Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

2種類の怒り、あるいは神経症と統合失調症(7)

2024年12月13日 06時30分00秒 | Weblog
 こう考えて来ると、自然と「マインドフルネス」という言葉が浮かんでくるだろう。
 実際、CBTの中には、「マインドフルネス」を取り入れた治療法「マインドフルネス認知療法」もある。
 ざっくり言うと、「今・ここ」に意識を集中させるところがポイントのようである。
 ダマシオ理論に置き換えてみると、「情動」にどう働きかけるかという問題なのだろう。
 だが、そのためには、「情動」のメカニズムを理解しておく必要がある。
 ダマシオによれば、「情動」には「一次の情動」と「二次の情動」があるらしい。

一次の情動 「・・・私が確信している一つの可能性は、外界における、あるいは身体における刺激のいくつかの特徴が、単独に、あるいは組み合わされて知覚されると、ある情動を伴いながら、前もって構成された形で反応するようになっているということ。・・・ここで注意すべきことは、ある身体反応を引き起こすためにクマ、ヘビ、ワシそれ自体を「認識する」必要はない、つまり、正確には何が苦痛を引き起こしているかを知る必要はない、ということ。必要なことは、初期感覚皮質がある特定の実在(つまり、動物とか物体)のいくつか重要な特徴を感知し、分類し、扁桃体のような構造がそれらの<連結された>状態に関する信号を受け取ることである。巣の中のひよこはワシが何かを知らないが、広い翼をもった物体がある速度で頭上を飛ぶと、警戒し、頭を隠して反応する。」(p210~211)
二次の情動「・・・1 そのプロセスは、ある人物や状況をあなたが心に抱く意識的、意図的な熟考から始まる。この熟考は、思考のプロセスの中で構成される心的イメージとして表現される。・・・2 非意識的レベルでは、前頭前皮質中のネットワークが、前述のイメージの処理から生じる信号に自動的、不随意的に反応している。この前頭前野の反応は、どういう状況には通常どういう情動反応が組み合わされてきたか、ということに関する知識を統合している傾性的表象から生れる。言い換えれば、その前頭前野の反応は、<生得的な>傾性的表象からではなく<後天的な>傾性的表象から生れる。・・・」(p219)

 「一次の情動」は、<生得的な>傾性的表象(例:頭上を飛ぶ広い翼を持った物体)を”初期感覚皮質”が感知するところからスタートする。
 つまり、「感覚装置」が発端である。
 これに対し、「二次の情動」は、<後天的な>傾性的表象(例:想像もしなかった同僚の死のニュース)に対する「意識的、意図的な熟考」からスタートし、これが「心的イメージ」として表現され、前頭前皮質中のネットワークが「自動的、不随意的な反応」を行うことによって生じる。
 つまり、主に「前頭前皮質」が作用している。
 要するに、両者はそもそもスタートが違っており、プロセスも違っているわけである。
 もっとも、いずれの場合も、”自動的、不随意的”に行われるプロセスが介在している点に注意する必要がある。
 それは、「一次の情動」で言えば「「感覚装置」による知覚」→「扁桃体」のルートであり、「二次の情動」で言えば「前頭前皮質中のネットワークの反応」である。
 素人考えでは、あの「泣かない」上田晋也氏であっても、このプロセスだけは、定義上「コントロール不能」なのではないかとも思われる。
 少なくとも、「CBT(認知行動療法)」や「マインドフルネス」では対処することが難しい領域であるように思われる。
 

 



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