「・・・海中に戻ったマーメイドは王子を想っている。仲間であるクマノミ、サンゴ、ロブスターたちに「恋をしているの」と打ち明ける。マーメイドは海の底に落ちていた王子の短剣を見つけ、王子と人間界への憧れはますます募っていく。父は激怒するが、マーメイドの理解者である叔母が、シャークの元に行けば、人間界に行ける方法を教えてもらえるとマーメイドに伝える。シャークに会いに行ったマーメイドは、声と引き換えに脚を授かる秘薬をもらう。しかしこの約束には「愛が実れば魂を得られるが、そうでなければ泡になってしまう」という条件があった。マーメイドは意を決して地上へと向かう・・・。」
毎回思うことだが、K-Balletの新作は、舞台装置や衣装に目を奪われてしまう。
コリオも毎回新しいものが登場し、今回は、王の友人(?)やトビウオ(?)の繰り返される高いジャンプが見ものである。
さて、「人魚姫」のラストを覚えている人は少ないと思う。
「こんなラストだった!
人間の足を手に入れた際、人魚姫にはある制約がかけられていました。それは王子が別の女性と結婚した場合、人魚姫は海の泡になって消えてしまうというもの。それを不憫に思った人魚姫の姉たちは、魔女と取引し魔法のナイフを手に入れ、人魚姫に与えます。魔法のナイフで王子の胸を刺し、その返り血を浴びれば人魚の姿に戻れるというのです。
しかし結婚が決まり幸せそうな顔で眠る王子を前に、彼女はついにそのナイフを使うことはできませんでした。遠くの波間にナイフを投げ捨てるとみるみるうちに海は赤く染まりました。赤い海に身を投げた人魚姫は、そのまま海の泡となって空高く昇っていくのでした。
泡になって消えたかと思われた人魚姫は、その後、風の精霊となって人々に幸せを運んでいくという結末でしたが、「海に身を投げて泡になった」や「風の精霊となって善行をした」というストーリーを覚えている人は少ないのではないでしょうか。」
このラストが、普通の子供の心に長く残るはずがないだろう。
なお、K-Ballet版では、ハッピー・エンドに改変されている。
・・・ここで私は、ある種の既視感を抱いた。
「これは、海中版の『眠れる森の美女』ではないか?」
つまり、「(王子を)目覚めさせる海の人魚」というお話なのではないか?
まあ、それが当てはまるのは前半だけかもしれないが・・・。