春の声
雷鳴と稲妻
皇帝円舞曲
芸術家の生活
鍛冶屋のポルカ
美しく青きドナウ
スケーターズ・ワルツ
ラデツキー行進曲
ほか
2年前に行ったときは「外出控え」のせいかお客さんが少なく、今回もやや心配していたのだが、それは杞憂だった。
「東京公演は6800円、武蔵野なら2800円」「2時間で味わえるコスパ最強天国」というキャッチ・コピーのおかげもあって、ほぼ満席の盛況である。
オーケストラのほかにバレエ・ダンサーと歌手が参加するのだが、今回はウクライナ出身のナタリア・ステパンスカさんというソプラノ歌手が(おそらく)初出演。
指揮者のサンドロ・クトゥレーロさんが言う通り、“Strong Voice”で喝采を浴びていた。
バレエの方は、オーケストラの手前・舞台前方の幅2メートルほどのスペース内で正確に踊らなければならず、結構大変そうに感じた。
ともあれ、盛況に気をよくしたのか、サンドロ・クトゥレーロさん「来年も来るよ!」と言ってくれたのは良かった。
曲目・演目
前半(ピアノ・ソロ)
バラード 第3番 変イ長調 作品47
ポロネーズ 第5番 嬰ヘ短調 作品44
ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53「英雄」
ポロネーズ第7番 変イ長調 作品61「幻想」
後半
ピアノ三重奏曲 ト短調 作品8
<アンコール曲>
・木枯らしのエチュード
・ピアノ協奏曲第1番・第2楽章(トリオ・バージョン)
出演
亀井聖矢(Pf)、東亮汰(Vn)、佐藤晴真(Vc)
こちらは今もっとも勢いのある若手ピアニストの一人、亀井さんのソロと室内楽トリオのコンサート。
やはり、ほぼ満員の盛況である。
それにしても、「オール・ショパン」と銘打っているのは、やはり次のショパン・コンクールを照準に入れているからなのだろうか?
前半は、昨夏のツアーとやや曲目がかぶっているが、今回は若干ミスタッチがみられ、パフォーマンスはツアーの方がやや良かったという印象である。
前半ラストの幻想ポロネーズについて言えば、私見では、ラストが最も重要と考えており、特に「和音が割れないかどうか」を見ている。
その難所を、亀井さんはクリアーした。
どうやったかというと、アンジェラ・アキのようにピアノからときどき立ち上がってしまうくらいの力を込めて、鍵盤を叩いた。
つまり、「力で押し切った」のである。
確かに、これだと和音が割れなくて済むが、仮に審査委員の中に「力で押し切る奏法」を毛嫌いする人がいたりするとかなりの減点になるのではないかと、老婆心ながら思ったりもする。
もっとも、(ときおり「横審」でもみられる)こういう類の「趣味の問題」で優劣を決めてしまうところは、コンクールの良くないところだろう。
ともあれ、「日本人初のショパン・コンクール優勝者」の誕生に期待したい。