋の日没近く、主である天守夫人富姫が簑を付けて雲に乗って帰ってくる。今日は可愛い妹分の亀姫が空の旅路をはるばるとやってくるのに、姫路城主播磨守の鷹狩の一行が弓矢鉄砲を使って騒がしいから、夜叉ヶ池(福井県)のお雪様に雨風を頼み、鷹狩の行列を追い散らしたのだという。
 ほどなく猪苗代(福島県)から亀姫一行が到着。富姫と亀姫は仲睦まじく寄り添い語り合う。亀姫が土産に持ってきた品は、播磨守と瓜二つの兄弟亀ヶ城の主・武田衛門之介の生首だった。生首を喜ぶ富姫だが、自分の用意していた土産、播磨守の家宝の兜では見劣りがすると言い、見せるだけにとどめる。二人が手鞠に興じた後、ふと鷹狩の一行に目をとめた亀姫が播磨守の白鷹を気に入るので、富姫は鷹を捕らえ土産に持たせる。 
 
 前半は、いかにも鏡花らしく、異形の世界で目を楽しませてくれる。
 設定で注目すべきは、武家の世界の上方に、富姫を筆頭とする異形たちの住む世界が位置していることである。
 つまり、異形たちの力は、武家の権威を凌いでいる。
 なので、富姫たちは、鷹狩の行列を追い散らす、武田衛門之介の生首・播磨の守の家宝の兜をプレゼントの対象にする、播磨守の白鷹を捕らえるなど、播磨守らをコケにするかのような行動に終始するわけである。
 当然のことながら、富姫たちには、武家の論理も通用しない。

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